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ざわざわと騒がしい三十畳はありそうな大広間。時折空を舞う酒やつまみ。ところどころに見える、黒い死覇装に混じった白い隊長羽織。
尸魂界の某高級居酒屋にて、一般隊士が見れば真っ青になるほどの面子で飲み会が開催されていた。
+ + +
昼の休憩も終わり、雫とともに自席で書類をこなしていると、最近遊びに来るようになった霊圧が近付いてきた。
彼女のことだ。仕事をサボってきたのだろう。美桜は時間を確認すると、筆を置いて大きく伸びをしながら雫に声をかけた。
「雫、少し休憩にしましょう。」
「はい。」
「お茶を三つ用意してくれるかしら。」
雫は美桜が三つと言ったことで、誰かがここに近付いていることを察した。ここ一週間でよく話すようになった上司の旦那か、巨乳の友か。美桜が普通にしているため、後者かな。雫はそう予想して立ち上がった。
美桜は真子が近付いてきた時、それはそれは恋する乙女のような反応をするのだ。上司のそんな姿を見たことがなかった雫も、「....かわいいな」と思ってしまうほどだ。
雫がお茶を入れ終わり、持っていこうと隊首室に隣接する給湯室を出れば、ちょうど聞こえてきた陽気な声。やはり後者だった。
「あら、雫じゃな〜い!それ私のお茶〜?ありがと。」
「隊長もどうぞ。」
「ありがとう、雫。」
ソファの前に置いてあるテーブルにお茶を並べる。美桜も立ち上がりソファに腰掛けた。そして時間停止空間から買い置きしておいたクッキーをテーブルに置いた。
「やったー!いいんですか、涼森隊長!」
「どうぞ、召し上がれ。雫も遠慮しないでね。」
「ありがとうございまーす!!」
「はい、ありがとうございます、いただきます。」
ここに来るといつもお茶とお菓子が出てくるのよねー!と言いながらクッキーを頬張る乱菊。彼女の頭には遠慮という言葉がないのか、手が止まらないようだ。
「それで、今日はどうしたの?」
「あ!そうです!忘れてました!!今日は飲み会のお誘いに来たんです!!」
「「飲み会....?」」
美桜と雫の声が重なった。二人とも特別酒が好きというわけでもなく、飲み会なんて滅多に参加しないのだ。
「復隊した隊長たちが尸魂界にいたのは百年も前のことで、護廷十三隊の面子もだいぶ変わっちゃってますし、ここは親睦を深めようと思いまして!」
確かに、乱菊の言うことはもっともだ。真子も自隊の席官ですら分からないとぼやいていた。他隊の席官なんて以ての外だ。隊長たちは百年前の知り合いもいてわかるが、その下の副隊長などここ百年で入れ替わった者ばかりだ。
確かに飲み会という名の親睦会を開催するのは良いことだと思う。しかし、美桜には気になっていることがあった。
「....それ、京楽隊長の発案?」
「えっ、すごい!!なんで分かったんですか!?」
すごいすごいと言う乱菊に美桜は苦笑いをした。どうせ彼は親睦会という名の飲み会をしたいだけだろう。京楽の場合は親睦を深めることが目的なのではない。飲むことが目的なのだ。
美桜は小さく息を吐くと、参加する旨を乱菊に伝えた。当然ながら復隊した三名は絶対参加なのだという。ならば美桜に参加しないという選択肢はない。
「じゃあ涼森隊長、雫!二日後の十八時に!」
そう言って乱菊は去っていった。
そして二日後、冒頭の状況になるわけである。
+ + +
就業時間の十七時半にぴったりに迎えに来た真子に、美桜の顔が緩んだ。
「お疲れさん美桜。迎えに来たで。」
「真子もお疲れさま。どんだけ楽しみなのよ、もう。」
雫が同じ部屋に居ようが居まいが関係ないとでも言うように自然な動作でバードキスをする二人。
美桜は腰から外していた二本の斬魄刀を腰紐にさすと、雫をチラリと見た。
「雫、貴女もそれくらいにして行くわよ。」
「....私は後から向かいますので隊長方は先に向かってください。」
「あら、そう?じゃあそうするね。」
遅れないようにね、と言って消えていった美桜に、雫はホッとした。この一ヶ月でよく分かった。真子も美桜も、お互いしか見えていたいのだ。さも当然のようにイチャつく二人と一緒にいるだけで、雫のHPがゴリゴリ削られていくのだ。
開催場所の居酒屋までここから瞬歩で数分。まだ時間はある。雫は残った数枚の書類を終わらせにかかった。
尸魂界の歓楽街から少し離れた場所にある隊長格御用達の高級居酒屋。数ある飲み屋の中から、百年前からある老舗を選んだのは京楽だ。百年ぶりの尸魂界で変わっていることも多いだろう。その中でも、変わらないものもあることを京楽は伝えたかったのだ。
美桜と共に店の前に到着した真子は、懐かしい建物に目を細めた。
