成り代わり主の死に方
成り代わり夢主の元の名前
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上弦の弐には逃げられたが全員が生き残った。最悪なことに俺は復帰できる程度の負傷で、三人の柱は引退を余儀なくされた。二人じゃない、三人だ。
戦ってる途中、嵐柱の粂野が応援に駆けつけてくれたのだ。俺は粂野に庇われて刀を拾うことができた。即席メンバーだというのに息が合っていて、戦況は嵐のようだった。俺を殺すことを優先しているようで柱三人に対応しながらも俺への攻撃を緩めない。もう駄目かと思った瞬間に善逸が飛び込んできた時は本当に驚いた。この鬼よりも俺が目の前で死ぬ方が恐ろしいとキレ気味に叫ばれた。ふざけたこと言ってる場合かと俺も反射でキレそうになったが、善逸だけが使える壱の型は強かった。あれが要となり朝日が昇るまで誰も失うことなく持ち堪えることができた。
しかし三人の柱が一気に引退だ。俺が下手に上弦の弐に関わってしまったから被害が増えてしまった。治療を終え身体を休めている柱三人の元へ行き、室内に胡蝶妹がいることを忘れて懺悔をするように心情を溢した。
「情け無い!お前はそれでも男か!!」
「その鬼から姉さんを護ったことが無駄だったとでもいいたいの?」
「!!己の弱さや不甲斐なさにどれだけ打ちのめされようと 心を燃やせ!」
「まぁまぁ、三人とも落ち着こう」
「粂野、これは俺と獪岳の問題だ!やはり俺達水の一門には一度殴る権利がある!」
「そんな大事なことに富岡さんを置いて解決してしまったら可哀想じゃないですか。立ち会いますから富岡さんを連れてくるまで待っていてください」
「歯を喰いしばって前を向け!君が足を止めて蹲っても時間の流れは止まってくれない!」
「あぁ、待ってくれ胡蝶!カナエさんも連れて来てくれ!」
こうして役者が揃い、俺の発言から説教のようなものが始まった。まず鱗滝に根性論的なことをめちゃくちゃ言われて一発どころか数発殴られた。水柱である富岡には無言で頭ポンされた。
「選別の時…俺は途中で気を失い鬼を一人も倒せなかったから、お前を責めることはできない。きっとその権利があるのは錆兎だけだ。最後の鬼と戦っている最中に錆兎の刀が折れてしまったことを全てが終わってから俺は知り…もし相手がその異形の鬼だったら錆兎の命が危なかった」
それだけ言って澄んだ顔をした水柱は退がった。次に怒りを露わにした胡蝶妹がやってきた。
「貴方の横槍がなければ姉さんの命が危なかった。貴方は誰よりもあの鬼のことを知っておきながら、まだ逃げようと諦めようとするんですか?悲鳴嶼さんに受け入れられたというのに、その期待を裏切るんですか?鬼殺隊なら、蹲ってないで立ちなさい」
俺を鼓舞するような、俺にまだ期待をしてるような言い方に戸惑う。言葉は聞こえるのに、理解ができない。続けて炎柱は胸を張って生きろと、認めるようなことを言い出した。なんだこの、ご都合主義のような展開は。自分のことばかり気にしていた俺に何故こんなことが巡ってくる?
「正しくないと思って後悔しているなら、正しくあろうと精一杯生きるんだ。今の獪岳には共に戦ってくれる弟弟子がいるだろ」
「私達は一緒には戦えないけど、協力をさせて頂戴。貴方のしてきたことが無駄だと、間違いだと決め付けるのはまだ早いわ」
なんなんだ、この善人達は。何かが湧き上がるような、溢れてくるような気持ちになる。ここまで言われて俺は漸く、知識を利用して改変した未来をより良い方向に変えてみせると決意した。
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上弦の陸のいる遊郭へは知識通りのメンバーに俺が追加された。音柱の嫁達は情報収集する必要がなくなった為、付近の人の避難誘導をしている。上弦の陸の顔を知る俺が直接向かう。察していたが相手も俺の存在を知っていて、殺意が肌を刺す。上弦の弐と参の事があって無惨が鬼達に俺を殺せと命じたらしい。兄が出現し、はじめから本気スタイルだったがこちらは死ぬつもりはない。善逸は俺がいるとまだマシな動きができる為、それを全力で利用する。結果、知識通りの方法で二人を倒すことができて、全員今後の任務に復帰できる程度の負傷で済んだ。
療養中に胡蝶妹が双子を連れて来た。自分は蟲柱に就任、この双子は朧柱と霞柱に就任したという報告だった。双子の柱は胡蝶が数年前に助けた為、鬼殺隊に入隊した。鬼殺隊には柱が引退しても新しく柱になれる程の実力者がいる。鬼殺隊を甘く見るなと言われた。
「一応貴方もその一人ですよ。あれだけ十二鬼月と相対して生き残ってるのは貴方くらいですから」
「でもこの人、お喋りばかりの腰抜けなんだよな?」
「知ってる敵相手にこんな怪我する?明らかに弱いよね」
胡蝶妹も含めて若くて才能があって、毒舌なのはよくわかった。刀鍛冶の里が襲撃されるのがいつなのかわからないが、この双子に頑張ってもらうことになる。それに胡蝶妹の使う毒は上弦の弐の対抗手段の一つとして理解しておきたい。新たな柱達に自分の持つ知識について話した。
奇跡的に休暇が被ったので爺さんの家に善逸と向かう。手紙で直接話したいことがあると呼ばれていたが、善逸と帰って来るとは思わないだろう。きっと共同で後継をする趣旨を聞かされる。善逸の事は相変わらず好きにはなれないが、俺と共に戦える今の善逸となら上手くいく気がする。今の俺にはやらなければいけないことがたくさんあるから、雷の呼吸のせいで俺の道連れにされる善逸は運が悪いと思いつつ歩みを進める。