成り代わり主の死に方
成り代わり夢主の元の名前
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俺は鬼滅の刃の登場キャラクターや世界観が好きだ。
炭治郎と義勇さんには純粋に憧れる。鱗滝さんと錆兎も真菰もいるあの水の一門はいいぞ。辛いことはたくさんあったけど、諦めずに前を向いて成長し続けたんだ。報われて欲しいし幸せになって欲しい。この二人ならどんな困難もきっと乗り越えられる。理想の兄弟弟子だ。
妹の禰豆子ちゃんはヒロインしてて最高に可愛い。生きてるだけで尊いし、理想の妹の過ぎて困る。竈門兄妹の絆でいろんな人が救われたよなぁって思う。
我妻善逸は素直に面白いしすごい奴だ。どうしたらあんな精神を持てるんだって畏怖すらある。爺さんも辛抱強くて良い人だし。だからこそ際立つというか、兄弟子の獪岳が不憫に思える。生い立ちが善逸と似てるから尚更、屑な奴にも救いが欲しいと思うのは獪岳が俺の推しだからだろうか。
伊之助の野生児感と可愛い顔のギャップが良い。獣から人に成長していきなんだか見ていて親心みたいなものが生まれた気がする。たくさんの人に愛されて欲しい。琴葉さんも報われる。
カナヲと胡蝶姉妹は幸せいっぱいになって欲しい。カナヲは感情を取り戻せてきてこれからなんだよ、しのぶさん…カナエさんが生きてたらっていつも思う。
玄弥はほんと…もっと早くに仲直りしよう、実弥さん。お互い大事に思ってるし、絶対二人なら末長く幸せになれるから。そうじゃなきゃこっちが苦しくなる。
鬼殺隊のみんなは覚悟が決まりすぎていると思うんだ。お館様も、柱の人達も。どうしてこうも、人の為に行動ができるんだ。強くて厳しくて優しくて、生き様に胸が熱くなる。
無惨は少し置いといて鬼達も悲しい生き物と言われてたことに納得の悲劇を背負い込んでる。自業自得、因果応報ではあるけど。人間らしくて、全員悪役としてとても好きだ。
どいつもこいつも、こっちが苦しくなるくらいに生きてて、羨ましくて堪らなくなる。自分は突飛なことを望んで、平和な世界を惰性で生きている。何の悲劇も喜劇もない人生を送っているというのに、自分を含めたこの世の全てを好きになれなくて架空の世界に憧れる。
あんな風に一生懸命に生きられたらなぁって。
呑気に思っていたら強い衝撃と宙に浮いた感覚がして、よくわからないまま地面にぶつかろうとしていた。痛みを覚悟し目を閉じようとするが、周りは真っ白に変化していることに気がつく。異様さに周囲を見回すが自分の身体の感覚もおかしい。なんだか、夢を見てるようだ。
突然声が響く。その声は神を自称し俺の身に起きた出来事を説明してきた。
異世界に転生させようとした人の側に偶然いた俺を「転生トラックで間違って轢いてしまった。予定と違うから身体はまだ生きてて魂だけこの真っ白な所に飛んできてしまった。魂を戻せば元通りになるからセーフ」だと。
いや。セーフってなんだよ。転生トラックとかふざけんなよ。折角だからお願いとかあればサービスで何でも聞いとくよってなんだよ。黙って元通りにすることもできたけどこんな事故滅多にないからって、とことん人の命で遊ぶことを楽しんでるな!?
