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色々省くけど、私たちは
【プロローグ】
南の島でコロシアイ生活をすることになった
私の名前は黒羽緋色。ごく普通の家庭に生まれ普通に生きてきたありふれた高校生だ。好きなものはいちごオレで嫌いなものは毛虫。得意なものも苦手なものも特になく、趣味もありふれたものだと思っている。
希望が峰学園に来た理由は、今年から在学することになる友達に秘密の労いの言葉を渡しに行こうと目論んだからであって。才能なんて1ミリも存在しない。だからこそ、解せない。私が入学することになるとか、コロシアイに巻き込まれるとか、前世にあったゲームのことを思い出すとか。
あの日の私は誰に会いに行こうとしたんだろう。思い出したくてもこれっぽっちも記憶がない。あの日から私はどんな絶望を抱いたんだろう。わからない、わからないことだらけだ。ウサミを撃ち抜いていく銃弾一つ一つが私の思考を掻き乱してるようで、これが現実だとはっきりと伝える。混乱の中で唯一わかるのは、窓の外で憧れていた大好きな人たちが私と同じようにコロシアイに巻き込まれて絶望に弄ばれてることだ。
そんなのいやだ。
簡単に無表情へ隠せてしまう反抗心で私は小さく決意する。
みんなを死なせたくない。
こうして私たちのコロシアイ修学旅行がはじまった。
【第1章 - 絶望トロピカル - 】
ベッドはふかふかだ。いつだって離れ難いものなんだと再確認する。でも二度寝なんかしてられない。みんなを死なせたくないから、私はがんばるんだ。なにをがんばればいいのかわからないけど、とにかくがんばること。ソニアさんが一章のおわりにいっていたことを思い出して、私はがんばるためにレストランに向かった。
レストランに着くと朝早そうな人たちが集まっていた。あまり眠れなかったのか皆不安げな顔をしている。
時間が少し経ってしまったが、左右田が小泉さんに引きずられながらレストランに着いてやっと朝食会が始まった。
強引に十神くんがリーダーに名乗り出て
それからジャバウォック公園に移動しモノクマタイマーを確認。みんなの狼狽えてる様をぼんやり記憶を辿って眺めていた。どれもこれも、時間が経てばいずれ分かることだ。
冷めた自分を無視して、狛枝か十神くんを探すことにした。ズバリ、説得である。探す道中、十神くんと日向くんが一緒の行動をしてるのを見かけた。なんともいえない温かい気持ちになったので、心の中でらーぶらーぶと唱えておこう。
ようやく見つけた狛枝に声をかける。
「狛枝くん、今時間空いてましたら貴方の希望のカケラをください」
「やあ、黒羽サン。…それってつまり黒羽サンの貴重な時間をボクなんかに使うってことかな…?」
「そうだよ。私は狛枝くんのお話ししたいんだ。本当は十神くんとお話ししたかったんだけど、御曹司に気軽に関わるなんて恐れ多い気がして…そもそもね、」
それから2人で十神くんをはじめとした超高校級のみんなのことでもりあがった。狛枝くんに親近感を抱かれた。少しでも、仲良くなれたかな。
終わりと始まりは表裏一体で、自由時間が終わるとモノクマからのレクリエーションタイムが始まった。
始終悪意あるふざけた態度のモノクマは、モノミが記憶を奪ったことや裏切りもののことを一方的に告げる。私の知識と違うことといえば、この修学旅行は本来15人しか参加しないはずなのに2人もおかしなやつがいる。片方はエキストラの雑魚でいいとして、もう片方は裏切り者に違いないということだ。
おかげさまで痛いくらいの疑いの眼差しが私に向けられる。なんせ私は記憶を思い出す前の自己紹介のとき、生徒手帳にかいてあることを考え無しに言ってしまったのだ。
自分は、超高校級のエキストラ と。
記憶と裏切り者とエキストラ、続き九頭龍が一匹狼を気取り、自分は人殺しをできると不穏な発言をして雰囲気が更に悪化する中、十神くんが高らかに言う。
「疑うのは勝手だが、モノクマの言うことを間に受けるな。理解してるとは思うが黒幕の思う壺だぞ。この俺がリーダーとなったからには誰一人犠牲者はださせん。」
かっこいいなって眺めてても意味ないんだ。疑われてもみんなを守りたい気持ちは変わらないんだから、これから事件が起きようとしてるってことを私だけが知ってるんだから。エキストラの雑魚なんて舐めて油断してるなら尚更、モノクマに一泡吹かせて全員生還ハッピーエンドを目指すんだ。傲慢に言い聞かせてその日は眠りについた。
