成り代わり主の死に方
成り代わり夢主の元の名前
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寺にいたいと思っていたのに、眼が覚めると俺は出て行くことを決めてしまった。というのも、前世の記憶を夢の中でみたからだ。中途半端だった記憶の続きといえば、続きなんだが…思い出さないとまずそうな場面まで思い出したような感じで…また中途半端だった。
記憶の中の俺はあれから鬼殺隊に入隊したのに鬼となる道を選び、鬼の再生力を利用して恐ろしい鬼に立ち向かって死んで。それからまた生まれ直したと思ったら似た過ちを犯したのに鬼殺隊に入隊せず、悲鳴嶼さんに従って沙代と一般人として過ごし…恐ろしい鬼に無抵抗に殺された。それで夢は終わらずに続いていく記憶では、途中まで経緯が同じだったのに寺のみんなを見捨てて逃げて。盗みをしながら生き延びて物好きな爺さんに捕まり、鬼殺隊に入隊し様々な手段で鬼を狩っていき数人から評価されるようになっていった。
そのうちの一人が悲鳴嶼さんに助けられて鬼殺隊に入隊したんだ…という交流している日々がクローズアップされて夢が終了した。穏やかな交流で目覚めたから前のような焦燥感はなかったけど、起きたのが朝ではなく昼過ぎで泣いた。いつもなら寝坊の奴は誰かが必ず叩き起こすのに。
金稼ぎが発端だが、思い出したこの記憶が鬼殺隊に入隊する決め手となった。悲鳴嶼さんはこれからも寺のみんなと過ごす為、鬼殺隊に入隊する理由が無い。もし悲鳴嶼が鬼殺隊にいないままで俺の記憶通りに時が進むなら、あの人に助けられた人達はみんな…最悪死んでしまうんじゃないか?
俺は鬼殺隊の悲鳴嶼さんの足元にも及ばない弱い餓鬼だけど、見殺しにする理由として不十分だと思えた。その人に会ったことも、どこにいるのかも、悲鳴嶼さん以外の人からの助けが間に合うのかもわからない。でもその人は寺のみんなと同じ様に、明日も明後日も同じ日常が来ると信じてまだ生きているんだ。修正力とか強制力とかを知らんぷりしたけど、思い出してしまったらもう以前と同じ俺ではいられない。
悲鳴嶼さんを見つけて正面から向き合い、俺が思い出した大まかなことや鬼殺隊に入隊する意志を伝える。今すぐ金は返せず一旦寺から離れるが、俺の決意が揺るがないと知ると涙を流して認めてくれた。少しでも早く鬼殺隊に入隊したくて直ぐに寺を出ようとしたが、みんなで俺を見送りたいからと引き止められた。
それから悲鳴嶼さんと子ども達みんなに、また好き放題言われた。離れていてもお前の家はここだとか死ぬなとか、絶対金返せとか必ず帰って来いとか。だから今度は俺も言い返した。金は返すし絶対に生きて戻ると、悲鳴嶼さんと藤の花の香炉は大事にしろと。あと。俺は首に巻かれた紐をほどき、罅割れすら入らなかった黄色の勾玉を
「俺には必要ないから、みんなの生活の足しにしてください!」
と悲鳴嶼さんに手渡した。盲目の悲鳴嶼さんにみんなが何かを伝える前に、急いでこの場を急いで離れる。目指すのは前世の知識にあった藤の花の家紋の家だ。
もしも、運命や役割があるならばきっと今までの俺とは全く違うものを掴み取るだろう。まだ全てを思い出してはいないが、この想いが揺るがない確信が持てる。何故なら今の俺には、本当じゃないと知ってても 帰りたいと 失くしたくないと思える家族がいるんだ。
どんな困難に遭ったとしても、全てを糧にして乗り越えてみせる。