ヤマガミ本丸
ご近所からは「ヤマガミさんち」と呼ばれるその本丸は、その名の通り、山の上にどっしりと構えている。
割と大きい家や店の建ち並ぶ区画から少し歩くと、道の右側に広い畑が広がっている。ここは町の人達が世話をしている畑だが、たまにヤマガミ本丸の男士が降りてきて共に作業する事もあるんだとか。
結界の役割を持つ白い鳥居をくぐる。道を外れれば戻るのは困難と伝え聞く。
やがて見えてきたのは美しい毛並みの馬が並ぶ厩に、豊かな実りを風に揺らす畑。そして、堂々たる風格の本丸御殿だ。
「河辺様ですね。応接室へどうぞ」
案内された部屋にはソファとテーブルのセット。とてもすっきりとしている。壁の掛軸は歌仙の作品だろうか。
「お待たせしました」
「いえ、全然」
彼女がこのヤマガミ本丸の主だ。
「新たに本丸が立ち上がるそうですね。おめでとうございます」
「あ、ありがとうございます。えと、それで、本丸構築の参考に、ヤマガミ様の本丸を見学させて頂けたらと思いまして……」
「どうぞ構いません。男士の私室以外はご自由に見学していってください。
迷子にならないよう、案内役をつけましょうか」
割と大きい家や店の建ち並ぶ区画から少し歩くと、道の右側に広い畑が広がっている。ここは町の人達が世話をしている畑だが、たまにヤマガミ本丸の男士が降りてきて共に作業する事もあるんだとか。
結界の役割を持つ白い鳥居をくぐる。道を外れれば戻るのは困難と伝え聞く。
やがて見えてきたのは美しい毛並みの馬が並ぶ厩に、豊かな実りを風に揺らす畑。そして、堂々たる風格の本丸御殿だ。
「河辺様ですね。応接室へどうぞ」
案内された部屋にはソファとテーブルのセット。とてもすっきりとしている。壁の掛軸は歌仙の作品だろうか。
「お待たせしました」
「いえ、全然」
彼女がこのヤマガミ本丸の主だ。
「新たに本丸が立ち上がるそうですね。おめでとうございます」
「あ、ありがとうございます。えと、それで、本丸構築の参考に、ヤマガミ様の本丸を見学させて頂けたらと思いまして……」
「どうぞ構いません。男士の私室以外はご自由に見学していってください。
迷子にならないよう、案内役をつけましょうか」