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ここは何処か。
綱吉より任されていた仕事が終わり、雲雀が本部に帰ってきたのが2時間前。玄関前のホールを疲労感を不機嫌としてあらわにしながら歩いていた雲雀と、休日をゆっくりと過ごし遅めの昼食を終えた六道骸が出会ったのが1時間50分前。お互いの存在を認識した数秒後、武器が激しく交差し合い、綱吉の悩みの種である「ボンゴレ内での揉め事」が勃発したのが1時間49分55秒前。
そして、現在。
雲雀は見覚えのない廊下を歩いていた。雲雀が認識しているのは、自室、食堂、綱吉の部屋、医療室と使用頻度が多い場のみであり、骸との競り合いの時に綱吉の部屋を通り過ぎたような記憶はあるが、今歩いている廊下が何処なのかを把握できずにいた。骸を見失いやる気を失くしてしまった雲雀は武器をしまった。そして自身が来た道を引き返そうとした時、ふいに白い扉が目に入った。曖昧な記憶ではあったが、ボンゴレ本部内で白い扉は見たことがない。引き寄せられるように雲雀はその扉の前に立った。途端に急に胸のあたりが切なく、冷たく、騒がしく波打つような感覚が雲雀を襲う。今までに感じたことのない感覚に、雲雀は不快感をあらわにする。その正体を確かめるべく、雲雀はノックなしで扉を乱雑に開いた。
白い清潔感のあるベッドに、ひとりの女性が横になっている。その横で、雲雀が扉を開いた音で起きた綱吉が、椅子に座ったまま大きく目を開いていた。
「ひ、雲雀さん!?」
雲雀は無言でベッドに近づき、眠っている人物に目をやると小さく息を呑んだ。白く透き通るような肌、漆黒の紙、長い睫毛、林檎の如く赤い唇。眠っているが、随分と容姿の整った人物だ。
「誰。」
率直な質問を綱吉に投げかける。綱吉は眠り続ける女性--白雪に目を移す。
「白雪・・・俺の妹です。」
「似てないね。」
「血は繋がってないんですよ。」
ふぅん、と雲雀は白雪に視線を落としたまま呟く。興味があるのか、興味がないのかわからない反応に綱吉は苦笑する。引き留めても興味がなければ去ってしまう雲雀だが、ここに居るということは少なからず興味があるのだと綱吉は判断した。
「この呪いのリングのせいで、13歳の誕生日から眠ったままなんです。」
「ワォ。まるでお伽話だね。」
雲雀が迷信じみた話に皮肉を口にし、白雪の首から下がるシルバーリングに触れた、その時。
パキンッ
シルバーリングが雲雀の手の中で粉々に砕けた。綱吉は思わず立ち上がる。
「リングが・・・砕けた・・・?」
怪訝な顔をする雲雀と、状況についていけない綱吉の視界の隅で白雪の指がぴくりと動いた。そして、ゆっくりと長い睫毛が持ち上がる。この日を待ち望んでいた綱吉には、それが実際の動きよりも遅く感じた。10年振りに開かれた瞳がゆっくりと綱吉に焦点を合わせ始める。綱吉を認識した白雪は、にこりと笑った。
「おはよう・・・お兄ちゃん・・・。」