「ここまだあったんか....。」
真子の脳裏に浮かぶ数々の出来事。喜助に美桜を紹介したのもここだった。もう戻ることのないあの日々に少し懐かしさを覚えながら暖簾をくぐる。
店員にこの店で一番広い奥の大広間に案内されれば、既にいつも通り派手な女の物着物を着た京楽と向かい合わせに座るリサの姿。二人の周りには空になっているであろう酒瓶がいくつも転がっている。
「お早いご到着だねぇ、お二人さん。」
「リサ!春兄!」
「俺ら終業後すぐ来たんやけどなぁ。京楽さんたちいつから飲んどるんや?」
「二時間前からや。」
「幹事だからね、ぼく。」
幹事だから先に来て飲んでいい理由にはならないし、むしろ一番幹事が酔っ払ってはいけないのでは、と思ったが、二人とも口にしなかった。しかも二時間前からって、執務はどうしたのだろうか。副隊長の七緒が怒っている姿が容易に想像出来る。
京楽とリサ、二人で離れていた百年を語っていたのだろう。そんな気がした。
「平子君はそこ、美桜ちゃんはその隣。」
「なんや、席決まっとるんか。」
「平子君たちは主役だからねぇ。後は適当さ。」
どうやら復隊した三名の席は決まっているようで、京楽はすぐ近くの上座を指差している。当然のように真子の隣に美桜の席を用意してくれた京楽に、美桜は嬉しくなった。
美桜たちが席に着けば、次々と隊長格が到着し席が埋まっていった。
定刻になれば、既に頬を赤く染めた京楽が盃を持って立ち上がった。ちらほらと空席もあるが、ほとんどの参加者が揃っていた。
「今日は集まってくれてありがと。一気に隊長が代わって戸惑いもあると思うけど、仲良くね。じゃ、乾杯。」
「「「「かんぱーい!!」」」」
長すぎず、短すぎない挨拶。よくわかっている。短いながらも押さえるべきところを押さえた挨拶に、何人かは心の中で拍手を贈った。
乾杯の掛け声と共に皆自分の近くの人とグラスをぶつけ合った。
美桜は真子とリサ、そして京楽とグラスをぶつける。こうやって飲むのも百年ぶりだ。真子と二人で晩酌をすることはあったが、こんな大規模な飲み会なんて初めてかもしれない。
「にしてもよくここまで人集まったなぁ。」
真子が感心したように辺りを見回した。護廷十三隊の隊長格の中で、この場にいないのは一番隊の二人と砕蜂と卯ノ花、そして涅くらいではないか。
「それくらいみんな平子君たちに興味津々ってことでしょ。」
「それに藍染の離反後、飲み会どころじゃなかったからね。」
確かに藍染の離反後、決戦に向けて皆修行をしていたため、飲み会にうつつを抜かす時間などなかった。それが藍染を封印することが出来たことで、一気に緩んだのだろう。
半刻ほど話をしたあと、京楽とリサは自分の盃だけを持って席を立った。どうやら移動するみたいだ。
「じゃ、ぼくらあっちにも行ってくるから。」
「美桜、飲み過ぎんときや。」
美桜と真子は懐かしい組み合わせの後ろ姿を見送った後、運ばれてきたフライドポテトを啄んでいた。揚げたてのポテトに丁度良い量の塩が振られている。
「邪魔するぞ。」
すると、先程まで京楽とリサが座っていた真子たちの向かいの席に、誰かが座った。白い隊長羽織に銀色の髪。吊り上がった青磁色の瞳は真子を見定めるように見ている。十番隊隊長の日番谷だ。
「十番隊隊長の日番谷冬獅郎だ。よろしく頼む。」
「....平子真子や。よろしゅう。」
真子は全然"よろしく"する気のない日番谷を見た。
日番谷のことは美桜から少し聞いていた。若くして隊長に登り詰めた天才児。その幼馴染は五番隊副隊長の雛森桃。五番隊隊長に復隊する真子、すなわち雛森の直属の上司となる真子のことを見定めに来るだろう、と。
「私、お手洗いに行ってくるね。」
「一人で平気か?」
「大丈夫よ。まだそんな飲んでないから。」
「気ぃ付けてな。」
真子は気を利かせて席を立った美桜を心配そうに見送った。そして頬杖をついて目の前の小さな隊長に向き直った。
日番谷はやりにくさを感じていた。新しく五番隊隊長に就任したこの男、相当曲者だ。飄々とした態度で何も考えてなさそうに見えるが、それは違う。その目は思慮深く、周囲を見渡す目だ。まさに、上に立つ者のそれだ。
「で、十番隊の天才児が俺に何の用や?」
真子は徳利から自分の盃に酒を注ぎながら日番谷に問いかけた。何の用か分かっているが、あえてこちらからは何も言わない。
「お前に雛森を任せられるかどうか、確かめに来た。」
「....ほ〜、そらご苦労なこって。」
真子は中身が空になった徳利を確かめるように軽く振ったあと、自分の酒となくなりそうな美桜の酒を店員に注文した。その様子を日番谷はジッと見つめる。
「はぁ〜そない見つめられたら穴空いてまうわ。」
「お前、雛森をどうする気だ。」