薄暗い雰囲気も何もかも関係なく必ず明日は来るわけで、夜が明けてレストランに向かう。昨日の決意を胸にパーティ宣言とくじ引きを終え、自由時間になる。
十神くんと話をしたいと思っていたので見つけられてから一緒の時間を過ごした。
才能とコロシアイについて話をした。どんな才能であれ、コロシアイを止めたい私は私だといってくれた。その言葉をそのまま十神くんに返したいけど、まだ胸に秘める。
小泉さんに声を掛けられた。どうやら男子に秘密の女子会というやつをパーティ前にやるらしい。昔の私はイベント参加できずにいたっけと、思い出しながら是非ともと、参加させてもらって素敵な時間を過ごした。
作ったお菓子を一つ包装しておく。もし、自由時間を日向くんと過ごせたら渡したいと思ったからだ。日向くんをみつけ、声を張り切ってかける。アンテナが動いてかわいい。一緒にすごせることが夢のようだ。日向くんはエキストラの雑魚と呼ばれてた私をちょっと気にしてたけど、優しく接してくれた。
「そうだ。黒羽、ビバ氷が余ってるんだけど食うか?」
「?!!いちご味ですねこれは…っありがとうございます…ありがとうございます……!」
「そんなに喜んでもらえるなんて、こっちも嬉しくなるよ。いちご 本当に好きなんだな」
「大好きです…!!わたしなんかに…嬉しいです…ありがとうございます…!…あっあの」
「どうした?」
「えっと、今手作りお菓子をもってるのですが、お返しにもらっていただけますか?私だけ貰うなんてあまりに勿体無いので…っお願いいたします」
「そ、そこまでいわれたら貰わないわけないぞ…でも、いいのか?俺以外に渡したいやついたんじゃないのか?」
「ひっ日向くんに渡したいと思ってたんです!だから、どうぞ!!」
「あぁ、ありがとう…」
クスリと笑われた。大げさにしすぎたかなって恥ずかしくなる。でもちゃんと渡すことができた安心感があった。
夜になり、旧館に向かう。入ってすぐに十神くんから厳重なチェックを受け、私は真っ先にパーティ会場にではなく厨房に向かう。留まるわけないと思うけど、花村くんと少しでも話をしたかった。
「花村くん、こんばんは」
「わっ黒羽さん?!やぁこんばんは!料理の香りにつられて、僕のところに来ちゃったのかな?」
「そうでもあります。花村くんに全部任せっきりなのが申し訳ない気がして、何か手伝えることがあったら手伝いたいのですが…邪魔でしたか、ね…」
「心配いらないよ!寧ろ僕の料理をみんなとたくさん楽しんでほしいから、邪魔しちゃうのは僕なんじゃないかな。もしかして黒羽さんは僕と一緒にいたかったりするの?」
「…っはい!パーティ中ずっと一緒にいたいです!」
「邪魔するぞ、花村」
「あれ、黒羽?ここにいたのか」
「十神くん、日向くん。2人ともどうして厨房に?」
「凶器になりうるもののチェックだ。どいてもらうぞ」
包丁やフォークやシェラスコ、いろんなものが取り上げららた。がっかりしてる花村くんをみて、励ましたくて目線を合わせる。
「大丈夫だよ。これでコロシアイの可能性がきえるんですから。こうしてみんなが協力していけばくいとめられるんだから。」
「そういうことだ。ふん、もういいだろう。パーティに戻るぞ、黒羽も来い」
「私は料理を運ぶ花村くんを手伝いたいのですが…」
「黒羽、同じことを二度もいわせるな」
「黒羽さん、僕のことは気にしないで!」
「う…はい……」
全然助力にもなれなかった…せめてアイロンを止めといたほうがよかった…いや、アイロンを止めたとしても狛枝の幸運がなんかやらかすに決まってる。パーティ中は狛枝のそばにいよう、少しでも食い止められるように。
どう思考をめぐらせたって、パーティが始まる。幸運相手に賭けなんて負ける気しかないけど、停電してから狛枝を止めるしか 良い展開が思いつかない。でもこういう時は絶対に勝つことを考えないと、負けることなんか考えちゃダメだ。重い顔をしてたのか、側にいる狛枝に気を遣わせてしまう。私をみんなの所に行くように促すのはきっと、計画が上手くいくようにする為でもあるんだろう。でもここは、狛枝も道連れにしてやる。狛枝がエアコンから離れたら計画なんて、出来なくなるはずだ。
そう思い行動している途中、ピピっという音が聞こえた。瞬間、全てが暗闇に包まれた。がっちり、こうなればとにかく何が何でも狛枝を離すものかと握る手を強くする。と、なぜか手を握り返され私を引っ張り出した。
