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祓魔学園 ※うちの子中心、そのうちBL

ぐぅ。
ある朝、僕は空腹感を目覚ましに起き上がった。
部屋が薄暗い。時計を確認すると針は午前5時前をさしていた。
他の家族たちはまだぐっすりと眠っている。
「……お腹空いたな。」
朝食の時間までまだ時間があるというのに僕の腹の虫の音は収まることを知らない。
おい、おさまれ。そんなに元気に腹が減ったと鳴かなくていい。そんなに鳴かれると余計にお腹が空くじゃないか。

じっとしているのもまぁ、アレ()だからみんなを起こさないようにそっと布団から抜け出し外へ。
「うぅ、朝はまだ冷えるな…」
ぶるる、と身を震わせながら今、あけようとしている初夏の空を眺め、1人呟いた。
「今日、か。」
実は今日、僕はこの孤児院から出ていかなければならないのだ。
なんでも僕を引き取りたいなんて変わり者がいるらしく。
いや有難いんだけどな? 嫌とかじゃないんだ勘違いしないでくれよ。
ただ、数年間共に暮らしてきた家族と離れ、1人別宅で暮らすのは少し寂しいな、なんて。
いやいやいや、僕は引き取ってくれる人達になんて失礼なことを。
………まぁ深く考えるのは後にしよう。
僕は立て付けの悪い郵便受けの扉をギィと開き、新聞を手に孤児院へと戻った。

「あら、絞李(こうり)くんおはよう。相変わらず早起きさんねぇ。」
食堂へ入ると、朝食の準備を始めかけていたおばさんがにこりと微笑みかけてきた。
「おはようございます、手伝いますよ。」
本来ならここで僕も微笑み返すとこなのだろうが僕はどういうことか、こういったコミュニケーションとかいうものがどうも苦手、というより何故微笑みかけられたら微笑み返さなければならないのか理解ならないといった理由でいつも通り淡々としてしまった。
「ふふ、絞李くんは相変わらずねぇ
それじゃあ今日はお野菜を切ってもらおうかしら!」
う、うるさいな、子供らしくないことぐらい自分でもわかっているさ。
「野菜を切ればいいんですね、じゃあここちょっと借りますね」
ムスッと口を尖らせながら僕はおばさんの隣で朝食の準備を手伝った。

「ふぁ……こーりおにいちゃ、早起きさんなのぉ。。。」
家族のうちの1人が重たい瞼を擦りながら起きてきた。
「あぁ、みにじゃないか。おはよう。丁度朝食が出来たところだから顔を洗っておいで」
「ふぁーい…」
眠い返事をしながら洗面所へと彼は向かった。
うん、今日もめちゃくちゃ可愛いぞみに。
「おはよーーーー!!!!あ!!聞いてくれよこうりー!さっきめっちゃデカいうんこ出た!!!」
「やめろこれから朝食だぞ馬鹿野郎」
「まだ食べ始めてないから別にいーじゃん。。。」
朝からドタドタと走りながら登場してきた家族は情(まこと)だ。
いや相変わらずお前のその真っ赤なタンクトップ、似合ってないな。
「ん、みんなおはよー。朝から元気なことで」
「あ、兄さんおはよう」「おはよー!へへっ」
僕が唯一兄と呼ぶこの人は瞳(どう)だ。
なんでかこの人からは兄さんってオーラがあってだな、、
「絞李またおばさんの手伝いしてたの?偉いねぇ〜」
兄さんにわしゃわしゃと髪をなでられるとなんだか恥ずかしいような嬉しいような腹立つようななんとも言えないこの気持ち。
あ、この余裕感(???)か?これが兄貴ってやつなのか?僕も見習おう。
ちなみに兄と呼んでいるが年齢は僕と同じだ。
なんなら孤児院での家族はみんな同い年で。
いつから兄、とか弟、の関係が生まれたのか全くもって謎である。
「おにいちゃ、タオル…」
僕はギョッとびちゃびちゃになった床を見ると戻ってきたみにの顔と手を慌ててタオルで拭き取って床を雑巾がけ。
「みに…タオルが無かったのなら顔を洗う前にタオルを取りに来るんだ」
「ぼくもうお腹ペコペコなのー」
弟よ、僕の話を聞いてくれ。全く可愛い奴め。
そうこうしているうちに続々と他の家族たちも姿を表し、全員が各々の席についた。

『いただきまーす!』

美味しそうに朝食を頬張る家族を見ていると胸がチクリと傷んだ。
昼にはお迎えが来るらしい。
やっぱり寂しいし不安だ。
そんな僕の心中を察しているのか否かわからないが、家族たちは特にいつもと変わらない半日を僕に送らせてくれた。

そして約束の時刻5分前にチャイム音は鳴った。
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