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ここは鬼滅の刃の世界。俺は転生者だ。自称神に安全に生きる為に交渉して、願いを3つ叶えて貰ってこの世に生まれた。前世の記憶をそのまま持っていることと、自分の望む最善に向かえる幸運と、一週間先までの未来を先読みできる力を願いとして叶えて貰った。
転生してたんだ、なんて自覚したのは2歳くらいの頃。それまでは疑問を疑問と認識できずのんびり過ごしてた。自覚する前にじっちゃとばっちゃに保護されて何も心配せずとも暮らせてたからだ。じっちゃとばっちゃ曰く、村の外の道端に捨てられてたそうだ。見つけられたことは幸運だったと。
前世などの記憶をはっきり思い出しても俺は特に何も変わらなかった。強いて言うなら、これから雨が降るとか、嵐が来るとかを村人に伝えることを始めた。未来が見えるなんて言わず、風の匂いがするとかごまかして。外れることが一度も無かった為不思議がられたが信じてもらえた。
色々世話になってるからちょっとは役に立ちたくて。俺の動機は軽くて風が吹けばすぐ消えてしまうようなものだ。他人に優しくできる自分が好きだからなるべくこのまま平穏に過ごしたかった。こんな、ささやかな日常がこの世でずっと続くわけないのに。
この日まで天気予報にだけ使っていたが、俺は眠ることで大まかにこれから起きることを予知夢のように先読みができるのだ。
一週間後、ついにこの小さな村に鬼が来る。あっという間に村人が何人も襲われ、自分だけ見つからない場所に逃げていた。この未来は先読みの力を最低限に利用した結果だった。じっちゃはこないだ死んだし、ばっちゃも後追いするように弱って死んだ。俺一人だけ残しても大丈夫だと思ったんだろうか。そりゃもう14だし俺一人でなら生きていけるけどさ。うん、なんていうか、胸が空いてる気がする。いっとう大事だと思っていたものがなくなった今、正直に言うが村はそんなに大事だとは思わない。でも見捨てていいような村人なんて一人もいない。
といってもモヤシの自分にできることなんて言葉での避難警告とかくらいしか浮かばない。鬼がこの村に来そうだから、来てくれといっても鬼狩りは一週間以内に来てくれるんだろうか。前世で漫画をさらっとしか読んでないからわからない。かといって何もしないで一人生き残るのはちょっと嫌だな。鬼狩りを呼ぶのはじっちゃとばっちゃのへそくりで足りるだろうか。足りなかったら村を出て占いでバイトすりゃいいか。名前は3割当たる某占い師の名を借りよう。
村長に鬼狩りについて相談すると、快く呼ぶ手筈になったので話して良かったと安心してこの日を終えた。
眠りにつくと、今日の一言で変化が起きた予知夢に、鬼狩りの人である我妻善逸が出てきた。そういえば今は漫画のいつなんだろう。最終選別が終わってどれくらい経ったのかわからないが、多少善逸が汚くなって任務を終えていた未来が見えた。俺が隠れてそれを眺めていたからそう見えるんだがな。なんとまあ理想の傍観者姿勢だ。多分それが俺にとって最善の未来なんだろうけど、これで本当にいいのかモヤモヤする。まあ、俺には大した力無いし仕方ないよなって割り切らんとな。あまり原作に変な影響与えたって責任取れる自信がないし。善逸が村に来る時点で心配だけど…うん、一回は会う羽目になるだろうし、何かを聞かれたら答えるくらいはしよう。俺は弱虫で臆病で意地悪な人間なんだから。
新しい未来予知を数日見て、ついに善逸が村に着いた。今夜彼の逆方向から鬼はやってくる。俺が餌になった方が早く鬼を片付けられることは先読み済みだ。不安すぎて何度も先読みして予行練習の如く鬼の顔を見たし善逸の勇ましいような汚いような、そんな顔を見た。先読みのし過ぎで現在頭痛で思考がぼやける。でも自分の能力の知る機会としてはいい機会だった。
「はじめまして、鬼狩り様ですね。お待ちしていました。早速ですが今夜鬼が来る場所に案内しますね」
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なんとか自分を囮にして鬼をおびき出し、善逸に斬ってもらうことに成功した。善逸は俺が鬼を倒したと誤解していたが、頭痛で適当に返事していた。これからも宜しくと嬉しそうな善逸に言われて咄嗟に肯定してやっちまったと後悔する。でもこの村で一生過ごそうなんて思ってなかったし、村の外に行く理由になりそうな顔を見たい奴もいるし別にいいか。