「どう、やて?んなもん俺が知ったこっちゃないわ。俺は藍染と
日番谷は遠慮なく落とすと言った真子に目を丸くした。同時に怒りが込み上げてくる。雛森が血の滲むような努力をして手に入れた副隊長という座を、遠慮なく落とすと言ったのだ、この男は。
「お前は雛森が苦労して手に入れた副隊長という座を奪うのか....!!」
「ええか、十番隊長サン。相応しくない場合や。十番隊長サンの理論でいけば、血の滲むような努力すればみんな副隊長になれるんか?」
「....っ!!」
「ええか、お前の言うてることは完全な私情や。少なくても俺は私情で副隊長を選ばん。あくまでも実力があってこその副隊長や。実力がないなら落とす。それだけや。」
日番谷は何も言えなかった。悔しいが、目の前の男の言っていることが正論だった。自分は"雛森の上司になる男を見定める"という名の懇願をしていたわけだ。雛森を副隊長でいさせてくれ、と。完全な私情だ。日番谷は膝の上で拳を強く握った。
間が空いたとき、席を外していた美桜が戻ってきた。
「話は終わったかな?」
「おん、丁度今終わったとこや。」
「....おいっ!」
「なんや、まだ言いたいことでもあんのかい。」
日番谷は美桜と真子の二人から見られて、口を閉ざした。完敗だった。これは日番谷がとやかく言う問題ではないのだ。決めるのは本人。それがわかれば日番谷の出番はない。
「....もういい。」
「そらよかった。美桜、このチキン南蛮美味いで。」
「ほんと?じゃあ私も食べる。」
あ、柔らかくて美味しい。せやろ。なんて会話をする二人を見つめる。そう言えばこの二人は夫婦らしい。それも百年以上前から。一体どんな生活をしてきたのだろうか。そう思い日番谷が口を開きかけたときーーー日番谷の頭に乳が乗った。
「たーいちょっ!」
こんなことをするのは一人しかいない。日番谷は額に青筋を浮かべると、酒の匂いを漂わせた部下の名を呼んだ。
「まーつーもーとー!」
「怒ってばっかだと背が伸びないですよー?」
「余計なお世話だ!!」
乱菊は美桜と真子にウィンクをして、怒った日番谷を連れて去っていった。どうやら回収しに来たらしい。
そんな二人を見送れば、また真子と美桜の二人だけになった。
美桜は自分の酒を一飲みすると、自分と真子の盃に酒を注いだ。
真子はいつもよりペースの速い美桜を不安そうに見る。既に頬がじんわりと赤くなっており、目も潤んできている。真子は近くにいた店員にお冷やを注文すると、盃を美桜から遠ざけた。
「ペース速いで。もう酔っとるやろ。」
「んー、うふふ!きもちよくなってきた〜」
美桜は自分の頬を右手で触ると、おもむろに真子の左手を取って自分の頬に当てた。真子の少し低めの掌に、美桜の高い体温が触れる。そのまま手に擦り寄るように目を瞑る美桜に、真子は口付けしたい気持ちを必死に耐えた。周りに多数の死神がいる。こんな場所でキスをすれば、翌日には瀞霊廷中を噂が駆け巡っていることだろう。
しかし、真子は既に時遅しということに気付かなかった。宴会が始まってからというもの、真子と美桜はずっと隣に座りお互いのことを気遣いながら飲んでいる。しかも、自分たちはイチャイチャしようと思っているのではなく、それを当たり前のようにやっているのだ。本人たちからしてみれば当たり前のことでも、他人から見たらただのイチャイチャである。そのため、ここで真子が美桜にキスしようがしまいが、明日瀞霊廷中を噂が駆け巡るのは変わることのない事実だ。
そんな二人の席に向かう強者が一人。すぐ後ろに恋次とルキアがおろおろとしながら立っている。白哉を止めようと伸ばされたその手は、届くことなく役目を終えた。
実は、恋次とルキアは美桜に礼を言いに来たのだ。しかし、ルキアには真子と美桜の空間に割り込むことなど出来ず、こちらを窺っていたのだ。それを見た白哉が、我こそはと特攻してきたというわけだ。なんとも不器用な優しさである。
真子は目の前に腰を下ろした白哉を懐かしむように目を細めた。
「あの朽木の坊っちゃまがこない立派になるとはなぁ。」
真子は自分から積極的に関わりにはいかなかったが、銀嶺が連れて歩いているところに何度か見かけたことがある。また、夜一や美桜といった白哉と関わり深い人物から、昔の白哉の話をよく聞いていたのだ。だからあの生意気ですぐ火がつく白哉が、冷静沈着を擬人化したような人間になっていることに驚いた。
もちろん、美桜から白哉の変化も聞いてはいたが、やはり己の目で見ると違うのだろう。
坊っちゃま呼びをしたことで、真子は白哉にジロリと睨まれた。しかし昔を知っているだけに、全く怖くない。それどころか、白哉の心の中ではあの頃の白哉がムキーッと怒っているのだろうか、と想像して面白くなったほどである。
「....
