風を捕まえる異邦人
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「えっと、とにかく……旅人よね?」
まさか目の前の不審人物が一緒に旅をする仲間のことを非常食などと言い出すとは思っておらずアンバーは混乱した。しかも彼はそれを発言するにあたって動揺など一切見せなかったためアンバーの混乱は当然ともいえる。だが謎のマスコットの反応から見るとそれが彼の冗談であるとは判断した。アンバーは怪しんでいる自分がおかしいような気がした。同時に気負っていた自身にも気がついた。少しだけ肩の力が抜けた。
彼女だって怪しい人物を前にして緊張していたのだ。人数的にはアンバーの方が不利であるから尚更である。もし、本当に不審人物ならば騎士団の一員として拘束しなければならない。それなのに彼らはアンバーが疑っていることを知ってか知らずか冗談を言えるほどの余裕を見せている。彼らが不審人物ならこんな態度をとるのだろうか。
困惑しながらも、もう少し様子を見るべきだと決めたアンバーはなんとか3人に旅人であっているのかと尋ねると、3人はそろってそうだと頷いた。頷いた3人を見てアンバーはここ最近のモンド城周辺の近況について教えることにした。モンド城周辺に大きな龍が出没していて、龍自身が直接人を傷つけることはないがその際に発生した暴風で様々な被害がでている。幸い、モンド城にはやってきていないので、アンバーは城に早く入るべきだと忠告した。
「そうだ、ここからモンドまでそう遠くもないし、ここは騎士の務めとして城まで送ってあげる」
「え? 任務があって城を出たんじゃないのか?」
アンバーの親切な提案にパイモンが不思議そうに首を傾げた。パイモンとアンバーがやり取りして、アンバーの意識がパイモンに向かっている間になまえは空に小声で話しかけた。
「……空、どうする?」
「……」
なまえの言葉の意味を空は理解していた。彼女も旅慣れているのだから経験として知っているのだろう。アンバーがまだこちらを疑っていることに。そうでなければ、こちらがすでに旅人と名乗っているのだから目と鼻の先にあるモンド城まで送るとは言わないだろう。もちろん親切心もあるだろうがおそらくこちらの観察をする必要があると思われている。このモンド城がただの通過点であるならば別に誤解を解く必要はないが、もしかすると妹へとつながる手掛かりがあるかもしれない。そう思うと彼女の提案に乗る方が良いだろう。
目の前の彼女がモンド城でどんな存在であれ、疑いははらしておいた方が後々都合がいいのには変わりない。そして、味方は多いに越したことはない。
「……西風騎士団はモンドの代表みたいな組織なの」
なまえがこっそり空に教えた言葉で彼の気持ちは定まった。その騎士団が大きな組織であるならば敵に回すことはない。それに世界を旅するには知り合いは多い方が良い。空はなまえに様子を見ようと伝え、彼女もそれを了承した。二人がそう決めた時、アンバーの声が耳に入ってきた。
「――怪しい者を放っておくわけにもいかないからね!」
パイモンと何か話していたのか、なまえと空が密談している間に話は進んでいたようだ。アンバーが高らかに失礼なことを言っていた。しかし彼女のその言葉は彼女がモンドを守護する立場であれば当然の感情である。こちらが得体のしれないと思っていたのだから、相手だってそう思っているのはなんらおかしくない。しかし、まさかそんな何度も口に出すとは思わなかった。空がこちらを信用していないようだと返せばアンバーはとても気まずそうにたじろぐ。
「あ、うっ……ごめん。優秀な騎士にあるまじき言動だったね。謝るよ、えっと……見知らぬ、その……尊敬できる旅人さんたち」
「ぎこちない!!」
どうやらアンバーは嘘のつけない性格のようだ。そして演技も下手である。目を合わせずに誉めてくる態度はどう考えても本心ではないことを口にしていると誰にでもわかってしまう。あのパイモンでさえそのおかしさに気づいてすぐさまツッコミをいれていた。そもそも見知らぬ者に尊敬という言葉を使うところが変だと気づいたほうがいい。
「『騎士団ガイド』で決められた言葉に不満でもあるの!?」
そうしてパイモンの指摘に声高に叫んだことでやはり、彼女は嘘のつけない素直な性格なのだと空となまえは思った。そして、その騎士団ガイドとやらの中身がとても気になった。