潔く自分の荷物をまとめて、善逸の共として新しい任務に向かう。
「善逸。言い忘れてたから、今言うけどちょっと会いたい鬼狩り様にいるんだ。獪岳っていうんだけど」
「は、え?獪岳?えっと獪岳ってあの獪岳?」
「あぁ。鬼狩りの獪岳は、善逸の知る獪岳で合ってると思う。獪岳のことは遠くで見てただけなんだけど、ほっとけなくて。でも俺だけじゃ鬼狩り様に関われないし…てことでさ!善逸は知らない仲って訳じゃなさそうだし、ついででいいから協力してくれないか!」
きっと俺の言葉に嘘の音はしないけど、隠し事の音はするだろう。でもほとんど本当のことだ。俺は思いつきで獪岳を探しに行こうとする位好きだからな。鬼になる前なら興味本位で近付いても殺されないだろうし。善逸はいい奴だから協力してくれるよな。善逸の身内の将来についての詳細は聞かれない限り伝えないことにする。伝えたところで未来がどう変わるか不安だし、善逸と一緒に行くことに頷いちゃったし。悪いけど俺のしたいこともさせて貰うぞ。
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歩かなきゃ何も始まらない。行った先に鬼が待ち受けていようとも。周りは田んぼ。愚図る善逸。俺が女の子に無視を頼む前に、優しい女の子が善逸に声をかけてしまう。
「え、あの、善逸、」
「頼むよ〜っ!頼む頼む!俺はこの先死んじゃうから!どうか結婚してくれよぉ!」
「すみません、おい、善逸俺が着いてるだろ、死なないから女の子を離すんだ。おい、聞こえてるだろ」
「聞こえてるよぉ〜!でもでも、莫尚は俺とこの子の結婚とは関係ないじゃんか!うええん!」
「だめだ、全然話を聞いてくれねえ」
困ったが、このシーンに心当たりがある。未来予知?いや、善逸が炭治郎と出会うシーンだ。
「やめないか!女の子と男の子と雀を困らせるんじゃない!離れるんだ!」
まっすぐな声が俺たちに届く。主人公な炭治郎に感動する。
盛大に女の子に振られてなんとか自己紹介まで行き着いた二人。そういえば炭治郎は怪我をしていたはずだ。あんまり叫ばせるのは怪我に響きそうだ。そろそろ関わっても大丈夫だろうか。
「あの、善逸の暴走を止めて頂きありがとうございました」
「あれ、君はいかないのか?」
「俺、こう見えて善逸のお供なんで。はじめまして。莫尚と言います」
「俺は竈門炭治郎だ。お供…?」
「はい。旅のお供で、飴ちゃん係です。いっぱい持ってるので炭治郎も良かったらどうぞ」
「莫尚、飴ちゃん係は初耳なんだけど?!」
「あー言い忘れてましたね。はい、飴ちゃんどうぞ」
ちなみに、村の人が街に行った時のお土産として貰って家に溜まってた非常食の飴ちゃんだ。
空でカラスが鳴く急げ急げと、喋り出す。善逸は喚いてたけど俺はインコみたいだなぁとスルーして、目的地までサクサク行きましょうと先頭を切って歩き出す。競歩で横に並ぶ炭治郎とふえふえしながら追いかけてくる善逸。急いで損はない。これから向かう屋敷の窓から人が落ちて死ぬかもしれないんだから。
屋敷に着く。雑木林に身を寄せ合う二人の子供がいた。二人のことは炭治郎たちに任せることにして屋敷の窓が見える場所に近づく。
「ちょ、ま!莫尚!?何か近づいて来るって、危ないよ!」
「まだ大丈夫だよ、善逸はちょっと落ち着いて」
小さくポンと鼓の音が聞こえた瞬間、窓から飛び出してきた。受け止めようと手を広げると時差なく重量が身体を襲う。でもまだ生きてる。
俺にとって先読みした未来なんて、どれもその時が来るまで不確定の妄想だ。本当に死ぬかどうかなんて、直接目で見届けないと認めたくない。この人は何しても死ぬからと、はじめから諦めるのは嫌だ。俺はいい奴じゃないけどそれでもなんか嫌なんだ。肩や背中がじんじんして、立とうとすると足が痛んだ。
「うわぁああ!?ひと!?し、し、しんで…莫尚!?」
「莫尚!大丈夫か!」
「炭治郎!俺は平気!お願い、この人ひどい怪我してるから、助けて!」
「…!!わかった!」
