風を捕まえる異邦人
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モンド城に向かう途中、思い出したようにアンバーはなまえに話しかけた。
「そういえば、あんたって変わった弓を持っているのね」
「……え?」
「あ、ごめん。悪い意味じゃないの! きれいな弓だなって思って……」
なまえが手にしていた弓を思い出すようにアンバーがそう切り出したのでなまえはよく見えるように弓を両手で持ち直して見えるように前に出した。そんななまえの行動に彼女を除く3人はその弓を覗き込んで弓を囲みながら口々に感想を述べはじめる。
「あ、それオイラも思っていたぞ。なんか戦闘する弓じゃないような綺麗な色の弓だよな」
「俺もそう思っていたけどパイモンたちから見てもそうなんだ」
「以前、祭礼用の弓を見たことがあるけどそれに似ている気がするわ」
なまえが使用する弓をまじまじとみるとその装飾の丁寧さに思わず感嘆の声があがる。白と青の色遣いは品も良く、その作りも丁寧で制作者の仕事の素晴らしさが見てとれるようだ。
「ありがとう。この弓はずっと使っている大切なものだからそんなふうに褒めてもらえて私もうれしい!」
皆に弓を褒められてなまえは自分が褒められたかのように心の底から嬉しそうにはにかんだ。
「それにしてもあんた相当な弓の使い手よね?」
「そうだろ! なまえはすごいんだぞ!! オイラも空もなまえにはいっぱい助けられてるんだ!」
同じ弓使いとしてアンバーはなまえの弓術は正確無比に思えてお手本にしたいほどであった。最初にヒルチャールへと放った遠距離の射撃術。しかも動く相手に正確に矢をあてるのは技術のある証である。
アンバーだって偵察騎士として任務を任せられるぐらい腕前には自信があったが、そんな彼女でもなまえの技はすごいと素直に認められるほどの腕を持っているのだ。感心してなまえを褒めるとそれに答えたのはなまえ、ではなくパイモンだった。褒められているのがまるで自分のように自信満々に胸を張っていた。一方、当人であるなまえはパイモンの答えにもアンバーのお褒めの言葉にも驚いていた。
「そんな……、私こそパイモンと空にたくさん助けてもらってるよ」
「謙遜しなくても大丈夫。なまえがいなかったら俺は今頃野垂れ死にしてたかもしれない」
「そうだぞ! オイラだって旅人に釣り上げられることもなく冷たくて寒い海で……うぅ……、考えただけでも恐ろしい……!」
なまえを褒められて喜んでいたパイモンだったが、空の言葉に、もし彼に助けてもらえなかった未来を想像して顔を青くする。そしてなまえにくっついて震えだすパイモンをくっつかれた彼女はよしよしと頭を撫でて慰める。なまえはパイモンを見ながら苦笑いをする空に笑いかけた。
「本当に仲が良いのね。……あんたたち旅をはじめて長いの?」
パイモンが小さいせいで思わず家族みたいだなとアンバーは思ったがさすがにそれは馴れ馴れしい言い方かと思い言うのをやめて他のことを尋ねた。
「いや、オイラがふたりに会ったのは2ヶ月ほど前だぞ。なまえと空が会ったのもオイラと変わりないって聞いてるぞ」
「えっ、そうなの? いい連携がとれてるし、仲が良いからもっと長く旅してるんだと思っていたわ」
「聞いたか、ふたりとも! オイラたち仲が良いって!!」
やっぱりオイラたちは最高の仲間!などと叫びながらパイモンが空となまえの周りを嬉しそうにくるくるとまわっていた。なまえはくるくるとまわるパイモンを目で追いながらににこにこと嬉しそうに笑っている。パイモンのあまり喜びように自分も嬉しいと思ったことも忘れて頭を抱える空が落ち着けとなだめるまでパイモンはその動きをやめようとはしなかった。そんなやり取りをしていたらいつの間にかモンド城はすぐ目の前に迫っていた。