ひとが空を飛ぶ方法
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「旅人ー!」
一方、空は何の障害もなく無事にアンバーのもとへとたどり着いた空は手を振るアンバーの近くに降り立つことができた。
「風の翼どうだった?」
「うん、良かった。風の翼ってすごいものだね」
「そうでしょ! すごく便利なものだからいっぱい使ってあげてね」
空に風の翼を褒められてアンバーは気持ちが舞い上がっていた。本来なら飛行免許の話もしなければならなかったがすっかり頭から抜けてしまっていた。
「……なまえ、遅いな」
しばらくしても姿の見えないなまえを心配しながら空が呟いた。そうして青い空を見上げたが彼女の姿は見えず、さらに脅威が迫っていることにもまだ気づいてはいなかった。
「なまえ! 空たちが見えたぞ! あともう少しだ!」
「ちょっとだけ、慣れてきたかも……」
途中で一度地に足をつけてしまったが、なまえはパイモンに支えてもらいながら風の翼を操っていた。最初は緊張でガチガチに固まっており操作もままならなかった。パイモンは何とか声をかけて緊張をほぐすことに成功したおかげでなまえは風の翼で空を飛ぶことを少しだけであるが楽しむ気持ちが芽生えていた。
「よしっ! おーい!! 旅人~!」
パイモンが呼んだその声に気づいた空が手をあげて答えた。それを見てパイモンがなまえに話しかけた。
「なまえ! あともうちょっとだから、オイラ先にいってるぞ! 空と一緒にお前を出迎えてやるからな!!」
「うん、ありがとう」
空に手を振られて出迎える方にまわりたくなったパイモンはなまえがもうひとりでも大丈夫だと判断して彼女に断りを入れた後先に地上で待つ空達のほうへと飛んで行った。飛んでいくパイモンを見る程度には風の翼に慣れてきたなまえはもう少しだけ空の旅をひとり楽しむことにした。
「――おーい、旅人~、アンバー!」
「パイモン、遅かったから心配した」
「なまえがちょっと怖がってて、飛ぶのに時間がかかったんだ。でも、もう大丈夫だ。今は慣れたみたいで楽しいって言ってたぞ」
ようやく姿の見えたなまえに安堵した空とアンバーのもとにパイモンが先にやってきた。そのパイモンから遅かったわけを聞いたふたりは事故ではなかったことに胸をなでおろした。
「そうだよね、はじめて飛ぶんだから怖いって思うよね……。先に飛んで行ってなまえには悪いことをしてしまったわ」
「気にするなよ、アンバー。なまえはそんなことで怒る奴じゃないし、今は楽しいって言ってたから大丈夫だぞ」
「ありがとうパイモンちゃん。でも、モンドの西風騎士としてちゃんとなまえには謝らないと!」
アンバーは初めて風の翼を使って空を飛んだ時、幼いころから愛読している童話のことが頭にあったために怖いなんて思わなかった。けれど、全員が全員恐怖を抱かないわけではないのだ。それを考えなかった自分の浅慮に落ち込みかけたが、パイモンが気にするなと言ってくれたおかげで持ち直すことができた。いまするべきは落ち込むことではなく、勇気を出して風の翼を使ってくれたなまえをちゃんと迎えてあげることだと、そう考えなおしてアンバーはなまえに向かって手を振った。