成り代わり主の死に方
成り代わり夢主の元の名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
頸に刃を受けるまで、そりゃもう気分がよかった。壱の型しかできない出来損ないのムカつくカスをどう潰してやろうかと。鬼の身体はすぐ再生するから平気だ。焦る必要は無い、少し油断しただけだ。奇跡だ、次は無い。
今までなら、そう思う筈だった。
頸の傷を発端に脳天から落雷を受けた様な衝撃が起きた。痛みとも恐怖とも違う衝撃に気を取られながらも、相手から目を離さないように振り返るとカスはこちらを睨んでいた。
「遅えんだよ、クズ」
カスの声を聞き取った瞬間に頭の中で何かの音がした。嫌な気配のするその音が何なのか気づいたら全てが終わることを察していた。まだ終わりたくない。気づいてはいけない、それなのに俺は気づかずにはいられなかった。
「…は……ざけんな」
最悪な気分だ。目の前が真っ暗になるって、こういうことかと呑気に考えてる場合じゃないのに。苦しくて苦しくてやってられない。全て投げ出したい。でも、投げ出したらここで死ぬことになることは容易に分かる。嫌だ。死にたくない。なんで、なんでなんでなんで…!!
「なんで今さらなんだよ!!!!」
俺は刀を床にぶん投げて頭をぐしゃぐしゃにして奇声を挙げ目の前の現実から目を閉ざす。ここから始まるのは運の悪い俺の現実逃避だ。
「何で今更思い出すんだよ!!!走馬灯にしちゃ明らかに早ええぞ!!?俺まだ死んでねぇよふざけんな!!!鬼になってりゃ死んだも同然ってか!?だとしてもまじで何でこのタイミングなんだよ!!!あともう数刻で首チョンパされて死ぬ未来しかねーじゃねーか!!!こういうのって普通もっと前に思い出す筈だろ!!なんで擁護不可の状況で思い出しちまったんだよクソがぁあああ!!!!!」
叫び終え重い瞼を上げるとこちらを凝視する善逸と目が合う。ほんと、どうしろってんだよ。俺は叫んだ通り、思い出してしまったんだ。ほっといてくれ…いや、ほっとけるわけないか、コイツ俺の頸斬りにきたんだし。頸を差し出せばいいの?はぁ?無理。吐き気がしてきた。今まで散々見下してカス扱いしてきた奴に…絶望で死にたい辛いほんと無理。
認めたくないが故に散々無様に足掻いていたがいい加減白状しよう。俺は、前世を思い出したのだ。
前世で俺は鬼滅の刃という漫画本を暇つぶしにチラ見しながら呑気に生きていた。生前の行動も漫画の内容も。細かいことは覚えてないが、その漫画の中の登場人物である獪岳の無意味感溢れるあんまりな死に様に憧憬のような感情を抱き強く惹かれていた。前世の細かな所は覚えてないし、印象深いところは今起きてるこの辺だ。まさか。だからこの辺で記憶を思い出したのか!?
「いやいやいやだからって俺にそんなふうに死ねと!??憧憬ってのは憧憬のままが1番綺麗なんだぞ!!ふざけんなクソ!!!」
「か、獪岳?お前、急にどうしたんだよ」
「そんな別の生き物を見るような目で、お前にだけは見られたくなかった!!」
「お前、獪岳だよな?」
「俺が獪岳じゃなきゃ誰が獪岳なんだよ!!誰か代われよ!!!もうやだ!!!なんなんだよクソがぁあああ!!!」
叫び疲れてきたので深呼吸する。
「あ、善逸できれば刀を向けるのをやめてくれるか。今の俺に戦意はない。それどころじゃねぇんだ。というか本気でもう何もしたくない呼吸すらしたくないし、なんにせよ頼む。今は俺の話を聞いて欲しい。
無惨が死んだら頸斬っていっああああああ!!!??あ、あ!あれ?し、死なない??なんでだよ無惨の呪いどうなってんだよオカシイだろポンコツか??いや、それより善逸、頼むから俺の話を聞いてほしい」
俺は膝をつき床に伏せる。土下座だ。まだ気持ちがごちゃごちゃして身体が震える。今までの俺のままじゃ本当に駄目だ。とにかく変わらないと、このまま善逸に殺されるのは絶対に嫌だ。せっかくここまで生き延びたのに、記憶にある獪岳のように死ぬのは嫌だ。もうなりふり構ってられない。今更だ、今更だってはじめからわかってる。だけど最期に、死に方を俺に選ばせてくれないか。
今までなら、そう思う筈だった。
頸の傷を発端に脳天から落雷を受けた様な衝撃が起きた。痛みとも恐怖とも違う衝撃に気を取られながらも、相手から目を離さないように振り返るとカスはこちらを睨んでいた。
「遅えんだよ、クズ」
カスの声を聞き取った瞬間に頭の中で何かの音がした。嫌な気配のするその音が何なのか気づいたら全てが終わることを察していた。まだ終わりたくない。気づいてはいけない、それなのに俺は気づかずにはいられなかった。
「…は……ざけんな」
最悪な気分だ。目の前が真っ暗になるって、こういうことかと呑気に考えてる場合じゃないのに。苦しくて苦しくてやってられない。全て投げ出したい。でも、投げ出したらここで死ぬことになることは容易に分かる。嫌だ。死にたくない。なんで、なんでなんでなんで…!!
