虚化篇
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護廷十三隊十二番隊隊長に浦原喜助が就任してから、九年が経った。
そんなよく晴れた朝。
十二番隊隊長 浦原喜助は、副官の猿柿ひよ里と三席の涅マユリを連れ、下駄を鳴らしながら瀞霊廷を歩いていた。
偶然近くにいた真子はその下駄の音を聞き、喜助に気付くといつもの口調で声をかけた。
「おっす。おはようさん。」
「お。おはよっス、平子サン。」
平子サンと呼ばれた男は、金色の絹糸のような長い髪を靡かせ、いつもの言葉を返した。
「真子でええ言うとるやろ。めんどいやっちゃなぁ。」
喜助はハハハ、と乾いた笑いをこぼす。
「おはようさん、マユリ。」
マユリと呼ばれた男は、目元は黒く、それ以外は白く塗り潰しており、変わった出立ちだった。
その不気味な顔を最大限に歪めると、不愉快そうな声で言う。
「よそよそしく涅と呼べと言っているだろう。不愉快な男ダネ。」
真子は、涅のいつも通りの反応に横を向いて呟いた
「....めんどいやっちゃなぁ。」
そして思い出したように喜助に向き直った。
「そいや、聞いたかお前、あの話。」
「どの話っスか?」
喜助の質問に答えようとした真子だったが、突如飛んできた脚に太ももを蹴られ、続きを言うことは叶わなかった。
「イタァァ!!なにすんねんひよ里!」
蹴り飛ばした本人は、怒りで顔をピクピクさせながら、真子を見下した。
「ウチへの挨拶が、まだや。一人にだけ挨拶せぇへんってどーいうことやっ!!」
そのうち、真子とひよ里の取っ組み合いが始まる。
「なんでお前に挨拶せなあかんねん!」
ギャーギャーと騒ぐ二人を横目に、藍染が真子の言いたかったことを言う。
「そうだ、浦原隊長。もう耳にされましたか?」
「何をっスか?」
「流魂街での変死事件についてです。」
ひよ里と取っ組み合いをしていた真子は、「それや!ナイスフォロー惣右介!」と声をあげる。
「変死事件?」
ひよ里との取っ組み合いをやめ、先程までのふざけた雰囲気をしまい込んだ真子が真剣な目で言う。
「そや。ここ一ヶ月ほど、流魂街の住民が消える事件が続発しとる。原因は不明や。」
「消える?どこかへいなくなっちゃうってことっスか?」
喜助の見当違いな言葉に、真子の顔が呆れたものに変わる。
「あほか。それやったら蒸発って言うわ。大体蒸発やったら原因なんて知るか。」
真子は再び目を鋭くして、喜助に言った。
「死ぬんやったら着とった服も一緒に消えるやろ。ちゃうねん。消えるんや。服だけ残して、跡形もなく。死んで霊子化するんやったら、着とった服も消える。死んだんやない。生きたまま人の形を保てんようになって、消滅したんや。そうとしか考えられへん。」
喜助は理解ができないのか、首を傾げた。
「生きたまま、人の形を保てなくなる....?」
真子は立ち上がりながら謝った。
「すまんなぁ。俺も卯ノ花隊長に言われたことそのまま言うただけやから、意味わからへん。ともかく、それの原因を調べるために今、九番隊が調査に出とる。」
もう、誰にも止めることなど出来なかった。