「えっ?狛枝くんですよね?」
返事は無いが、握り返すことができるのは狛枝以外に存在するわけがない。もしかして、私を殺すつもりであのテーブルに向かってる…?そうだとしたら、とか思考してるうちにドタドタとこちらにかけていく音が聞こえる。十神くんが来て…握る手が下の方に下がる。十神くんがナイフを手に取る前になにかを、何かを…、閃き、私は手を振り払い、側にありそうなテーブルらしきものを力づくでひっくり返してやろうとした。布らしき手触りに、持てなくない重さだ。テーブルクロスを思いっきり引っ張り、派手な音がするが関係ない。
「そいやぁっ!!」
「おい?!お前何をしている!」
皿が床に叩きつけられる音と固いものがぶつかる間抜けな音がして、蛍光塗料に光る床とナイフが露わになる。大成功だドチクショウと心で叫ぶ。あとは床下に居そうな花村くんが何かやらなければ、コロシアイは防げるはずだ。蛍光塗料のついたナイフは大きな手に没収されるところを確認し、明かりがつくまでに狛枝をふん縛っておく気持ちであたりを探す。当たり前に見つけられるわけもなく、しばらくしたら、明かりが戻った。モノクマが戻した感が強いが狛枝も、十神くんも無事であることが確認できた。あとはここにいない花村くんだ。サービスシーンをしてくれてる罪木さんを保護してると十神くんがみんなにパーティの中止を宣言し、ここにいろという指示を出し、一人で大広間を出る。待っている間に私がひっくり返したおくのテーブルにみんなが気づく。蛍光塗料の跡があり、騒然としてる中、いなかった人を連れて十神くんが戻ってきた。
そうして九頭龍くんを抜いたみんなで犯人探しのディスカッションがはじまった。
停電、ひっくり返ったテーブル、蛍光塗料とナイフ、その3つの犯人だ。
停電が何故起きたのか、エアコンのタイマー、倉庫のアイロン、事務室のブレーカー、辺古山さんが名前にあがったが、停電の原因が電力消費が理由だとわかると、辺古山さんの事情は不問に終わる。
何故テーブルがひっくり返ってるのかは、私が真っ先に手を挙げ説明する。誰かに手を引っ張られて不安に思ったので、ちょっと身を守る為に手当たり次第散らかしてみたという、苦しい言い訳だが。
蛍光塗料とナイフの謎は、十神くんが追い詰めた。
「停電の準備も、ナイフの準備も簡単にできるのは旧館を掃除していた狛枝、貴様だけだ」
「んぅうううううっっ…………あはっ」
狂ったような笑い声をあげ希望の演説をする狛枝にドン引きしてるけど、狛枝が花村くんの名前を挙げるとさらにみんなは混乱していく。花村くんが慌てて言い訳するけど、狛枝が上乗せして今回の計画を話し出す。
「でも正直、黒羽サンのこと、エキストラだってみくびっていたよ。本当だったらボクを押し退けてテーブル下に十神くんが潜り込んでナイフを回収しにいって…床下にいる花村くんがその影をボクだと勘違いしてるはずだもん。…まぁ、ボクみたいなゴミクズが才能あるみんなのためにがんばっても上手く出来るわけなかったね」
「…というと、狛枝くんは私を殺そうとしてたんですか……?」
「うん。だって超高校級のエキストラってさ、とてもじゃないけどみんなと同じような才能とは思えない…残念でゴミクズなボクと似た才能に感じるからね」
「まぁ。そうですよね、私もみんなと同じような才能だとはおもえないですし…選んでくれてありがとうございます。」
「黒羽…なんでそんなやつに」
「私が不運にも選ばれちゃったから狛枝くんの計画をぶち壊せたんだって思うので。十神くん、もう終わったよね。これからどうしましょうか?」
「フン、わかっている。お前達は寄り道せず自分のコテージに戻れ。今日はもう遅い。明日の朝、レストランに来て今後のことについて話し合いをする、いいな?」
「ちょっと、狛枝を放っておく気なの…!?」
「さっきの今でやらないよ?準備してたトリックが全部台無しになっちゃったし、もっといい機会にかけてみようと思うから…って今更ボクなんかの言うことなんて信じてもらえないか」
「お前らの警戒心は今がピークだろう?そんな中やる奴がいれば自分が犯人だと言ってるようなものだぞ。今日はもう、明日に備えるんだ」
そろそろと、まあ田中だけは旧館の床下に寄り道はしたけど 解散していった。私の今日の行動は偶然でうまくいけたけど、これからはわからない。犠牲になるはずだった2人がいる、未知のルートだ。せっかく守れたのに不安になったって仕方ないと思い、仮眠をとるように浅い眠りにつく。
