夜


この夜は父親がめずらしく家に帰って来た。

アイカは仕方なく一緒にご飯を食べていた。

エースはどうしてもアイカの様子が気になり来た道を逆走していた。

なんであの時黙ったのか気になったから。

アイカの家に着き庭の方へ回り込んだ。

すると窓が開いていてアイカと父親が話してるのが聞こえた。

「アイカ、今日は久しぶりに仕事が早く終わってな。
また行かなきゃならないんだが、食事するