風を捕まえる異邦人
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「よし、回収完了! またあのドラゴンが来たら怖いから急いでここを出よう」
謎の赤い石を回収した3人はようやく森から出ることができそうだ。さきほどの謎の人物もドラゴンも戻ってくる様子はないことを確認してから森を抜けるために歩いている3人。
「森を抜けたらさっきよりもモンド城がよく見えるはずだぞ!」
「モンド城ってどんなところなの?」
「モンド城はね……「ねぇ――あんたたち! 待ちなさいっ」」
そんな話をしながら森を抜けようとしたその時だった。パイモンの言葉を受けて空の頭に疑問が沸き上がる。そんな彼の質問に答えようとしたなまえの言葉を遮るようにして、背後から引き止める鋭い声が届いた。何事かと思い、声のする方へと振り返った3人が見たのはやけに跳躍力のある赤い人影だった。身長よりも高い崖から飛んできたとはいえ見事な跳躍力である。
先程の緑色の謎の人物といい、この赤い人といい、この世界の人は好きな色がはっきりしているのだろうかと空はこっそりと思った。そんなことを彼が密かに考えているとは思いもよらないその赤い人はその見事な跳躍のあと華麗な着地……というか受け身も見せて3人の前に立ちはだかった。後ろから追いかけて来たようだが崖からまわることでなまえ達を追い越したようだ。
そんな突然の登場になまえと空の二人がただ見守っていたように思えるがそうではない。妹と旅を続けてきた空は経験から油断することは少ない。彼女は人間であるようだが、空にとっては得体のしれない人物である。敵の可能性も捨てきれない以上、空はいつでも武器がだせるように準備をしながら相手の出方を伺うことも忘れていない。なまえもそれは同じようでいつでも戦える準備はできているようだ。
「風神のご加護があらんことを」
「「「……」」」
いきなり何を言い出すのかと戸惑っているとその人は続いて名前を名乗りだしていた。無防備なその様子にどうやら敵ではなさそうだ。2人は静かに目をあわせて頷いて戦闘態勢を解除した。その赤い人……少女は自らをアンバーと名乗り、西風騎士団という所に所属していると言いながら澄ました様子でポーズをとった。アンバーの言葉から推測するとどうやらそれが西風騎士団という組織の挨拶なのであろう。
「あんたたち、モンドの人じゃないよね? 身分の証明はできる?」
3人にしてみれば突然あらわれたその少女にそんなことを聞かれるとは思っておらず、とっさに反応を返すことができなかった。そもそも、あきらかにこちらに対して疑っているような発言である。まったく何もしていないのに疑われるのはこちらとしても気分がいいものではない。しかし長く旅をしてきた者はそういう事態には慣れているものである。
「落ち着いて、怪しい者じゃないんだ――」
だから、3人の中で真っ先に否定したのはパイモンだった。慌てて両手を前にだしながら怪しくないというが、そんな言葉だけで信じてもらえるはずもなくアンバーは両腕を組んで「怪しい人は皆そう言うわ」と不満気だ。パイモンのように変に否定しても疑われるのは変わらないので、空は普通に挨拶をして名前を名乗ることにした。空の名前を聞いて、アンバーはますます目の前の謎の3人組が怪しく思えた。
「……ここら辺の地域じゃ、めずらしい名前ね。それであんたの隣にいる女の子とその……マスコットはなんなの?」
「こっちはなまえ。それからそのマスコットはパイモンという名前で俺たちの非常食だ」
空の名前を聞いて、聞きなれぬ名と浮遊するパイモンの存在にますます疑いを深めるアンバー。アンバーのその様子に空は少し場の空気を変える必要があるかもしれないとパイモンのことを非常食だと嘯いた。こちらを怪しいと睨みながらもすぐに拘束などの措置をせずにいるところをみれば彼女の所属する騎士団の業務の度合いというものも見えてくる。それを見極めることも旅人として大切な能力であると空は思っている。なまえは自分も話すとややこしくなるかもしれないので黙って事態を見守ることにした。
「全然違う! マスコット以下じゃないか!! それならマスコットのほうがまだマシだぞ!」
空の言葉に反応したのはパイモンだけで、怒ったパイモンが地団駄を踏んだだけであった。しかし、どうやら効果はあったようでアンバーはそのやり取りに戸惑ったように少しだけ語気が弱まった。
補足
パイモンと漫才しつつもずっと旅をしてきたのでそれなりに警戒されるのにもするのにも慣れている旅人ふたり。