成り代わり主の死に方
成り代わり夢主の元の名前
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△善逸視点
柱候補の隊士って明らかにとんでもなく強いよね?鬼殺隊の一番偉い人がじいちゃんを頼るくらい、話の通じない恐ろしい人でさ?会う前から俺が関わるとか会話とか無理だって分かるよ。初対面の時その人から聞こえてくる音は澄みきってるのに歪んだ音で、やっぱり恐い人じゃんって歯とか膝とかをガタガタ震わせてつい叫んでしまった。
でも全く気にせず落ち着いた大人な声で俺のことを兄弟子なんて呼ぶから心臓がしゅっと縮んだ。きっと縮んだ。聞こえる音が態度と違い過ぎるから余計恐かった。それでもそんな恐い人に対してじいちゃんは俺と同じように扱った。隊士未満の俺と同じ扱いは流石にやばいって主張をよそに、その人は不満の音一つも出さずに俺を兄弟子と呼んで礼儀正しく稽古に真面目に取り組んでいた。
もしかして中から聞こえる音以上に、滅茶苦茶いい人では??そう期待した俺は稽古で立てなくなったある日、弟弟子におんぶを求めた。するとギョッとした音があったのに普通におんぶして一緒に帰ってくれた!つい嬉しくて背中で泣いちゃったのに不満の音じゃなくて懐かしんでる音が聞こえて、この人にも家族みたいに背負って帰った人がいるんだろうなぁって。この日から必要以上に警戒するのをやめた。優しい弟弟子だと認識を改めた俺は、弟ができたらこんな感じなのかなって思いながら距離を縮めていった。「俺たち同い年くらいだし敬語やめてほしい」とか「なんなら俺のことを兄貴って呼んでもいい」とか。じいちゃんの前で弟弟子にデレデレとしていると、俺の方が実際後輩であっちが大先輩だという現実を突っ込まれた。歳がいくつなのか聞いてないじゃんって、俺は兄貴呼びしてもらおうと躍起になって聞くと普通に俺より年上だった。冷静に日常を振り返ってみれば、納得できた。じいちゃんと過ごしている期間が俺の方長いのにあらゆる場面で阿吽の呼吸見せつけられてたし、俺が鍛錬でへばってても見捨てずに付き合ってくれるし。五つも型を使えて強いし、情けない俺のこと普通に扱ってくれるし…この人のが兄貴っぽいな。そもそも俺、兄って柄じゃなかったと立ち直りこの人のことを兄貴と呼ぶことに決めた。兄貴は懐かしそうな音をさせて、「お前が兄弟子なのに」って変な奴扱いしながらも当たり前みたいに受け入れてくれた。
兄貴が来て1ヶ月経つ頃、じいちゃんと俺で兄貴の打ち合い稽古をして…まぁ、元柱でもずっと前に引退したじいちゃんと隊士未満の俺じゃ現役隊士の兄貴の相手になるわけなくて、普通に獪岳が勝ったんだけど…。それでここに来た理由であるじいちゃんの決断を兄貴に伝えたんだ。俺も知ってたけどじいちゃんは兄貴のことちゃんと認めてた。でも兄貴は壱の型出来ないから自分には絶対相応しくないって一点張り。
いやいやいや聞いてた話が違うんですけど?!兄貴は壱の型出来ないのが気にならないくらい十分凄いって、大丈夫だって言ってんのに!壱の型ってそんなに拘ることなの?!俺とじいちゃんでそんなことないって伝えても兄貴には全然響かなくて、そんな気にするんなら壱の型が出来る善逸と共同で柱になるんじゃーって!じいちゃんが隊士にもなってない選別で死ぬ予定の俺を唐突に巻き込んだ。急展開に混乱して言葉を失ってる間に「こいつが一緒ならまぁいいか」って当たり前みたいに安心した音だして兄貴は納得しやがった!!
交渉成立!晴れて俺はじいちゃんに売られた!
いや、俺はじいちゃんに買ってもらったみたいな立場だったけど…!俺のこと巻き込む必要無いくらい兄貴は強いのにやめて!!俺、全力で兄貴の足引っ張るからな!!二人は一体何を根拠に俺のこと認めてんの!?一緒に鍛錬して弱いの知ってるでしょすぐ死んじゃうよ!そりゃ、任務で絶対兄貴が側にいてくれるんなら、死なないかもしれないけど…!