結果からして、そのまま息を引き取ってしまった。鬼から受けていた血が止まらなかったようだ。先読み通り死んでしまった。やっぱりそっか、期待してなかったけど先読みは外れないもんだなぁ。屋敷の中に行こうという話になって炭治郎は善逸を誘う。俺についてきてほしがってる善逸に、さっき足を怪我したから二人の足を引っ張ることになるといって子供達と留守番をすることになった。怪我人と残ることに不安がる子供達の為に炭治郎は箱を置いていく。命より大事と伝えて。先読みが外れないことを確認できたこともあるし、子供達に屋敷へ向かってもらうことに決めた。
「正一くん、てる子ちゃん。君たちが迎えにいかないと君たちのお兄さんはあの屋敷から出られないんだ。だからどうか、いってくれないかな。屋敷には鬼がいるけど、炭治郎と善逸のそばにいれば危険はないからさ。ね?」
カリカリと、箱から心配そうな雰囲気の音がした。
「早くいかなきゃ、二人に追いつけなくなるよ。俺のことは気にしなくていいから、お兄さんを迎えにいってあげて」
子供達の助けたいという気持ちを後押しすると、向かってくれた。箱から聞こえる優しそうな音を俺は無視した。
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みんなを先に行かせてからほどほどに時間が経ったので、窓から飛び出してくる筈の善逸達を受け止めるために屋敷に近づく。
また小さな鼓の音が聞こえた瞬間に飛び出してくるので意を決して腕を広げる。善逸と正一くんの二人分の重量だったので最初の人の二倍重いし苦しい。それでもなんとか善逸と正一くんを受け止められたらしく、善逸の意識ははっきりしていた。
「善逸、大丈夫ならどいてくれるか?」
「んんんおおおおおっ?!!莫尚!?ごめん!大丈夫!!!?」
「苦しかっただけだし、大丈夫。正一くんも無事かな?」
「…!はい、善逸さんが庇ってくれて」
「良かった。二人とも、箱のことお願い。俺迎えにいってくるよ」
「へ…?あ、ちょっと!!?幸道!?」
二人が帰って来たってことは、鬼退治も終わって炭治郎がてる子ちゃんとお兄さんと合流できた頃のはずだし危険はない筈だ。
「屋敷の鬼退治はもう終わってるなら平気だよ。炭治郎を呼んで、すぐ戻るから!」
それだけ言って鼓の屋敷に突入する。善逸は俺を本気で止めるつもりなさそうだからスルーを決め込む。早く呼ばないと伊之助が来て箱の側が物騒なことになるし早足になる。こちらに何かが荒々しく向かってくる。咄嗟に端に寄ると猪突猛進!と聞こえたような聞こえなかったような…気にしないでおこう。気を取り直して屋敷の奥に進むとやっと人が見えて来た。炭治郎たちだ。
「炭治郎!てる子ちゃんも。お兄さん見つかったんだね、良かった」
「莫尚?どうしてここに?」
「三人を迎えに来たんだ。善逸と正一くんが戻って来たから、早くみんな合流できた方いいだろ?それに二人に炭治郎の箱の側にいて貰ってるから…、えっと」
「?」
「あのさ、刀持ったイノシシとすれ違ったんだよね。お兄さんのおんぶ変わるからさ、炭治郎だけ先に向かって欲しいな、なんて」
すごく棒読みになってしまったがおんぶを代わることに成功した。モヤシなのになんでおんぶ代行を申請しちゃったかな!?気合いだ、もう気合いしかない!足を心配されようと意地だ!痛いのは気のせいだ!言い聞かせながら炭治郎に先に行って貰えた。空いた出口の先の光景に唖然としてる炭治郎の背を見る。
「やめろーー!!!」
立ち話もして俺が意地はっておんぶしてたのも重なって先見した未来とほぼ変わらない結果が待っていた。
あぁ。俺の居る意味なんて、ないよなぁ。期待なんてしてなかったけどさ。
その後は炭治郎の頭突きで一先ず終わった。騒ぎがひと段落してので善逸に近づく。
「善逸、その、怪我大丈夫?」
「アイツに一方的にボコボコにされて全然大丈夫じゃなかったからな、まじアイツ容赦ねぇ。莫尚こそ、苦しそうな音してたけど大丈夫なのか?」
「貧相な癖に意地はって男らしいことしたからねぇ。でも善逸程じゃないぞ」
心配された気がして恥ずかしさでふへへと笑う。この後は屋敷の死体処理だったか。早く終わらせれば藤の家にすぐにいけてみんなが休息できるだろうか。俺は、俺の頑張りでみんながちょっとでもいい方に向かって欲しいなって欲張りなことを考えながら、みんなを手伝っていく。