「なんで今さらなんだよ!!!!」
俺は刀を床にぶん投げて頭をぐしゃぐしゃにして奇声を挙げ目の前の現実から目を閉ざす。ここから始まるのは運の悪い俺の現実逃避だ。
「何で今更思い出すんだよ!!!走馬灯にしちゃ明らかに早ええぞ!!?俺まだ死んでねぇよふざけんな!!!鬼になってりゃ死んだも同然ってか!?だとしてもまじで何でこのタイミングなんだよ!!!あともう数刻で首チョンパされて死ぬ未来しかねーじゃねーか!!!こういうのって普通もっと前に思い出す筈だろ!!なんで擁護不可の状況で思い出しちまったんだよクソがぁあああ!!!!!」
叫び終え重い瞼を上げるとこちらを凝視する善逸と目が合う。ほんと、どうしろってんだよ。俺は叫んだ通り、思い出してしまったんだ。ほっといてくれ…いや、ほっとけるわけないか、コイツ俺の頸斬りにきたんだし。頸を差し出せばいいの?はぁ?無理。吐き気がしてきた。今まで散々見下してカス扱いしてきた奴に…絶望で死にたい辛いほんと無理。
認めたくないが故に散々無様に足掻いていたがいい加減白状しよう。俺は、前世を思い出したのだ。
前世で俺は鬼滅の刃という漫画本を暇つぶしにチラ見しながら呑気に生きていた。生前の行動も漫画の内容も。細かいことは覚えてないが、その漫画の中の登場人物である獪岳の無意味感溢れるあんまりな死に様に憧憬のような感情を抱き強く惹かれていた。前世の細かな所は覚えてないし、印象深いところは今起きてるこの辺だ。まさか。だからこの辺で記憶を思い出したのか!?
「いやいやいやだからって俺にそんなふうに死ねと!??憧憬ってのは憧憬のままが1番綺麗なんだぞ!!ふざけんなクソ!!!」
「か、獪岳?お前、急にどうしたんだよ」
「そんな別の生き物を見るような目で、お前にだけは見られたくなかった!!」
「お前、獪岳だよな?」
「俺が獪岳じゃなきゃ誰が獪岳なんだよ!!誰か代われよ!!!もうやだ!!!なんなんだよクソがぁあああ!!!」
叫び疲れてきたので深呼吸する。
「あ、善逸できれば刀を向けるのをやめてくれるか。今の俺に戦意はない。それどころじゃねぇんだ。というか本気でもう何もしたくない呼吸すらしたくないし、なんにせよ頼む。今は俺の話を聞いて欲しい。
無惨が死んだら頸斬っていっああああああ!!!??あ、あ!あれ?し、死なない??なんでだよ無惨の呪いどうなってんだよオカシイだろポンコツか??いや、それより善逸、頼むから俺の話を聞いてほしい」
俺は膝をつき床に伏せる。土下座だ。まだ気持ちがごちゃごちゃして身体が震える。今までの俺のままじゃ本当に駄目だ。とにかく変わらないと、このまま善逸に殺されるのは絶対に嫌だ。せっかくここまで生き延びたのに、記憶にある獪岳のように死ぬのは嫌だ。もうなりふり構ってられない。今更だ、今更だってはじめからわかってる。だけど最期に、死に方を俺に選ばせてくれないか。
1/34ページ