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霞みの森の剣士

人が踏み固めただけの道の端に座り、3人は
目的地に着くまでに、おにぎりとお茶で腹ごしらえをすませる。

「こそこそなんて性分じゃねえや。とっとと親玉をやって帰ろうぜ」
伊之助は性格からして、調査には向いてない。それでも彼の使う獣の呼吸には、対象を探知できる型がある。
「いやいや、それだと戦闘ありきになるじゃないか」
善逸はげんなりして言った。
食欲がわかなくて、2つあるおにぎりは1つしか食べられなかった。
「あくまでも調査でしょ。現場判断は危険だよ」
鬼殺隊の本部の情報不足のまま、現場投入された過去があるぶん、善逸は消極的だ。
「鬼に出くわして、撤退できたためしがあるかよ」
伊之助はふん、と息巻く。
「そりゃないけど…」
「話の通じる輩なら、鬼殺隊士は要らねえよ」
猪の面を着けたまま、伊之助は器用に竹筒のお茶を飲む。
「鬼が居る、居ないを調べるだけのはずなのになぁ」
なんだか、遭遇したら問答無用の戦いの匂いしかしない…。
炭治郎もその辺り腹をくくっているし。
あまりごねていると、また炭治郎が般若の形相になってしまう。
ずっと怒ったのを引きずらないのが凄いと思うが。
あの顔は見たくない。
「さ、日が暮れないうちに行こう」
炭治郎が自然に促す。

この3人の隊長みたいになってるが、違和感はなかった。
(嫌でも、着くんだよな)
善逸は、道の先を見る。
調査だけで終わって欲しいと、まだ願いながら。
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