わざわざ一人にしないとか守りきるとか言わんでいいよ!!!俺が!いつか誰かに言いたかったこと、したかったこと、当たり前にしちゃうアンタが本当にずるい、ほんとっきらい!俺に厳しすぎる展開で泣きかけてると「選別通ったら正式に俺を継子にする」って澄んだ音をさせてトドメを刺してきた。
「もうちょっと兄弟子の俺を労ってよ」
そう反射的に言ったら、不器用な手つきで撫でてくれた。兄貴から聞こえる音は相変わらず歪んでるけど、手から伝わる確かな温もりに労わりを感じて泣いた。
△第三者視点
「初めて会った時に自分には私たち姉妹を守ることはできない、なんて言っていたのにね」
「二人のことは色んな人に言ってたからね。近い日に上弦が現れるから確実に仕留められるよう柱は複数でこの辺を見回りして、他の隊士は離れた場所の任務に行くようにって。親方様にもとんでもない交渉してたみたいだし」
「全部一人でしようとするわけじゃ無いから、悪くは無いんだけど…色々抜けてて、そこんとこ無自覚でいてずるいよなぁ」
花柱、水柱、嵐柱の三人は鳴柱をとりわけ構う三柱。嵐柱が混ざるようになったのはついこの間からだ。
鳴柱が玄弥を拾ってからの数日間に彼の今後について兄の実弥に話し合いをしていた…のだが、お互い気が短い方でもあり上手くいくわけもなく。鳴柱が弟共々鬼殺隊にいられなくすりゃ済む話だなんて、ご法度に触れるような物騒なことを躊躇なくしようとしていた。
「自分より大事なものを持ってんのにそれを蔑ろにするテメェみたいな奴が一番嫌いなんだよ」
鳴柱と実弥はそれぞれの兄弟子に回収され事なきを得たが、下弦の鬼と出くわした時の方が二人の仲裁に入る時よりマシだったと粂野は思わされた。それくらい殺伐としていた。
「さっきの文句、自分のことを棚に上げて言ってただろ!?」
向こう側の兄弟子の発した言葉が耳に張り付いて、離れずにいた。もしかしたら二人は似ているんだろう。自分のことをほとんど顧みず、根は優しいのに人に対して不器用なところとか、鳴柱の噂話しか知らないのに想像ができてしまう。知らないなら、知りたいならそうしないとな。粂野は切実に実弥の幸せを願っているので弟を預かっている鳴柱に率先して関わる決意をした。
▼
下弦の鬼は柱一人いれば十分に対処は可能だが上弦相手じゃ例え柱でも死人が出る、柱が最高の実力者なら尚更、今の時代に必ず無惨討伐できる。その為に柱の犠牲は一人も出してはいけない筈だ。柱だけじゃない、隊士もだ。選別を通ったとしても一人で任務など、この時代まで生き残っている鬼に対して餌を差し出してるも同義。隊士複数でも十二鬼月相手じゃ歯が立たず大勢殺されるというのに。一般人の犠牲者を増やさないことは、隊士の命よりも大事で隊士もそれを望んでいるかもしれない。しかし鬼殺隊の目的は無惨討伐。頭領を討つことが最優先されるべきこと。鬼に対して憎しみを積み上げて強くなれる特定の隊士を強化することとして効率的かもしれない。鬼殺隊が、鬼殺隊に所属をする覚悟を決めた者の犠牲を作り想いを繋ぎ続けることで無惨が討伐できるなら。それしか無惨を討つ手段がないなら。
俺はそれ以外の手段に俺は力を尽くしたい。
鳴柱に就任したナナオが親方様に対してそんな温いことを言ったとか。それがきっかけになったのか、多少鬼殺隊に変化が起きた。今までと比較して、一般人の犠牲者は減り、隊士の犠牲者も減った。温さだけが原因ではなかった。鳴柱とその継子はとても効率的に鬼を狩っていた。サクサク滅殺されて今までの鬼は、隊士の犠牲は何だったのかという程の勢いだった。
何より鳴柱は、十二鬼月の出現する地域を把握していた。山、列車、遊郭、隠れ里。鳴柱を含む複数の柱と隊士で綿密に立てた計画で犠牲者が出ることのない、鳴柱が現れる前の鬼殺隊を知る者が引くほどの快挙を成し遂げ続けていた。