でも、願いを何でも聞くといってたな。さっきまで鬼滅の刃の二次創作を読んでたから、少し気になっていたことがあった。それについて話そうとすると自称神が俺の思考を読み取って勝手に話し始めた。結果、多少の代償はあるらしいが俺の願いが叶えられるということが分かった。願いが叶うならそんな代償は些細なことだ。
「推しに人生を捧げるという願いは叶えられますが、貴方は本当に後悔しませんね?」
あぁ、後悔しない。願いが叶えられるこのチャンスを無駄にはしたくない。間違いでも偶然でも、俺は自分のしたいことをしたい。あのまま何もないまま、生きてても仕方ないからな。それにしても、変な夢だな。起きたら話のネタになるだろうか。
▼成り代わり主の補足3
現実逃避しがちの残念主人公。現代基準の普通の道徳観を持ってはいるが、自信の無さを言い訳に他人の意思に乗って流され、追い詰められると何よりも自分の感情を優先させる屑。自分の意志を強く持ってる人に憧れている。
願いは、推しの獪岳に幸せになってもらう為に手っ取り早く自分の人生を捧げるというもの。代償は、獪岳が受けるはずだった諸々の何かの受け取り。つまり成り代わり。本人は代償の話を適当に流して成り代わることを知らずにいたし、自称神との出会いは非現実的すぎて夢だと思っていた。
鬼の本能や呪いは不具合の為おかしくなった。口調や科白が推しに寄ってるのは成り代わり当初からの癖(推しの顔で変なことを言いたくないという執念)で、繰り返していくうちに鬼滅キャラへの好意は磨り減り忘れていった。性格がブレたり前世の記憶を忘れたり思い出したりして忙しそうだが、発狂している。
成り代わり主自身が不具合でもある為、生者以外は近づくだけで影響を受けて何かしらの不具合が起きる。
▼獪岳
本誌通りの死後、地獄のような繰り返す世界にいた。別人の容姿と環境を手に入れた彼の行方は誰にも分からないが、元いた場所よりは幸せになれる可能性はある。このシリーズに出てきている獪岳は独白っぽいのも含めて全て成り代わり主の幻覚。
▼我妻善逸
毎回成り代わり主の出す音にビビりながらも引っかかりを覚えて関わりたいと思ってしまう。身内になると積極的に成り代わり主を兄貴と呼び、成り代わり主のことを獪岳と呼ぶことに謎の抵抗を感じている。
▼自称神
神を自称する、転生トラックを運転したり謎現象を引き起こした張本人。全て偶然なんだと主張している。
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夢見たんだ。俺は弱くて、誰よりもつまらない奴だから、なるべく人に迷惑をかけないように息を潜めて過ごす窮屈な夢だ。命を保つだけに時間や感情を消費していく中で、自分がどうして生きてるのか分からなくなっていた。そんな時に見つけたのが鬼滅の刃であり、獪岳の生き方だった。憧憬に似た感情を持て余し一時の退屈凌ぎで
「推しに自分の人生を捧げたいなぁ」
と、心の中で呟いていた。だって誰かの為に命を懸けられたら、生きることにも死ぬことにも意味があったって思えるだろう。きっとそれは救いや価値がある、幸せな生き方だ。自分本位で厨二的な都合良い妄想をしながら、目を逸らしてても間違わない慣れた帰り道を呑気に歩いてた。
それから俺は、どうなったんだっけ。たしか、変な場所にいて。この願いが、叶うならと…思い出した、俺は…!!!!
ああ、なんてことだ。俺は前世の全てを思い出した。
無気力に生きていたことも、事故で自称神に遭遇し願ったことも、獪岳に憧れていたことも。どうして大事なことを今まで忘れていたんだ。散々繰り返してしまったけど、好きだったフィクションをだいぶ滅茶苦茶にしてしまったけど。
俺はずっと何かの為に命を使いたかった。俺だけの役割が欲しかった。憧れの為にこうして命を使うことができるなら俺は満たされる。獪岳がそれで幸せなのかどうか俺は知ることができないが、俺は獪岳の為に俺はいきたい。きっとどれだけ願おうとこの繰り返しに終わりは来ないだろう。今存在しているこの日常も他人も、どれだけ必死に足掻こうと簡単に壊れてまた始まるんだ。それが分かって仕舞えば俺にとってはもう無意味で無価値だ。
俺のこの想いが尽きない限り、獪岳の全てを肯定し役割を果たそうじゃないか。
