成り代わり主の死に方
成り代わり夢主の元の名前
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「元水柱、元花柱、流柱、嵐柱。来てくれてありがとう。君たちを呼んだのは、鳴柱のナナオについてのことだ」
彼は前世で得た知識を語り過ぎている。彼自身も、警戒対象だと伝わる程に。前世の記憶を少しも無駄にせず犠牲を減らし鬼殺隊に入隊してからずっと貢献してきたが、自身の生を繰り返しているとも言っていた彼の精神は危うい。
「私の声では、ナナオに届かないようでね。ナナオの側にいる君たちがどうか、私の分まで目をかけてあげて欲しい」
招集から数日後、流柱が鳴柱とその継子と共に蝶屋敷にやってきた。鳴柱が自身に刃を向けていた所を運良く出くわし意識を落とす形で止めた。側にいた継子は情けない顔で尻餅をついていたのでそれでも男か!と、馴染みの喝を入れた。
「鬼を倒すことも人の命を守ることも大事だが、一人でなんとかしようとするな。お前は強いが、もう少し自分の命を大事にしろ」
流柱から見た鳴柱は任務の度に自分の命を大事にと言ってきて体調管理を怠らない奴だった。そんな奴が鬼の攻撃を受け、血鬼術ごときで自害しようとしていた。元花柱が血鬼術を分析して分かった効果は、自分を苦しめる幻覚を見るというもので。鳴柱の家族だという隠は最近夢見が悪いと言っていた。もしも血鬼術でその悪夢が鮮やかに目の前に現れたら。前世の知識が、鳴柱を殺そうとしたんじゃないかと安易に想像できる。
目覚めた鳴柱の記憶は混濁し、つい最近の出来事を忘れていた。
自害をしようとしていたことも、忘れていた。
都合が良過ぎて違和感を覚えるほどに。なにより記憶が飛ぶことに対してなんでもないと本気で思っている。流柱は鳴柱の記憶に関して親方様が危惧していたことを静かに理解した。
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血鬼術の後遺症らしい頭痛と共にカスに殺されたことを、カスの顔を見た途端思い出した。また音がどうとか心配だとか言って纏わりついてくるカスの気遣いが理解出来なくて気持ち悪い。突然降って落ちてきた前世に今世の記憶がこんがらがって、溢れ出てくる言葉を止められなかった。
「五月蝿い分かってるからもう黙れ俺は大丈夫だ、俺は間違ってない。間違えてないだろ、大丈夫だろ。監視するような真似は辞めろ。無駄なことだ、お前はお前の役割を果たせ。俺に時間を掛けるのは無駄でしかない、俺の前から早く消えろ」
「何言ってんだよ落ち着いて、兄貴!しっかりしろよ!」
鬱陶しい温もりを肩から感じる。近くで五月蝿い声を上げられて耳が痛む。周りを見渡し自分が今蝶屋敷にいることを思い出す。この場には善逸以外にも耳飾りの奴も猪の奴もいて、全員揃って困惑顔だ。そりゃそうだ、俺は夢と現実を混同しおかしなことを言っていたからな。しかし、なんでここにいるんだ?いや、そんなことは些細だ。
「悪い、寝ぼけてた。忘れてくれ。……善逸がここにいると思わなくて、夢だと思ってた。だいぶ疲れてたみたいだ」
「疲れだけじゃないだろ。兄貴に血鬼術の後遺症があるってカナエさんから聞いたよ」
他の奴もだが、誤魔化しは特に。こいつらに通じないから動揺を悟られないように平静を保ちながら対応する。ああ、面倒だなこいつら。早く俺の目の前から消えてくれないか。俺は今世では間違ったことをしていないのに、何故拘って…いや、今世なら拘る理由を探せば見つけることはできるだろう。前世と違うことばかり俺は選んでいるんだから。俺は道を間違えてないはずで…駄目だ、前世の記憶に思考が傾く。血鬼術だけが原因ではない、これは俺が未熟だからだ。情けない、一人になりたい。俺の心情を無視して善逸が話し掛けてきたが、耳飾りの奴が察してくれたのかやんわり止めて猪の奴が引っ張って退室してくれた。え、ありがとう。素直に感謝した。
入れ替わりで流柱の鱗滝が…錆兎が入ってきて見舞い品に何故か饅頭を渡された。俺は真菰に付き合ってるだけで、甘味は別に好きってわけじゃない。そう言うと思ったと今度鮭大根を奢ると言われた。いや、それも俺は水柱が…義勇が分かりづらく食いたそうにしてるから付き合ってるだけで。そうやってゆるい雑談をして、錆兎とまた手合わせをする約束をした。話してるうちに善逸といた時に溢れていた嫌な感情が流されたのか、思い出した記憶を冷静に対処できた。今世の水の一門が無事で良かったなぁ。
後日、耳飾りと猪の二人の提案で善逸が俺の外出許可をもぎ取ってきた。気分転換に出かけて仲直りとかどうとか。喧嘩すらしてないのに、なんておかしな気遣いするんだ。思い出した前世の知識のお陰で決戦の時期が遠くないと理解し話し合いの必要性は感じていたけど、こんな穏やかな展開は想定外で笑えてくる。明日いつもの甘味屋さんに行こうと。楽しみだと、先日の俺からの八つ当たりを忘れたかのように善逸が笑う。バツが悪くなり謝ってみると、キレながら励ますようなことを言ってきて。家族みたいなことを言うなぁと笑うと善逸は大切で特別な家族だよ!と強気に叫んだ。必死な様がどうしてもツボで、決壊したように笑いが止まらなくなった。
俺が今世で初めて強く望んでいたことは、そういえばこんな風な何でもない日常だったな。
前世の記憶は呪いのように、今世の俺の身体を頭を縛り付ける。それでも、こんな願いを叶えたくて今世の初めに全てを糧にすると決意をしていたんだ。
きっかけの寺の家族は、隠になったけど昔と変わらず好き放題言ってくれる距離にいて。手合わせも昼食も同期の鱗滝を含む水の一門と一番していて、時々監禁されかけるが胡蝶姉妹には今もよく世話になっているし。嵐柱の粂野と風柱の弟の玄弥とは穏やかな関係で、風柱とは相変わらず穏やかじゃないが。悲鳴嶼さんや爺さんとは手紙で交流もしていて今も確かな繋がりがある。
望みをずっと叶えてたんだ…俺はもう、十分報われていて
大丈夫だったんだ。
俺は記憶を思い出してからそれに気付けず、今世と前世と比較して必死に大丈夫だと自分に言い聞かせていた。今世は今世じゃないか。笑い過ぎと安堵で涙腺が緩んで突然みっともなく泣き出す俺を見ても呆れもせず、ここぞとばかりに兄弟子振る善逸に俺の方が呆れたけど。俺は、自分のことを棚に上げて弟弟子の立場を都合よく利用した。
▼成り代わり主の補足2
隕ウ繧九b縺ョは縺願ゥアにある獪岳の死を受け入れられなかったので、偶然見つけた繰り返しの世界にいる獪岳を掬い上げて偶然望んだ別の人間をその場所にねじ込む。姿形や運命を寄せて作ったけど、中途半端な知識で作ったお陰で別人と縺願ゥアと獪岳に様々な不具合が起きる。一応やり過ぎたと思い、不具合を利用して獪岳を元に戻そうとしたが、別人が別人の域に達していて元に戻すことが不可能だと隕ウ繧九b縺ョは判断。繧ゅ≧荳?蠎ヲ豁サ繧薙〒繧ゅi縺翫≧