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霞みの森の剣士

とある森に入った人間達が行方不明になる事例が多発し、その森近くの人里を植物化した人間が襲う事件が起きている。

鬼が絡んでいるかもしれないと、鬼滅隊士3人に辞令が出た。
炭治郎、伊之助、善逸に森の調査に向かうようにと。
鎹烏の伝令を受付てその森を目指す事になったのだが。

「調査なんだよね?調査だけだよね?森調べて帰るだけだよね?」
まだ出発もしてないうちから、へっぴり腰の少年我妻善逸は、竈門炭治郎に泣きつかんばかりだ。
「鬼が絡んでいるかもしれないのに、調べて帰るだけなわけないだろ」
炭治郎は困り顔で善逸に言う。
「いやだって、調査でしょ?見たこと報告しに帰るのが今回の任務じゃないの?」
「それはそうだけど、調査して鬼を倒さないと事態が解決しないなら鬼を倒さないといけないんだよ?それは頭に置いとかなきゃ」
15歳の炭治郎の方がしっかりしている。
当の善逸は16歳。
1つしか違わないとはいえ、いささか情けない。
「今日こそ何事もなく過ごせると思ったのにぃ」
ガックリと肩を落とし、情けないため息を吐く善逸。

その視線が日の差し込まない部屋の隅に置かれた箱に向けられた。
「祢豆子ちゃん…」
炭治郎の妹竈門祢豆子は、鬼に傷を負わされそれが原因で鬼化してしまったと聞かされた。

鬼は陽光を浴びると灰になってしまうため、彼女は日中箱の中にいる。
「夜しか祢豆子ちゃんと遊ぶ機会ないのに…でなくたってここ最近、鬼退治だったのにさ」
任務への恨み節が口を吐く。
鬼殺隊のための施設藤の館に逗留して1週間。その間も伝令を受けては帰りでろくに休めていない。
「静かな朝ごはん、お茶飲んでほっと一息ついて、昼は型の特訓して、夜は祢豆子ちゃんと遊ぶ…俺の計画はいつ実行できるわけ?!」
…ついには騒ぎだした。
善逸の計画など本部は知った事ではない。
「絶対ろくな事にならないよ!森が植物人間だらけな挙げ句に、鬼と戦うハメになるとか絶対やーだー!!」
じたばたと畳の上を転がりだした。
転げ回るほど嫌らしい。
「…だから調査なんだろ?原因つきとめなきゃ被害者が次々出る。鬼が絡んでいるかも知れないって伝令にあったよね?」
「そりゃそうだけどさ炭治郎!だって植物人間が…」
善逸は固まった。
自分を見下ろす炭治郎の温和な顔が、般若の形相になっていたからだ。
それも久々に見る。
「…行く、行くよ炭治郎…だから般若の形相やめてよ」
「…無理して来なくていいけど…」
声もいつになく低い。これも久々。
「行く!行くよ!支度するから、その顔やめてよー!」
ぐずりまくって久々に炭治郎怒らせた善逸は、こうして任務へと向かうのだった。







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