「えっと、とにかく……旅人よね?」
まさか目の前の不審人物が一緒に旅をする仲間のことを非常食などと言い出すとは思っておらずアンバーは混乱した。しかも彼はそれを発言するにあたって動揺など一切見せなかったためアンバーの混乱は当然ともいえる。だが謎のマスコットの反応から見るとそれが彼の冗談であるとは判断した。アンバーは怪しんでいる自分がおかしいような気がした。同時に気負っていた自身にも気がついた。少しだけ肩の力が抜けた。
彼女だって怪しい人物を前にして緊張していたのだ。人数的にはアンバーの方が不利であるから尚更である。もし、本当に不審人物ならば騎士団の一員として拘束しなければならない。それなのに彼らはアンバーが疑っていることを知ってか知らずか冗談を言えるほどの余裕を見せている。彼らが不審人物ならこんな態度をとるのだろうか。
困惑しながらも、もう少し様子を見るべきだと決めたアンバーはなんとか3人に旅人であっているのかと尋ねると、3人はそろってそうだと頷いた。頷いた3人を見てアンバーはここ最近のモンド城周辺の近況について教えることにした。モンド城周辺に大きな龍が出没していて、龍自身が直接人を傷つけることはないがその際に発生した暴風で様々な被害がでている。幸い、モンド城にはやってきていないので、アンバーは城に早く入るべきだと忠告した。
「そうだ、ここからモンドまでそう遠くもないし、ここは騎士の務めとして城まで送ってあげる」
「え? 任務があって城を出たんじゃないのか?」
アンバーの親切な提案にパイモンが不思議そうに首を傾げた。パイモンとアンバーがやり取りして、アンバーの意識がパイモンに向かっている間になまえは空に小声で話しかけた。
「……空、どうする?」
「……」
なまえの言葉の意味を空は理解していた。彼女も旅慣れているのだから経験として知っているのだろう。アンバーがまだこちらを疑っていることに。そうでなければ、こちらがすでに旅人と名乗っているのだから目と鼻の先にあるモンド城まで送るとは言わないだろう。もちろん親切心もあるだろうがおそらくこちらの観察をする必要があると思われている。このモンド城がただの通過点であるならば別に誤解を解く必要はないが、もしかすると妹へとつながる手掛かりがあるかもしれない。そう思うと彼女の提案に乗る方が良いだろう。
目の前の彼女がモンド城でどんな存在であれ、疑いははらしておいた方が後々都合がいいのには変わりない。そして、味方は多いに越したことはない。
「……西風騎士団はモンドの代表みたいな組織なの」
なまえがこっそり空に教えた言葉で彼の気持ちは定まった。その騎士団が大きな組織であるならば敵に回すことはない。それに世界を旅するには知り合いは多い方が良い。空はなまえに様子を見ようと伝え、彼女もそれを了承した。二人がそう決めた時、アンバーの声が耳に入ってきた。
「――怪しい者を放っておくわけにもいかないからね!」
パイモンと何か話していたのか、なまえと空が密談している間に話は進んでいたようだ。アンバーが高らかに失礼なことを言っていた。しかし彼女のその言葉は彼女がモンドを守護する立場であれば当然の感情である。こちらが得体のしれないと思っていたのだから、相手だってそう思っているのはなんらおかしくない。しかし、まさかそんな何度も口に出すとは思わなかった。空がこちらを信用していないようだと返せばアンバーはとても気まずそうにたじろぐ。
「あ、うっ……ごめん。優秀な騎士にあるまじき言動だったね。謝るよ、えっと……見知らぬ、その……尊敬できる旅人さんたち」
「ぎこちない!!」
どうやらアンバーは嘘のつけない性格のようだ。そして演技も下手である。目を合わせずに誉めてくる態度はどう考えても本心ではないことを口にしていると誰にでもわかってしまう。あのパイモンでさえそのおかしさに気づいてすぐさまツッコミをいれていた。そもそも見知らぬ者に尊敬という言葉を使うところが変だと気づいたほうがいい。
「『騎士団ガイド』で決められた言葉に不満でもあるの!?」
そうしてパイモンの指摘に声高に叫んだことでやはり、彼女は嘘のつけない素直な性格なのだと空となまえは思った。そして、その騎士団ガイドとやらの中身がとても気になった。