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妖怪ハンター八雲

「ここが私の新しいオウチデスネ!」
 日本人離れしている銀髪を揺らしながら一人の男がある一軒家の前に大荷物を携えていた。

 彼の名前を小泉八雲。イギリスの大学で生物を研究いているのだが今回研究資料を集めるため来日した。生物といっても彼の場合妖怪やモンスターなど哺乳類でも植物でもない生物を研究している。イギリスでもマイナーな学問となったら日本にはもちろん同志がいないわけでそういうこともありわざわざ極東の地へ降り立ったのである。

 どうやらこの家は政府が確保してきた一軒家なのだが一人で暮らすにしては勿体ないほど立派な造りである。石垣によって隣の住宅と隔たりがあり、日のあたりの良い中庭までついている。しかし、人が長らく住んでいなかったようでところどころ手入れされていない箇所が見当たる。そんなことには目もくれず家の中へと荷物を運び入れていった。

 周りもすっかり暗くなりあとは寝るだけの状態となった八雲は庭に面する窓を開けぼんやりと空を見つめていた。故郷とは違いこの国では夜も空は明るく、じめりとしている。明日からは何をしようかと思いに更けているとふと猫の鳴き声が近くで聞こえた気がして目線を石垣の方に移した。そこには一匹の尾が二又に分かれている猫がおり、じっと八雲のことを見つめていた。一品ほど見つめ合った後、その猫は「おわぁ」と鳴きどこかへ去っていった。普通の猫とは違うオーラに八雲はにやりと笑い
「この国の怪異は日常に多く住み着いてると聞いてはいたものの…これは面白いことになりそうデスネェ」
 とつぶやき窓を閉めた。ああいった二又の猫は妖怪であるという伝承を聞いたことがある。真偽はともかく興味があるし何より一人暮らしは寂しい。明日にでもキャットフードを買い餌付けしてみようと心をわくわくさせて布団へと入っていった。
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