虚化篇
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入隊して数ヶ月。
二人とも休日であったその日、真子と私は斬魄刀を使い修行していた。
真子が斬魄刀を縦に持ち、始解をする。
「倒れろ、逆撫」
全てが逆さまになった世界。見えている方向も、音が聞こえる方向も、切られる方向すらも逆である。
真子が斬りかかってくるのを、芙蓉の能力で止める。刀の時間を止めているのだ。
今の私の力では、対象を認識しないと時間を止めることができない。認識させない真子の斬魄刀と、認識することで止める私の斬魄刀。そのため、お互いに良い修行になるのだ。
最も、視界を支配する真子の能力は、元々遠くまで見えない私と相性が悪い。しかし、実戦でいつも相性の良い敵と戦えるわけではない。そのため真子は、斬魄刀の修行にリサや拳西よりも私を選ぶことが多かった。
修行後、私は防ぎきれなかった真子の刃でついた細かい傷を治しながら、先程の修行を振り返る。
「予想してない方向からくるとどうしても間に合わないなぁ....。」
「そもそも認識するっちゅーのが間違うてるんちゃう?俺の逆撫は認識させへん斬魄刀や。それを認識するっちゅーのも無理な話や。」
では認識せずにどうやって時間を止めるか。
二人してうーんと頭を悩ませる。
「そもそもどないして止めとるんや?」
「真子の刀を見て、そこに時間停止の盾を出してるの。」
こうやって、と私が小さい盾を出す。金色に色付くそれには、時間停止の能力が付与されている。
それを見た真子が、何か思いついたように私を見た。
「なぁ美桜。その盾、どのくらい大きく出せるんや?」
出そうと思えば大きく出来ると思うけど....と言いながら実際に盾を作ってみる。
作った盾は鬼道の断空のような大きさになった。
「それで身体を覆えばええんちゃう?」
私はハッと目を見開いた。もしそれが出来るようになれば、全ての攻撃の時間が止まるため、攻撃が全く通らないことになる。
私は早速四枚の時間停止の盾を作り、自身を囲うように配置した。これでどう??とドヤ顔しながら真子を見る。
真子はそんな私に笑いながら言う。
「あほぅ。それやと上と下ががら空きやないかい。」
そう指摘されて恥ずかしくなった。顔が熱くなったのがわかる。
気を取り直してさらに二枚の盾を作り、上下に配置する。思ってたより集中力が必要みたいで、出し続けるのが辛くなってきた。
「ええんやない?」
真子は私の疲労度を察したのか、「今日はもうやめや」と修行を終わりにした。
盾を消すと急に力が入らなくなってその場に倒れ込みそうになる。真子はそれを予想していたのか、私の身体をしっかりと抱き留める。そしてそのまま私を抱き上げて、家へと歩き出した。
「ごめん真子....」
「ええよ。よく頑張ったな。」
真子の胸に頭を預けた。心臓の音が聞こえる。
この世で一番安心できる場所。私の帰る場所。この人を守れるなら、どんな辛い修行にだって耐えてみせる。
そう思いながら、私は瞼を閉じた。
+ + +
それからというもの、私はことあるごとにどうやって盾を小さくするか考えていた。
そしてある日、お風呂上がりの全身に保湿クリームを塗っているときに閃いた。
私は居ても立っても居られず、そのまま脱衣所を飛び出し、真子へと飛びついた。ソファで寛いでいた真子は突然飛び込んできた私に驚きつつ、しっかりと受け止める。
「真子!!ひらめいたわ!!」
私は手に時間停止能力を付与した霊圧を乗せる。そしてそれを保湿クリームを塗るような仕草で全身に塗った。
真子はそれを見た後、確かめるように私に触れようと手を伸ばした。
「触れとんな。ただ体温は感じひん。」
触れる。でも体温は感じない。ということは、思惑通り時間停止の薄い膜を全身に纏わせることが出来たようだ。
私は嬉しくなって真子に抱きつく。が、真子が触れないなら私にも同じことがいえる。真子の体温が感じられないのだ。まるで銅像にでも抱きついているかのような感覚になる。
それが嫌で、纏ったばかりの膜を消したその瞬間、真子の体温を感じる。その体温にふぅと安堵のため息が出た。
「俺も触れんくなるんは嫌やなぁ」
「うん、私もそれは嫌だから何とかする」
真子に抱きついたまま、真子だけ受け入れるという条件を付与すればいいのか、なんて考える。まぁいずれにせよ、この家の中では必要なさそうだ。
真子には、先程から気になっていることがあった。
「なぁ美桜、食ってええか?」
美桜は自分の格好を見て、声なき悲鳴をあげた。
「〜〜〜っ!!!」
美桜は下着姿だった。