snow white
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「本日の書類は以上です10代目。お疲れ様でした!」
「うん、ありがとう獄寺君。」
高さ10cmはある紙の束を獄寺が抱えて部屋を出たのを確認し、綱吉は小さく息を吐いた。近頃小さな抗争の対応や後処理に加え、懇意にしているファミリーとの会合、ボンゴレ内での揉め事--主に雲雀恭弥と六道骸の小競り合いと、綱吉を悩ませる事柄が押し寄せてきている。軽く痛み出した頭を一振りし、綱吉は自室を後にした。そのまま大きな廊下をゆっくりと歩き、1階上った先にある白い扉の前に立つ。
コン コン コン
扉をノックする音がやけに大きく、そしてどこか寂しげに響いた。中からの返答はないが、綱吉は静かに入室した。
「入るよ、白雪。」
綱吉の視線の先には、10年前から変わらず眠り続ける白雪がベッドの上に横たわっている。ベッドの横に置いてあるイスに腰掛け、綱吉は白雪の手を握る。暖かいそれに、綱吉は安堵の息を漏らす。この暖かみが、白雪が生きているという実感を綱吉にもたらしていた。
10年前。白雪の13歳の誕生日。
その日から白雪は長い眠りについた。死んだわけではなく、本当に眠っているだけなのだ。かのシャマルも「これは病じゃない」とお手上げでだったこの睡眠の原因。1年かけて掴んだそれは、白雪の持つシルバーリングだった。「snow white」と刻まれたこのリングは、13歳の誕生日に目覚めることのない眠りにつく呪いのリングだったのだ。
そしてこの呪いを解く方法はただひとつ、運命の相手との接触だ。
考え方によっては、運命の相手に呪いから救われる、というロマンティックなリングなのだろう。しかし、顔も名前も声も知らず、何処にいるのかも、出会えるのかも、さらには生きているのかもわからないその運命の相手との接触など奇跡と呼ぶものではないか。
その奇跡が、運命が、お金で買えるのならば、すぐにでも買うというのに。
シャマルの技量と女性陣の努力で、眠ったままの白雪の身体機能はなんとか衰退を辿らず、停滞のままでいる。だが、それもいつ迄もつかはわからない。数年後、いや、明日かもしれない。考えても仕方がない不安と恐怖が、綱吉を苦しめた。
「おはようが、聞きたいよ・・・白雪・・・。」
あの笑顔を、綱吉は強く、強く、望んでいる。