△荳阪$縺ゅ>縺ョ縺ッ縺ヲ
兄貴の音がまた変わった。いつもの歪で澄んだ音が壊れそうなほど荒々しく轟いていた先日と違い、不安になるくらい静かだ。嵐の前はこんな感じなんだろうか。
「紋逸、音楽に気をつけろ」
「紋逸じゃなくて善逸な。あと、音楽って兄貴のこと?」
「…あぁ。前と感じが変わってやがる。グラグラした気配、全然隠してねぇ。大丈夫とかどうとか嘘抜かしてなんかデケェことやるぞ」
「ま、まぁ目覚めた時からあからさまに不穏な音させてるからね。今の兄貴を一人になんてしないよ」
そう、決めたんだ。俺は兄貴を一人にしないよ。俺だけじゃない。目覚めてから無口になって単独任務に行きたがる兄貴のことを止めているのは、兄貴とよく一緒にいる隠とか柱とか親方様とか。親方様が味方なら一安心だなんて慢心はしない。兄貴は散々突飛な方法で沢山の人を守ってきたんだから。
口を閉ざしていた兄貴は何故か炭治郎にだけは積極的に関わっていた。ヒの呼吸について話してたけど、一体何なんだろう。鬼と相対する時もヒの呼吸の話してたけど。炭治郎に聞いても、分かったのは兄貴が誰かを捜してるってことだけ。
「今回はこの方法じゃ無理みたいだな」
気色悪い位穏やかに笑う今の兄貴が探している人物は前世では見つかってたんだろうな。別の人物を捜すことにした兄貴は、今度は炭治郎に手紙を託していた。なんで炭治郎ばっかり?て思ったけど、聞こえてきたのは禰豆子ちゃん関連のことだった。俺に話さないのは、俺には関係ないからと。そこまでしっかり聞こえてきた。ごめん、兄貴。俺、何をしようとしたって着いてくつもりだよ。出来る限りの事しか出来ないけど。この前みたいなこと、起きて欲しくないから。
それから数日後、街に行った兄貴は何も無い壁に入って姿を消した。確かに聞こえていた音も聞こえなくなったから慌てて兄貴を追いかけると、血を流す美しい鬼の女の人と書生の姿をした鬼がいた。
俺の存在を無視して兄貴はベラベラ前世の知識とこれから先起きることを白状していて、最後に女の人に土下座をした。「自分は鬼にならないといけない、鬼にしてくれ」って…??待って待ってよ。鬼殺隊最強の柱が何言ってんの?ほんと、待って?無惨以外の鬼が、人を鬼にすることなんて出来ないよね?できんの??できてもやめて!?全部聞いてたけど、納得できるわけないだろ!確実に鬼を倒す手段!?犠牲者を減らす!?どんだけ聞こえ良くしても兄貴が犠牲者とか絶対嫌だよ俺!自分の命を大事にしろって鬼殺隊の中でアンタが誰よりも言ってたのに。鬼にならなきゃ死ぬなんて、前世を根拠にしてたって決めつけないでよ。
結局、兄貴の願いは女の人が断ってくれた。書生の鬼に、困らせるなと兄貴と揃って怒られ兄貴を連れて帰ることができた。
でも、前世に拘り続ける兄貴は強硬手段に出た。その日は、親方様のいる屋敷に無惨が来た日だった。兄貴は無惨を前にして膝をつき、鬼にしてくれと言い放つ。俺も親方様も無惨もビックリだよ。兄貴は周りを気にしないでスラスラと誰かの台本を読んでる様に喋り続けていたけど、気味が悪いと言って無惨は兄貴を攻撃した。
「やっぱり俺を鬼にしてくれるのは上弦の壱だけかぁ」
無惨の攻撃は俺の目には何も見えなかったのに、兄貴は避け切っていて静かな口調で何処か遠くを見ていた。鬼とは違う、この世のものとは思えないおぞましい音が。もういいと、全部を諦めた音が聞こえた。
それからの兄貴は別人みたいだった。誰も見たことない型を使って兄貴は無惨を追い詰めていった。別人みたいじゃなくて、別人だ。ほんと、誰なの。鬼殺隊最強って、散々言われてたけどさ、こんな動きする?明らかに違うよね。この人は、兄貴じゃない。誰だよ、アンタ。
俺の兄貴をどこにやったんだよ。
俺も親方様も、集まってきた他の人も見てるだけだった。兄貴の姿をした奴が無残に刻まれても、ただただ見てるだけだった。おかしなことは兄貴がいなくなっても続いた。
無惨が突然崩れ出したんだ。鬼殺隊が長年追い続けた鬼が、おかしなくらいに呆気なく。そうして誰も理解できないまま全部終わった。
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