僕の帰る場所
「ただいま」
「おかえり」
そんな当たり前のやり取りができる存在が欲しかった。
かつてはいたんだ。僕にも。
貧しいなりにあたたかな家族が。
ある日、どこか遠くから来た研究者を名乗る男達が、僕を冷たい箱へ閉じ込めた。
寒くはなかった。だけど、心がどんどん冷えていった。
「きっとあなたの力はみんなの為になるわ」
そう言って母さんは僕を送り出した。だけれど僕は知っている。僕が車へ乗り込む背後で、男達が両親へ大金を渡していたことを。僕は知っている。村の人達が、僕の周りで起こる不思議な出来事を気味悪がっていたことを。
僕は、知っている。
二度と、彼らには会えないことを。
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