隊士たちからいつの間にか鬼殺隊最強の鳴柱と呼ばれ、すごく尊敬され信頼され認められ…鳴柱がいれば鬼殺隊は大丈夫!無惨絶対倒せる!と殆どの人が思っていた。鳴柱本人は周囲からの評価を見ようとせず、ストイックに鬼が出てこなくなるまで鬼を滅殺し続けた。
△炭治郎視点
「多分ね、俺と爺ちゃんと兄貴、前世で家族だったんじゃないかなって思うんだよねぇ」
ウェヒヒと不気味な笑い方をしてるが心底幸せだという匂いがする。弟弟子の自慢話かと思えば、兄の自慢話だった。二人は孤児で血の繋がりはなく、共に過ごした期間は1ヶ月だけだと聞いた時は少し驚いたけど。鳴柱が前世の知識を自分に伝えに来てくれた時に善逸と話したことを伝えると、あいつらしいと複雑そうな表情をさせて強い信頼の匂いをさせた。
鳴柱は不安を感じる不思議な匂いと研ぎ澄まされた刃物のような匂いがする。
「竈門炭治郎、お前が得るはずだった経験の機会を俺の我儘でたくさん奪った。まずそれを謝罪させてくれ、本当に済まない」
その言葉から始まる鳴柱の謝罪は心当たりがあるものから無いものまで、割と多かった。でも、自分には受け取れない。だって死ぬ筈だった人を死なせないように行動することが悪だとは思えない。本当はこうなる筈だった、ああなる筈だった。悲しい事ばかり起きている世界より、今の世界の方が何倍も良いと思えてしまうから。叶うなら自分の家族を助けられるなら助けて欲しかったけど。鳴柱の色んな話を受け止めて、思うことはそれだけだった。もし鳴柱がこの世界の記憶を受け継いで、また繰り返すことになったなら。どうか妹を、家族を助けて欲しい。そんは祈りを呟けば、鳴柱から安堵と決意の匂いがして、必ず助けると真っ直ぐ自分に伝えてくれた。
柱候補の隊士って明らかにとんでもなく強いよね?鬼殺隊の一番偉い人がじいちゃんを頼るくらい、話の通じない恐ろしい人でさ?会う前から俺が関わるとか会話とか無理だって分かるよ。初対面の時その人から聞こえてくる音は澄みきってるのに歪んだ音で、やっぱり恐い人じゃんって歯とか膝とかをガタガタ震わせてつい叫んでしまった。
でも全く気にせず落ち着いた大人な声で俺のことを兄弟子なんて呼ぶから心臓がしゅっと縮んだ。きっと縮んだ。聞こえる音が態度と違い過ぎるから余計恐かった。それでもそんな恐い人に対してじいちゃんは俺と同じように扱った。隊士未満の俺と同じ扱いは流石にやばいって主張をよそに、その人は不満の音一つも出さずに俺を兄弟子と呼んで礼儀正しく稽古に真面目に取り組んでいた。
もしかして中から聞こえる音以上に、滅茶苦茶いい人では??そう期待した俺は稽古で立てなくなったある日、弟弟子におんぶを求めた。するとギョッとした音があったのに普通におんぶして一緒に帰ってくれた!つい嬉しくて背中で泣いちゃったのに不満の音じゃなくて懐かしんでる音が聞こえて、この人にも家族みたいに背負って帰った人がいるんだろうなぁって。この日から必要以上に警戒するのをやめた。優しい弟弟子だと認識を改めた俺は、弟ができたらこんな感じなのかなって思いながら距離を縮めていった。「俺たち同い年くらいだし敬語やめてほしい」とか「なんなら俺のことを兄貴って呼んでもいい」とか。じいちゃんの前で弟弟子にデレデレとしていると、俺の方が実際後輩であっちが大先輩だという現実を突っ込まれた。歳がいくつなのか聞いてないじゃんって、俺は兄貴呼びしてもらおうと躍起になって聞くと普通に俺より年上だった。冷静に日常を振り返ってみれば、納得できた。じいちゃんと過ごしている期間が俺の方長いのにあらゆる場面で阿吽の呼吸見せつけられてたし、俺が鍛錬でへばってても見捨てずに付き合ってくれるし。五つも型を使えて強いし、情けない俺のこと普通に扱ってくれるし…この人のが兄貴っぽいな。そもそも俺、兄って柄じゃなかったと立ち直りこの人のことを兄貴と呼ぶことに決めた。兄貴は懐かしそうな音をさせて、「お前が兄弟子なのに」って変な奴扱いしながらも当たり前みたいに受け入れてくれた。