【第2章 - 海と罰、罪とココナッツ - 】
夢をみた。夢の中でずっとずっとずっと雨のようにその声は降り注いでいた。彼の彼の彼の彼の為に、彼の為に、彼を護るんだ、死んでほしくないんだ、彼の為に私は、私は彼が大切だから。彼が生きられるなら、私は…。
目を覚ますと、当たり前に朝で 夢のこともほとんど忘れてて。軽い身支度をしてレストランに向かう。レストランには九頭龍がいて狛枝がいないことに納得した。左右田と弐大があからさまで、十神くんが当然のように看破した。九頭龍は大方の流れをみて罵声を吐いて出て行ってしまった。狛枝は十神くんが監視するということに話がまとまるとひょこっとモノクマがでてきた。モノケモノについて話にきたらしい。一方的に言うと入れ替わるようにモノミがやってきた。第2の島に行けるという情報を伝えると、みんなに追い出されてしまった…モノミが不憫だから優しくしたい……狛枝は仕方ないと思うのでひとまず記憶から取り払う。
みんなを追って第2の島に行ってみることにした。ビーチハウスの方にとりあえず向かってみる。小泉さんが犠牲になってしまっていたこの部屋…引き金になるゲームは、みんなでやってみんなで話し合って解決すべきだと私は思う。エキストラな私には無謀にもほどがあるけど、十神くんがいるんだからと勝手にそこで阻止できると信じてみる。
デスボイスに似た悲鳴が外からきこえてくる。何となく察しながらも外へ出てみると、終里と弐大が戦っていた。呆然とする日向くんと澪田さんの側に寄り、観戦する。モノクマと戦う終里を庇って弐大がロボットになってしまう未来を思い出すが、今解決できそうなことではないと判断しておく。
血と汗が飛び散る激しい戦いが終わり、そっと遺跡に向かう。すれ違った七海さんに遺跡に集まってとも言われ、到着した私は全員が集まるのを待機する。みんなが集まると遺跡の謎に挑戦だが、今は触れるべきではないと十神くんの命令が下り、全員解散する。
自由時間だ。辺古山さんを見つけたので、彼女を誘ってみる。ふと、今朝みた夢のことを思い出し、相談してみる。
「大切な者の為に私は剣を握ってきたからな…気持ちは分かる」
「辺古山さんが護りたいって思っている幼なじみさんの話、よかったら聞かせてくれませんか?」
この交流が彼女の決意の止めにもならないと知っても、聞いたっていいよね。大切に想っている人のこと…。
コテージに帰りながらその話は続いた。
「辺古山さん、きっとその幼なじみさんも辺古山さんが大切ですよ。聞いてるだけで、末長く二人一緒にいてくださいって気持ちになりましたので」
「な…っ」
「だからみんなで欠けることなく、この島から出ましょう」
「……あぁ、そうだな」
夕闇が迫る頃、狛枝がご飯を食べてるのか少し気になったので、ロケットパンチマーケットから仕入れた菓子パンを片手に旧館に足を踏み入れた。
「よっと…、狛枝くんいきてますか?」
「…黒羽サン?ボクなんかの所に…なんで来ちゃったの?」
「いつも通りだね。晩御飯食べましたか?軽いものなら持ってきましたが、足りなければまた調達にいきますよ」
「ボクみたいなゴミクズを哀れんで恵んでくれることはすごくありがたいんだけど、十神くんが食事を用意してくれるはずだから、受け取れないよ」
「そっか、じゃあ…眠れない時の夜食にどうぞ。それも嫌でしたらコレ、十神くんに没収されてください。」
「えっ」
「それじゃ!またね、狛枝くん」
走ってとりあえず帰宅する。モノクマアナウンスが、ジャバウォック公園に集まるように指示を下した。それからゲームの動機が発表され、ざわめき立つ。期待が外れて十神くんにゲームをやるなと宣言され、私がまごついてるうちに解散になった。
こっそり夜中に向かうとモノミがゲーム側にいた。申し訳程度の監視役を頼んでたことを思い出し、明日に賭けてみることにした。朝になり、ひとまずレストランにいって朝のミーティングに参加するが、特に変わったこともなく自由時間になった。自由時間を誰と過ごそうかと迷ってたら花村くんを見かけた。
「花村くんおはようございます!」
「あっ、黒羽さん…!おはよう…」
花村くんとは先日のことを交えて時間を過ごした。
狛枝のことが怖くないの?って聞かれて素直に答える
「もちろんこわいよ。あいつは危ないこと考えてるし、平気で危ないことをする。でも」
