秘密の黄昏時
「え、なんで?」
「え……っと。部長と、少し、話してみたくて」
少し戸惑いを見せながらも答える彼に、私は「いいよ」と返した。どのみち生徒昇降口までは同じ道のりだし、特に断る理由もない。
人気の無くなった廊下を二人で歩く。
二人分の足音が、壁に当たって返ってくる。
「こんな時間まで残ってるなんて気合い入ってるね。文化祭の展示用、間に合いそう?」
「ええ、楽しみにしててくださいね」
にこやかに答える男子生徒がなんだか可愛くて、胸にくすぐったさを感じた。
廊下の角を曲がって階段を降りればすぐに生徒昇降口。帰る生徒を見送る先生が私達に気付いて声をかけた。
「もう外は暗いから、気を付けて帰るんだよ」
「はーい」
「できるだけ友達と一緒に帰るようにね」
先生の言葉に違和感を覚えて振り返る。一緒に歩いてきたはずの男子生徒がいない。
「え……あれ? 先生、あの、もう一人、いませんでしたか?」
「え? 階段を降りてきた所から君一人だったけど……先生この後校舎内の見回りするから、君はもう帰りなさい」
「はい……」
途中で忘れ物を思い出したのかもしれない。そういえば、名前も学年も聞かなかったな。そんな事を考えながら、その日は帰宅した。
* * *
▷ また会えるかな
.
「え……っと。部長と、少し、話してみたくて」
少し戸惑いを見せながらも答える彼に、私は「いいよ」と返した。どのみち生徒昇降口までは同じ道のりだし、特に断る理由もない。
人気の無くなった廊下を二人で歩く。
二人分の足音が、壁に当たって返ってくる。
「こんな時間まで残ってるなんて気合い入ってるね。文化祭の展示用、間に合いそう?」
「ええ、楽しみにしててくださいね」
にこやかに答える男子生徒がなんだか可愛くて、胸にくすぐったさを感じた。
廊下の角を曲がって階段を降りればすぐに生徒昇降口。帰る生徒を見送る先生が私達に気付いて声をかけた。
「もう外は暗いから、気を付けて帰るんだよ」
「はーい」
「できるだけ友達と一緒に帰るようにね」
先生の言葉に違和感を覚えて振り返る。一緒に歩いてきたはずの男子生徒がいない。
「え……あれ? 先生、あの、もう一人、いませんでしたか?」
「え? 階段を降りてきた所から君一人だったけど……先生この後校舎内の見回りするから、君はもう帰りなさい」
「はい……」
途中で忘れ物を思い出したのかもしれない。そういえば、名前も学年も聞かなかったな。そんな事を考えながら、その日は帰宅した。
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▷ また会えるかな
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