成り代わり主の死に方
成り代わり夢主の元の名前
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夢をみたんだ。ここは俺が良く知る現代で、俺は"別の誰か"になっていて"自分"を少し離れたところからなんとなく見ていた。誰にも認識されずにいたのに"自分"が何故か俺の存在に気づく。そして、こちらに向かってはっきりとこう言った。
「お前のおかげだ、快適な人生をありがとな」
幸福だと笑う"自分"に疑問を持つ。まさか、いま目の前にいる、"自分"の中身は、????
なんなんだあの悪夢は、とても不快だ。あれが事実ならあんまりじゃないか、俺が一体どんな罪を犯したというんだ。まるでここが地獄のようじゃないか。耐えられない思い出したくない…そんな事実、受け入れられない。自分は幼かったが生みの親はいつの間にか消え失せて、獪岳と言う名前だけが自分に残った。
家も無く一人でさ迷ってた所を善良な盲目の住職に拾われた。得体の知れない不安を感じる寺で生活していたら鬼に襲われ、悲鳴が聞こえる寺から必死に逃げた。
俺以外みんな死んでしまったに決まってる。もうあんな恐ろしいことは忘れてしまおう。泥水を啜り盗みをして生活していたら、今度は物好きな爺さんに拾われた。
既視感ある技はメキメキと身につき爺さんの期待を目一杯受けていたのに、爺さんは孤児を連れてきた。
そいつはよく鍛錬から逃げる癖に爺さんに認められていた。きっと俺に習得できなかった基本である壱の型ができるからだ。本当に気に入らない。俺の方が爺さんの役に立ってるだろ。もう誰にも迷惑かけてないだろ。どんな時も鍛錬を頑張って、先に入隊し成果を出してるのに。二人で後継だなんて、あんなカスと同じ扱いを受けるのが心底理解できない。しかもカスの癖に上弦の鬼と関わって生き残ってるなんて、信じられない。鍛錬から泣いて逃げてたあいつのことだ、逃げて生き残ったんだ。そうでないと俺の努力が全部無駄だったみたいじゃないか。カスと並ぶのは絶対に嫌だ、追い付かれないようにもっと強くならなければ。他の雑魚の言う事なんてどうでもいいんだ、なのにカスは鬱陶しいことを。未だに壱の型ができない俺への当て付けか。柱稽古には行きたくなかった。死んでるはずの知り合いと同じ名前の柱がいて、なんだか嫌な予感がする。最後の休暇になるかもしれない。爺さんに会いに行こう。
月明かりが綺麗な夜だった。鬼になった日のことは恐怖でよく覚えている。今までの嫌悪や恐怖がとても小さなことだったと理解した。もう立ち止まってはいけない、アレから与えられた役割を果たすんだ。たくさん人を喰って強くならないと。俺は何もないまま、無意味に死ぬことだけはしたくないんだ。
鴉が飛んでいた、そういえば鬼殺隊だった頃にカスから送られてきた手紙を処分し忘れていたな。そんなこと、もうどうでもいいか。鬼殺隊に大勢いる隊員が一人いなくなっただけだ、代わりはいくらでもいるだろう。ついに俺は上弦の陸になった。本拠地を攻めるらしく血をいただいた。大丈夫、俺は大丈夫だ。思い出してみろ、上弦が鬼殺隊にとってどれだけ脅威だったか。相手が誰であろうと問題なく倒してみせる。ここまで生き残ってきたんだ。俺は運が良い。
待ち構えていたらカスがやってきた。もうお前には届かないところに俺はいるんだ。爺さんが責任とって死んだ?俺のせい?何故勝手に死んでるんだ?鬼殺隊や爺さんが望んでやったことだろ?そっちの都合で俺だけが悪者扱いされるのは理解できない。不平等だ、そうだ。あぁ、ずっとそう思ってた、爺さんは不公平だった。役立たずのカスを明らかに贔屓してやがった。壱の型しか出来ないカスと俺を共同で後継だと。そんなの認められるわけない。でも、あの爺さんが死んだのか。無駄死にだな。しかしこのカス、本当に鬱陶しいな。理解できない相手に無駄な時間を掛けてしまった。さっさと黙らせようと、俺は慣れた型を使う。