好きな人
まぁ、俺は承知で自分を貫いているんだけどね。
皆、自分を守るのに必死なのは分かる。
でも、ソレで肝心な″自分自身″を見失っちまう奴が沢山いるのも事実だ。
俺はそんな人生御免。
俺は・・・笑って生きたいんだ。
嘘の仮面じゃなく、関係じゃなく、・・・心からの・・。
現に、俺には敵が溢れかえっているが、味方にも温かく囲まれて生活を送っている。
十分だと思うんだ。
全員が全員と真の仲良しになれるわけがない。
なのに、高望みしている連中が多すぎる。
求めすぎなんだ。
『皆と仲良くしたい』『皆に自分をもっと理解して貰いたい』『自分は皆にこう見られたい』
等・・。
何故ソコで『皆』という言葉がついて回るのか・・。
分かり合える人が一人でも、自分を理解してくれる人がたった一人でもいるんなら、俺は恵まれてるって考えるけどな。
どうでもいい連中に何をどう思われようと、気にしない。
そして。
俺自身が本当に心から『好きだな』『大切だな』『一緒にいたいな』って想える奴じゃないと、コチラ側からも何も求めない。
ソレでいいだろう。うん。
だからと言って。
コレはアクマでも俺の意志、意見。
他人には他人なりの事情とかが何かしらあるんだし、コレらを押し付ける気は更々ない。
他人は他人、自分は自分。
ソレはソレで、・・受け入れる。
っつー感じで。
俺は人に対して強いマイナスな感情を抱くことは・・ない。
よっぽどではない限り。
そして、関心がない限り。
・・・・・つか。
コレは・・マイナスな感情・・??
・・本当に?
いや、違う。
山下智久。
斗真の愛する執事。
初めてコイツに会った時から、・・俺はやっぱりどこか異常なほどに興味をそそられた。
輝かしい笑顔。
怖いくらいに整った顔付き。
天使のように美しいのに、ふとした瞬間に男の色気を感じさせられる。
同時に、その風貌とは全く似つかない・・真逆の″暗く濁った影″をも匂わせていた。
疑問も生じた。
コイツは・・・天使の顔した悪魔なんじゃないかって・・・。
何の性懲りもなく・・。
初対面で早々、失礼極まりないと言うか・・・、実に馬鹿げてはいるが・・。
人目見て、俺は全身を何かに乗っ取られた気分に襲われたんだ。
とてつもなく、惹かれた。
コイツの・・・全てに。
コイツを隅々まで知り尽くしたくなった。
・・・不思議な感覚だった。
・・・不思議な男だったんだ。
ぴぃへの巨大な関心は、留まることを知らずにさらに膨らむ一方で・・。
そのまま色んな方向に動き出して・・。
現在でもぴぃを全然分析とかできてねぇけど。
だって、謎なんだもん。
マジで。
気付けば、思わぬところに辿りついてしまった。
俺は・・・斗真と同じ気持ちに・・・。
ぴぃ、
今、俺・・・
―――――おまえが・・・