そこまで異常になってしまったのは才能のせいだよ、なんて今の私には話せない。
【プロローグ】
南の島でコロシアイ生活をすることになった
私の名前は黒羽緋色。ごく普通の家庭に生まれ普通に生きてきたありふれた高校生だ。好きなものはいちごオレで嫌いなものは毛虫。得意なものも苦手なものも特になく、趣味もありふれたものだと思っている。
希望が峰学園に来た理由は、今年から在学することになる友達に秘密の労いの言葉を渡しに行こうと目論んだからであって。才能なんて1ミリも存在しない。だからこそ、解せない。私が入学することになるとか、コロシアイに巻き込まれるとか、前世にあったゲームのことを思い出すとか。
あの日の私は誰に会いに行こうとしたんだろう。思い出したくてもこれっぽっちも記憶がない。あの日から私はどんな絶望を抱いたんだろう。わからない、わからないことだらけだ。ウサミを撃ち抜いていく銃弾一つ一つが私の思考を掻き乱してるようで、これが現実だとはっきりと伝える。混乱の中で唯一わかるのは、窓の外で憧れていた大好きな人たちが私と同じようにコロシアイに巻き込まれて絶望に弄ばれてることだ。
そんなのいやだ。
簡単に無表情へ隠せてしまう反抗心で私は小さく決意する。
みんなを死なせたくない。
こうして私たちのコロシアイ修学旅行がはじまった。
【第1章 - 絶望トロピカル - 】
ベッドはふかふかだ。いつだって離れ難いものなんだと再確認する。でも二度寝なんかしてられない。みんなを死なせたくないから、私はがんばるんだ。なにをがんばればいいのかわからないけど、とにかくがんばること。ソニアさんが一章のおわりにいっていたことを思い出して、私はがんばるためにレストランに向かった。
レストランに着くと朝早そうな人たちが集まっていた。あまり眠れなかったのか皆不安げな顔をしている。
時間が少し経ってしまったが、左右田が小泉さんに引きずられながらレストランに着いてやっと朝食会が始まった。
強引に十神くんがリーダーに名乗り出て
それからジャバウォック公園に移動しモノクマタイマーを確認。みんなの狼狽えてる様をぼんやり記憶を辿って眺めていた。どれもこれも、時間が経てばいずれ分かることだ。
冷めた自分を無視して、狛枝か十神くんを探すことにした。ズバリ、説得である。探す道中、十神くんと日向くんが一緒の行動をしてるのを見かけた。なんともいえない温かい気持ちになったので、心の中でらーぶらーぶと唱えておこう。
ようやく見つけた狛枝に声をかける。
「狛枝くん、今時間空いてましたら貴方の希望のカケラをください」
「やあ、黒羽サン。…それってつまり黒羽サンの貴重な時間をボクなんかに使うってことかな…?」
「そうだよ。私は狛枝くんのお話ししたいんだ。本当は十神くんとお話ししたかったんだけど、御曹司に気軽に関わるなんて恐れ多い気がして…そもそもね、」
それから2人で十神くんをはじめとした超高校級のみんなのことでもりあがった。狛枝くんに親近感を抱かれた。少しでも、仲良くなれたかな。
終わりと始まりは表裏一体で、自由時間が終わるとモノクマからのレクリエーションタイムが始まった。
始終悪意あるふざけた態度のモノクマは、モノミが記憶を奪ったことや裏切りもののことを一方的に告げる。私の知識と違うことといえば、この修学旅行は本来15人しか参加しないはずなのに2人もおかしなやつがいる。片方はエキストラの雑魚でいいとして、もう片方は裏切り者に違いないということだ。
おかげさまで痛いくらいの疑いの眼差しが私に向けられる。なんせ私は記憶を思い出す前の自己紹介のとき、生徒手帳にかいてあることを考え無しに言ってしまったのだ。
自分は、超高校級のエキストラ と。
記憶と裏切り者とエキストラ、続き九頭龍が一匹狼を気取り、自分は人殺しをできると不穏な発言をして雰囲気が更に悪化する中、十神くんが高らかに言う。
「疑うのは勝手だが、モノクマの言うことを間に受けるな。理解してるとは思うが黒幕の思う壺だぞ。この俺がリーダーとなったからには誰一人犠牲者はださせん。」
かっこいいなって眺めてても意味ないんだ。疑われてもみんなを守りたい気持ちは変わらないんだから、これから事件が起きようとしてるってことを私だけが知ってるんだから。エキストラの雑魚なんて舐めて油断してるなら尚更、モノクマに一泡吹かせて全員生還ハッピーエンドを目指すんだ。傲慢に言い聞かせてその日は眠りについた。