兄貴が来て1ヶ月経つ頃、じいちゃんと俺で兄貴の打ち合い稽古をして…まぁ、元柱でもずっと前に引退したじいちゃんと隊士未満の俺じゃ現役隊士の兄貴の相手になるわけなくて、普通に獪岳が勝ったんだけど…。それでここに来た理由であるじいちゃんの決断を兄貴に伝えたんだ。俺も知ってたけどじいちゃんは兄貴のことちゃんと認めてた。でも兄貴は壱の型出来ないから自分には絶対相応しくないって一点張り。
いやいやいや聞いてた話が違うんですけど?!兄貴は壱の型出来ないのが気にならないくらい十分凄いって、大丈夫だって言ってんのに!壱の型ってそんなに拘ることなの?!俺とじいちゃんでそんなことないって伝えても兄貴には全然響かなくて、そんな気にするんなら壱の型が出来る善逸と共同で柱になるんじゃーって!じいちゃんが隊士にもなってない選別で死ぬ予定の俺を唐突に巻き込んだ。急展開に混乱して言葉を失ってる間に「こいつが一緒ならまぁいいか」って当たり前みたいに安心した音だして兄貴は納得しやがった!!
交渉成立!晴れて俺はじいちゃんに売られた!
いや、俺はじいちゃんに買ってもらったみたいな立場だったけど…!俺のこと巻き込む必要無いくらい兄貴は強いのにやめて!!俺、全力で兄貴の足引っ張るからな!!二人は一体何を根拠に俺のこと認めてんの!?一緒に鍛錬して弱いの知ってるでしょすぐ死んじゃうよ!そりゃ、任務で絶対兄貴が側にいてくれるんなら、死なないかもしれないけど…!
わざわざ一人にしないとか守りきるとか言わんでいいよ!!!俺が!いつか誰かに言いたかったこと、したかったこと、当たり前にしちゃうアンタが本当にずるい、ほんとっきらい!俺に厳しすぎる展開で泣きかけてると「選別通ったら正式に俺を継子にする」って澄んだ音をさせてトドメを刺してきた。
「もうちょっと兄弟子の俺を労ってよ」
そう反射的に言ったら、不器用な手つきで撫でてくれた。兄貴から聞こえる音は相変わらず歪んでるけど、手から伝わる確かな温もりに労わりを感じて泣いた。
△第三者視点
「初めて会った時に自分には私たち姉妹を守ることはできない、なんて言っていたのにね」
「二人のことは色んな人に言ってたからね。近い日に上弦が現れるから確実に仕留められるよう柱は複数でこの辺を見回りして、他の隊士は離れた場所の任務に行くようにって。親方様にもとんでもない交渉してたみたいだし」
「全部一人でしようとするわけじゃ無いから、悪くは無いんだけど…色々抜けてて、そこんとこ無自覚でいてずるいよなぁ」
花柱、水柱、嵐柱の三人は鳴柱をとりわけ構う三柱。嵐柱が混ざるようになったのはついこの間からだ。
鳴柱が玄弥を拾ってからの数日間に彼の今後について兄の実弥に話し合いをしていた…のだが、お互い気が短い方でもあり上手くいくわけもなく。鳴柱が弟共々鬼殺隊にいられなくすりゃ済む話だなんて、ご法度に触れるような物騒なことを躊躇なくしようとしていた。
「自分より大事なものを持ってんのにそれを蔑ろにするテメェみたいな奴が一番嫌いなんだよ」
鳴柱と実弥はそれぞれの兄弟子に回収され事なきを得たが、下弦の鬼と出くわした時の方が二人の仲裁に入る時よりマシだったと粂野は思わされた。それくらい殺伐としていた。
「さっきの文句、自分のことを棚に上げて言ってただろ!?」
