脅威
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一方、上空に巻き上げられた空達とは違い、なまえがのみこまれた竜巻は複雑な気流を内部で生み出していた。そのせいで未だに竜巻のなかにいるなまえ。それはまるで檻のように思えたが、本当にそうなのかは竜巻を作りだした龍以外に知るものはいない。
そんなふうに風にもてあそばれているなまえだったが竜巻の中でひとりきりになって安堵していた。なぜなら空の方にパイモンがひっついていると思ったからだ。風の翼の扱いが不慣れで苦戦するなまえのそばにパイモンはついていてくれた。彼女自身、自覚できるほどでそれはお世辞にも上手だとは言い難いものだった。
でもそれは空があまりにも上手く対応していただけで、初心者というものは得てしてそういうものである。そのせいでずっとパイモンが傍にいてくれたけど、最後はひとりで飛んで自信をつけるようにとなまえを信じて空のもとに一足先に行ってくれた。その行動のおかげで今、空は一人じゃない。
今までもパイモンは飛ばされそうになったり、自分の身に危険を感じたりすると咄嗟に空かなまえのどちらかにくっつくことが多かった。なまえが空を最後にみた時、空はなまえを助けるために追いかけてくれた。その近くにはパイモンもいた。だから今もきっと空と共にいるはずだ。
もし、あのあと空が竜巻に巻き込まれていたとしても、パイモンが一緒ならば……。不慣れな知らない世界で、もし竜巻に巻き上げられるなんてことがあったとしても、空はパイモンの存在を心強く思ってくれるはずだ。もしも、空が危なくて怖いことにひとりで耐えなければならないのなら、それは不安で辛いことだろうから。
本当はなまえ自身が彼の傍でサポートをしたかったけれど、彼女の方が先に竜巻に巻き込まれてしまったためにそれも叶わない。竜巻に巻き込まれていないことを願うばかりだが、今時点ではそれも分からない。彼は適応力も高いから大丈夫だと思うけれどやはり心配だった。
でもパイモンが傍にいてくれたなら心も軽くなっているはず。ひとりきりになるよりはきっといい。なまえはそう信じている。彼女がそんなふうに空とパイモンの無事を願いながらも、同時にこの竜巻をもたらした主のことにも思いを馳せる。
「……トワリン、あなたに一体何があったの……?」
なまえはそう問いかけるようにつぶやいたけれど、風は何も答えてはくれなかった。