薄暗い雰囲気も何もかも関係なく必ず明日は来るわけで、夜が明けてレストランに向かう。昨日の決意を胸にパーティ宣言とくじ引きを終え、自由時間になる。
十神くんと話をしたいと思っていたので見つけられてから一緒の時間を過ごした。
才能とコロシアイについて話をした。どんな才能であれ、コロシアイを止めたい私は私だといってくれた。その言葉をそのまま十神くんに返したいけど、まだ胸に秘める。
小泉さんに声を掛けられた。どうやら男子に秘密の女子会というやつをパーティ前にやるらしい。昔の私はイベント参加できずにいたっけと、思い出しながら是非ともと、参加させてもらって素敵な時間を過ごした。
作ったお菓子を一つ包装しておく。もし、自由時間を日向くんと過ごせたら渡したいと思ったからだ。日向くんをみつけ、声を張り切ってかける。アンテナが動いてかわいい。一緒にすごせることが夢のようだ。日向くんはエキストラの雑魚と呼ばれてた私をちょっと気にしてたけど、優しく接してくれた。
「そうだ。黒羽、ビバ氷が余ってるんだけど食うか?」
「?!!いちご味ですねこれは…っありがとうございます…ありがとうございます……!」
「そんなに喜んでもらえるなんて、こっちも嬉しくなるよ。いちご 本当に好きなんだな」
「大好きです…!!わたしなんかに…嬉しいです…ありがとうございます…!…あっあの」
「どうした?」
「えっと、今手作りお菓子をもってるのですが、お返しにもらっていただけますか?私だけ貰うなんてあまりに勿体無いので…っお願いいたします」
「そ、そこまでいわれたら貰わないわけないぞ…でも、いいのか?俺以外に渡したいやついたんじゃないのか?」
「ひっ日向くんに渡したいと思ってたんです!だから、どうぞ!!」
「あぁ、ありがとう…」
クスリと笑われた。大げさにしすぎたかなって恥ずかしくなる。でもちゃんと渡すことができた安心感があった。
夜になり、旧館に向かう。入ってすぐに十神くんから厳重なチェックを受け、私は真っ先にパーティ会場にではなく厨房に向かう。留まるわけないと思うけど、花村くんと少しでも話をしたかった。
「花村くん、こんばんは」
「わっ黒羽さん?!やぁこんばんは!料理の香りにつられて、僕のところに来ちゃったのかな?」
「そうでもあります。花村くんに全部任せっきりなのが申し訳ない気がして、何か手伝えることがあったら手伝いたいのですが…邪魔でしたか、ね…」
「心配いらないよ!寧ろ僕の料理をみんなとたくさん楽しんでほしいから、邪魔しちゃうのは僕なんじゃないかな。もしかして黒羽さんは僕と一緒にいたかったりするの?」
「…っはい!パーティ中ずっと一緒にいたいです!」
「邪魔するぞ、花村」
「あれ、黒羽?ここにいたのか」
「十神くん、日向くん。2人ともどうして厨房に?」
「凶器になりうるもののチェックだ。どいてもらうぞ」
包丁やフォークやシェラスコ、いろんなものが取り上げららた。がっかりしてる花村くんをみて、励ましたくて目線を合わせる。
「大丈夫だよ。これでコロシアイの可能性がきえるんですから。こうしてみんなが協力していけばくいとめられるんだから。」
「そういうことだ。ふん、もういいだろう。パーティに戻るぞ、黒羽も来い」
「私は料理を運ぶ花村くんを手伝いたいのですが…」
「黒羽、同じことを二度もいわせるな」
「黒羽さん、僕のことは気にしないで!」
「う…はい……」
全然助力にもなれなかった…せめてアイロンを止めといたほうがよかった…いや、アイロンを止めたとしても狛枝の幸運がなんかやらかすに決まってる。パーティ中は狛枝のそばにいよう、少しでも食い止められるように。
どう思考をめぐらせたって、パーティが始まる。幸運相手に賭けなんて負ける気しかないけど、停電してから狛枝を止めるしか 良い展開が思いつかない。でもこういう時は絶対に勝つことを考えないと、負けることなんか考えちゃダメだ。重い顔をしてたのか、側にいる狛枝に気を遣わせてしまう。私をみんなの所に行くように促すのはきっと、計画が上手くいくようにする為でもあるんだろう。でもここは、狛枝も道連れにしてやる。狛枝がエアコンから離れたら計画なんて、出来なくなるはずだ。
そう思い行動している途中、ピピっという音が聞こえた。瞬間、全てが暗闇に包まれた。がっちり、こうなればとにかく何が何でも狛枝を離すものかと握る手を強くする。と、なぜか手を握り返され私を引っ張り出した。
「えっ?狛枝くんですよね?」