向こう側の兄弟子の発した言葉が耳に張り付いて、離れずにいた。もしかしたら二人は似ているんだろう。自分のことをほとんど顧みず、根は優しいのに人に対して不器用なところとか、鳴柱の噂話しか知らないのに想像ができてしまう。知らないなら、知りたいならそうしないとな。粂野は切実に実弥の幸せを願っているので弟を預かっている鳴柱に率先して関わる決意をした。
▼
下弦の鬼は柱一人いれば十分に対処は可能だが上弦相手じゃ例え柱でも死人が出る、柱が最高の実力者なら尚更、今の時代に必ず無惨討伐できる。その為に柱の犠牲は一人も出してはいけない筈だ。柱だけじゃない、隊士もだ。選別を通ったとしても一人で任務など、この時代まで生き残っている鬼に対して餌を差し出してるも同義。隊士複数でも十二鬼月相手じゃ歯が立たず大勢殺されるというのに。一般人の犠牲者を増やさないことは、隊士の命よりも大事で隊士もそれを望んでいるかもしれない。しかし鬼殺隊の目的は無惨討伐。頭領を討つことが最優先されるべきこと。鬼に対して憎しみを積み上げて強くなれる特定の隊士を強化することとして効率的かもしれない。鬼殺隊が、鬼殺隊に所属をする覚悟を決めた者の犠牲を作り想いを繋ぎ続けることで無惨が討伐できるなら。それしか無惨を討つ手段がないなら。
俺はそれ以外の手段に俺は力を尽くしたい。
鳴柱に就任したナナオが親方様に対してそんな温いことを言ったとか。それがきっかけになったのか、多少鬼殺隊に変化が起きた。今までと比較して、一般人の犠牲者は減り、隊士の犠牲者も減った。温さだけが原因ではなかった。鳴柱とその継子はとても効率的に鬼を狩っていた。サクサク滅殺されて今までの鬼は、隊士の犠牲は何だったのかという程の勢いだった。
何より鳴柱は、十二鬼月の出現する地域を把握していた。山、列車、遊郭、隠れ里。鳴柱を含む複数の柱と隊士で綿密に立てた計画で犠牲者が出ることのない、鳴柱が現れる前の鬼殺隊を知る者が引くほどの快挙を成し遂げ続けていた。
隊士たちからいつの間にか鬼殺隊最強の鳴柱と呼ばれ、すごく尊敬され信頼され認められ…鳴柱がいれば鬼殺隊は大丈夫!無惨絶対倒せる!と殆どの人が思っていた。鳴柱本人は周囲からの評価を見ようとせず、ストイックに鬼が出てこなくなるまで鬼を滅殺し続けた。
△炭治郎視点
「多分ね、俺と爺ちゃんと兄貴、前世で家族だったんじゃないかなって思うんだよねぇ」
ウェヒヒと不気味な笑い方をしてるが心底幸せだという匂いがする。弟弟子の自慢話かと思えば、兄の自慢話だった。二人は孤児で血の繋がりはなく、共に過ごした期間は1ヶ月だけだと聞いた時は少し驚いたけど。鳴柱が前世の知識を自分に伝えに来てくれた時に善逸と話したことを伝えると、あいつらしいと複雑そうな表情をさせて強い信頼の匂いをさせた。
鳴柱は不安を感じる不思議な匂いと研ぎ澄まされた刃物のような匂いがする。
「竈門炭治郎、お前が得るはずだった経験の機会を俺の我儘でたくさん奪った。まずそれを謝罪させてくれ、本当に済まない」
その言葉から始まる鳴柱の謝罪は心当たりがあるものから無いものまで、割と多かった。でも、自分には受け取れない。だって死ぬ筈だった人を死なせないように行動することが悪だとは思えない。本当はこうなる筈だった、ああなる筈だった。悲しい事ばかり起きている世界より、今の世界の方が何倍も良いと思えてしまうから。叶うなら自分の家族を助けられるなら助けて欲しかったけど。鳴柱の色んな話を受け止めて、思うことはそれだけだった。もし鳴柱がこの世界の記憶を受け継いで、また繰り返すことになったなら。どうか妹を、家族を助けて欲しい。そんは祈りを呟けば、鳴柱から安堵と決意の匂いがして、必ず助けると真っ直ぐ自分に伝えてくれた。