snow white
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白雪は目に入ったぼんやりとした見慣れたシルエットにおはようを言った。視界がしっかりしてくると、自分が知っている顔とは違い、随分大人びた綱吉が泣いているのが見える。
「白雪っ!!」
がばり、と白雪は綱吉に抱きしめられる。訳もわからず、白雪は目を泳がせる。ふと、綱吉の横に立っている人物と目が合う。どこかで、見たことがあるような風貌。記憶を辿りながら、ついついその顔を見つめてしまった。
「君、10年眠っていたんだよ」
「え?」
並盛の風紀委員の雲雀さんだ、と答えを導いた白雪の思考が、体が、呼吸が一瞬ぴたりと止まった。白雪の雲雀を見る瞳が揺れる。雲雀は溜息をつくと、未だ白雪に抱き着いて泣いている綱吉を引きはがす。
「泣くより他にやることがあるんじゃないの。」
「そう、でした。」
綱吉は涙を乱雑に拭うと白雪の頭を撫でたあと、連絡用の端末をポケットから出して一旦部屋を出た。白雪はそれをただ眺めていた。静まり返った部屋に親しいと言い切れない人物と二人きりにされた白雪は一度目を閉じて再び記憶を巡る。数ヵ月しかない中学生活の記憶と大人びた綱吉や雲雀の風貌に、先ほどの言葉が現実なのだと痛感する。自分の手を見ても、あの頃を大きさは変わらないのに。
「私、死んでたんですね。」
白雪はどこか遠くを見ながら呟いた。思うようにならない体に、13歳で止まった心。眠っているだけ、とは言えど10年という年月は、白雪の今を蝕むのには十分だった。雲雀は白雪の言葉に鼻で笑うと白雪の顎に指をかけ、自分が視界に入るように動かした。
「これからも死ぬつもり?」
白雪は目を見開いた。大きな瞳が揺れたかと思うと、涙が一粒零れた。雲雀は手を離すと、身を翻してそのまま部屋を出て行った。白雪はぎゅっとシーツを掴み、漏れそうな嗚咽を堪えた。目覚めた自分を見て泣いた兄のためにも、強くならなくてはいけない。今まで死んでいた自分を、殺してしまうのは自分自身だ。
「ありがとうございます。」
白雪は雲雀が消えた扉に向かって頭を下げた。
次の日から白雪は、目覚めたばかりだからと反対する綱吉に懇願しリハビリを開始した。少々厳しいと獄寺にも反対されたメニューを必死にこなし、シャマルやリボーン、六道骸のサポートの元、約2か月で日常生活を送るのに支障がないほどまで回復した。