返事は無いが、握り返すことができるのは狛枝以外に存在するわけがない。もしかして、私を殺すつもりであのテーブルに向かってる…?そうだとしたら、とか思考してるうちにドタドタとこちらにかけていく音が聞こえる。十神くんが来て…握る手が下の方に下がる。十神くんがナイフを手に取る前になにかを、何かを…、閃き、私は手を振り払い、側にありそうなテーブルらしきものを力づくでひっくり返してやろうとした。布らしき手触りに、持てなくない重さだ。テーブルクロスを思いっきり引っ張り、派手な音がするが関係ない。
「そいやぁっ!!」
「おい?!お前何をしている!」
皿が床に叩きつけられる音と固いものがぶつかる間抜けな音がして、蛍光塗料に光る床とナイフが露わになる。大成功だドチクショウと心で叫ぶ。あとは床下に居そうな花村くんが何かやらなければ、コロシアイは防げるはずだ。蛍光塗料のついたナイフは大きな手に没収されるところを確認し、明かりがつくまでに狛枝をふん縛っておく気持ちであたりを探す。当たり前に見つけられるわけもなく、しばらくしたら、明かりが戻った。モノクマが戻した感が強いが狛枝も、十神くんも無事であることが確認できた。あとはここにいない花村くんだ。サービスシーンをしてくれてる罪木さんを保護してると十神くんがみんなにパーティの中止を宣言し、ここにいろという指示を出し、一人で大広間を出る。待っている間に私がひっくり返したおくのテーブルにみんなが気づく。蛍光塗料の跡があり、騒然としてる中、いなかった人を連れて十神くんが戻ってきた。
そうして九頭龍くんを抜いたみんなで犯人探しのディスカッションがはじまった。
停電、ひっくり返ったテーブル、蛍光塗料とナイフ、その3つの犯人だ。
停電が何故起きたのか、エアコンのタイマー、倉庫のアイロン、事務室のブレーカー、辺古山さんが名前にあがったが、停電の原因が電力消費が理由だとわかると、辺古山さんの事情は不問に終わる。
何故テーブルがひっくり返ってるのかは、私が真っ先に手を挙げ説明する。誰かに手を引っ張られて不安に思ったので、ちょっと身を守る為に手当たり次第散らかしてみたという、苦しい言い訳だが。
蛍光塗料とナイフの謎は、十神くんが追い詰めた。
「停電の準備も、ナイフの準備も簡単にできるのは旧館を掃除していた狛枝、貴様だけだ」
「んぅうううううっっ…………あはっ」
狂ったような笑い声をあげ希望の演説をする狛枝にドン引きしてるけど、狛枝が花村くんの名前を挙げるとさらにみんなは混乱していく。花村くんが慌てて言い訳するけど、狛枝が上乗せして今回の計画を話し出す。
「でも正直、黒羽サンのこと、エキストラだってみくびっていたよ。本当だったらボクを押し退けてテーブル下に十神くんが潜り込んでナイフを回収しにいって…床下にいる花村くんがその影をボクだと勘違いしてるはずだもん。…まぁ、ボクみたいなゴミクズが才能あるみんなのためにがんばっても上手く出来るわけなかったね」
「…というと、狛枝くんは私を殺そうとしてたんですか……?」
「うん。だって超高校級のエキストラってさ、とてもじゃないけどみんなと同じような才能とは思えない…残念でゴミクズなボクと似た才能に感じるからね」
「まぁ。そうですよね、私もみんなと同じような才能だとはおもえないですし…選んでくれてありがとうございます。」
「黒羽…なんでそんなやつに」
「私が不運にも選ばれちゃったから狛枝くんの計画をぶち壊せたんだって思うので。十神くん、もう終わったよね。これからどうしましょうか?」
「フン、わかっている。お前達は寄り道せず自分のコテージに戻れ。今日はもう遅い。明日の朝、レストランに来て今後のことについて話し合いをする、いいな?」
「ちょっと、狛枝を放っておく気なの…!?」
「さっきの今でやらないよ?準備してたトリックが全部台無しになっちゃったし、もっといい機会にかけてみようと思うから…って今更ボクなんかの言うことなんて信じてもらえないか」
「お前らの警戒心は今がピークだろう?そんな中やる奴がいれば自分が犯人だと言ってるようなものだぞ。今日はもう、明日に備えるんだ」
そろそろと、まあ田中だけは旧館の床下に寄り道はしたけど 解散していった。私の今日の行動は偶然でうまくいけたけど、これからはわからない。犠牲になるはずだった2人がいる、未知のルートだ。せっかく守れたのに不安になったって仕方ないと思い、仮眠をとるように浅い眠りにつく。