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鴉に告げられ下山をする。助けた子供達と途中でお別れになった。原作通り、藤のお守りがお兄さんの手に渡るが、善逸が正一くんに泣いて縋り付くシーンは無くなっていた。彼をとてつもなく名残惜しそうに見つめていたが、俺が善逸を引っ張ると素直に引っ込んだからだ。そのまま三人と藤の家に向かう。
「4人ハ休息!」
炭治郎は休息に衝撃を受けたみたいだが鬼狩りじゃない俺も数に含まれててビビった。俺も良いのか?不安になりながらも入ってみると本当に俺も数に含まれてるようだ。ご飯と寝巻きと布団を見るまで、4人目がねずこちゃんだと思っていた。勿論お医者様にも見て貰ったが俺はかすり傷しかなかった。鬼狩りじゃないのにおかしくない?大丈夫なの?あ、幸運だから??そっかなるほど!とゴリ押しの納得をして布団に入る。
言いたいことがあるらしい、善逸がそっと起き上がる。
「炭治郎、どうして鬼を連れているんだ?」
「善逸は優しいなぁ」
伊之助のように秒で眠れないので、聞き耳を立てる。内容は、優しい言葉だ。ふとこちらに炭治郎の視線が向く。おや?と視線を合わせる。
「俺も善逸に、いや、莫尚に聞きたかったことがあるんだ。どうして莫尚は鬼の匂いがするのに、日の下を歩けるんだ?莫尚は何者なんだ?」
「あ、それ俺も思った。莫尚の音、人とは違うの。鬼の音に近い気がするけど、強いし守ってくれるしいい奴だしさ、教えてくれないか?」
???
「俺の匂いと音って本当に鬼っぽいの?」
真面目な顔で頷く2人。理解できないけど、事実なんだとしたら、良くない仮定が閃く。
「俺は、自分のことは人間だと思ってこの年まで生きてきたよ。だから、よくわかんなくて。でも、2人がそういうなら、多分俺は鬼に違いないんだと思うよ」
「自分でもわからないのか?」
「うん。俺道端に捨てられてた赤ん坊だったから。拾ってくれたじっちゃとばっちゃはもう寿命で死んじゃったし、鬼って人食い鬼だろ?人を食いたいと思ったこともない。日光は本当に普通だしな。でも、人とは違うことが物心つく頃から俺には出来てた」
俺は前世の記憶や自称神からもらったってのを省いて先読みの力を説明する。俺はこの先読みの力が血気術だと予測している。願いさえ叶えられたら人かどうかなんて自称神にとっちゃ些細なんだろうな。嫌だなぁそんなことなら、こんな力を欲しがんなかったよ。考え無しだった自分が悪かったなぁ。ほんと、嫌だな。
そう思っていると意識がぼんやりしてくる。寝る気ないのにおかしいな。視界が真っ暗になる頃には音も匂いも感触も、何も感じられなくなって、そのまま俺の意識は沈んだ。
▶︎鬼滅の世界クラッシャーの自称神が願いを3つ叶える代わりに鬼滅の刃の世界に転生してもらうという話
先読み夢主は、1週間後まで先読みができる異能・これまでの前世の記憶・自分の望んだ最善に向かえる幸運を願う。
願いは叶い、田舎村に捨てられた孤児として転生する。身体能力は転生前とほぼ変わらずモブ顔で視力も頭も悪く、不器用で体力のない貧弱なモヤシ。バブバブしてる頃の記憶はあってないようなもので、感性は体に引っ張られている。自我が芽生えてくる頃に転生してたことを思い出す。
1週間後まで先読みができる異能は、寝てる間にみる夢として、未来を視ることができる。強制発動の上、劇的な出来事以外は興味が無くて覚えられていない。夢であんな感じのことがあった気がするという感覚。夢と違う行動をするとその先の未来は変化する。変化させてから寝ると行動によって変わった為新しい一週間の先が視られる。変化させないままだと前見た分から1日追加された先読みが発動。
夢での自分の行動は、自分が無意識にするであろう行動。
先読み内容を振り返ったり、先読み内容の詳細を見たい場合は 集中次第で見られる。その際は頭痛が伴い詳しいほど時間がかかり無防備になる。この異能は精神状態に左右されやすい為なるべく前向きな時に使用しないと事故る。先読み内容が自分の望む最低限の最善の未来である為、メリバルートに進む。