「俺らが変わってないんやなくて、お前が変わりすぎたんや。」
「そりゃあ子どもから大人になった白哉君に比べたら、私たち大人の変化なんてあってもないようなものよ。」
白哉は我が子の成長を見守る親のような目で見てくる二人に眉を寄せた。不愉快そうな顔をしても、目の前の二人は焦るどころか笑っているだけである。白哉は諦めたように一度目を閉じてから、隣に座ったルキアと恋次を目で促した。
ルキアは己の膝の上で拳を握り締めながら口を開いた。
「あの、涼森隊長。ありがとうございました。涼森隊長も京楽隊長と浮竹隊長とともに私の処刑を止めようと動いてくださったと聞いて....。」
「いいのよ、別に気にしなくて。むしろ純粋に助ける気持ちだけじゃなくてごめんね。」
「いえ、そんな涼森隊長が謝ることでは....!」
「じゃあルキアちゃんも気にしないで頂戴。」
「はい、ありがとうございます。」
美桜は少し汚い自分が嫌になった。美桜は崩玉がルキアの魂魄に隠されていることも、藍染が四十六室を乗っ取っていることも知っていた。
美桜は純粋にルキアを助けたいという気持ちで処刑を止めたのではなく、藍染の目的を達成させないために処刑を止めたのだ。それを知らないルキアは、律儀に美桜に礼を言いに来た。美桜は心の中に苦いものが広がっていった。
「あ、あの!自分も治療していただき、ありがとうございました!!」
「治療?もしかして双極でのこと?いいのよ、当たり前のことをしただけだから。」
「双極もですが、一護と戦った傷を治療していただいたそうで....。吉良と雛森から聞きました。」
「....あぁ!白哉くんが牢に入れておけって言ったあの時ね!」
「白哉坊そないなこと言うたんか」
最初は何のことだかわからなかった美桜だったが、吉良と雛森の名前が出てきてピンと来た。
今は死神代行の黒崎一護が旅禍として瀞霊廷に侵入してきた時、一護と戦った恋次の怪我を治したのだ。白哉が恋次に碌な治療を受けさせないまま牢に入れるよう吉良と雛森に命令していたのを見て、簡単な応急処置をしたのだった。
「....もう過ぎたことだ....。」
四人で白哉を見れば、少し気まずそうに酒を口に運んでいた。あの頃よりも今の方が尖っていないというか、丸くなったように思える。ルキアとの関係性が良くなったからだろうか。
美桜も五十五年前の緋真のことは知っている。何回か延命治療を施したこともあるが、彼女の場合、子どもの時から病魔に侵されており、大人になった頃には既に手の施しようがなかった。
時間回帰は万能ではない。あくまでも戻すことが出来るだけで、元の状態で既に問題があれば意味がない。
緋真が病魔に侵されていなかったのはほんの子どもの頃であり、臓器をその時点まで戻しても意味がない。大人の身体に子どもの臓器を入れるようなものだ。上手くいくわけがない。
だから騙し騙しに延命治療を試みたが、結局二人の結婚生活は僅か五年で幕を閉じた。
美桜が五十五年前のことを思い出して感傷に浸っていると、徐に京楽が立ち上がって数回手を叩いた。
パンッパンッパンッ
「じゃあね、そろそろ良い頃合いなんで、ここで一回閉めるねー。まだ居たい人は好きなだけ居てくれていいから。じゃ、そーゆーことで。」
そう言って京楽は再び座り込んで酒を注ぎ始めた。
「やって。ほな俺らはそろそろ帰るか。美桜結構飲んどるやろ。」
「そうね、明日はお休みだけど、結構酔ってる〜ふふっ」
幹事の京楽とリサに挨拶をした二人は、居酒屋から直接異空間に帰っていった。
居酒屋の夜は長い。しかし、今日の夜は特に長いようだ。