【第2章 - 海と罰、罪とココナッツ - 】
夢をみた。夢の中でずっとずっとずっと雨のようにその声は降り注いでいた。彼の彼の彼の彼の為に、彼の為に、彼を護るんだ、死んでほしくないんだ、彼の為に私は、私は彼が大切だから。彼が生きられるなら、私は…。
目を覚ますと、当たり前に朝で 夢のこともほとんど忘れてて。軽い身支度をしてレストランに向かう。レストランには九頭龍がいて狛枝がいないことに納得した。左右田と弐大があからさまで、十神くんが当然のように看破した。九頭龍は大方の流れをみて罵声を吐いて出て行ってしまった。狛枝は十神くんが監視するということに話がまとまるとひょこっとモノクマがでてきた。モノケモノについて話にきたらしい。一方的に言うと入れ替わるようにモノミがやってきた。第2の島に行けるという情報を伝えると、みんなに追い出されてしまった…モノミが不憫だから優しくしたい……狛枝は仕方ないと思うのでひとまず記憶から取り払う。
みんなを追って第2の島に行ってみることにした。ビーチハウスの方にとりあえず向かってみる。小泉さんが犠牲になってしまっていたこの部屋…引き金になるゲームは、みんなでやってみんなで話し合って解決すべきだと私は思う。エキストラな私には無謀にもほどがあるけど、十神くんがいるんだからと勝手にそこで阻止できると信じてみる。
デスボイスに似た悲鳴が外からきこえてくる。何となく察しながらも外へ出てみると、終里と弐大が戦っていた。呆然とする日向くんと澪田さんの側に寄り、観戦する。モノクマと戦う終里を庇って弐大がロボットになってしまう未来を思い出すが、今解決できそうなことではないと判断しておく。
血と汗が飛び散る激しい戦いが終わり、そっと遺跡に向かう。すれ違った七海さんに遺跡に集まってとも言われ、到着した私は全員が集まるのを待機する。みんなが集まると遺跡の謎に挑戦だが、今は触れるべきではないと十神くんの命令が下り、全員解散する。
自由時間だ。辺古山さんを見つけたので、彼女を誘ってみる。ふと、今朝みた夢のことを思い出し、相談してみる。
「大切な者の為に私は剣を握ってきたからな…気持ちは分かる」
「辺古山さんが護りたいって思っている幼なじみさんの話、よかったら聞かせてくれませんか?」
この交流が彼女の決意の止めにもならないと知っても、聞いたっていいよね。大切に想っている人のこと…。
コテージに帰りながらその話は続いた。
「辺古山さん、きっとその幼なじみさんも辺古山さんが大切ですよ。聞いてるだけで、末長く二人一緒にいてくださいって気持ちになりましたので」
「な…っ」
「だからみんなで欠けることなく、この島から出ましょう」
「……あぁ、そうだな」
夕闇が迫る頃、狛枝がご飯を食べてるのか少し気になったので、ロケットパンチマーケットから仕入れた菓子パンを片手に旧館に足を踏み入れた。
「よっと…、狛枝くんいきてますか?」
「…黒羽サン?ボクなんかの所に…なんで来ちゃったの?」
「いつも通りだね。晩御飯食べましたか?軽いものなら持ってきましたが、足りなければまた調達にいきますよ」
「ボクみたいなゴミクズを哀れんで恵んでくれることはすごくありがたいんだけど、十神くんが食事を用意してくれるはずだから、受け取れないよ」
「そっか、じゃあ…眠れない時の夜食にどうぞ。それも嫌でしたらコレ、十神くんに没収されてください。」
「えっ」
「それじゃ!またね、狛枝くん」
走ってとりあえず帰宅する。モノクマアナウンスが、ジャバウォック公園に集まるように指示を下した。それからゲームの動機が発表され、ざわめき立つ。期待が外れて十神くんにゲームをやるなと宣言され、私がまごついてるうちに解散になった。
こっそり夜中に向かうとモノミがゲーム側にいた。申し訳程度の監視役を頼んでたことを思い出し、明日に賭けてみることにした。朝になり、ひとまずレストランにいって朝のミーティングに参加するが、特に変わったこともなく自由時間になった。自由時間を誰と過ごそうかと迷ってたら花村くんを見かけた。
「花村くんおはようございます!」
「あっ、黒羽さん…!おはよう…」
花村くんとは先日のことを交えて時間を過ごした。
狛枝のことが怖くないの?って聞かれて素直に答える
「もちろんこわいよ。あいつは危ないこと考えてるし、平気で危ないことをする。でも」
そこまで異常になってしまったのは才能のせいだよ、なんて今の私には話せない。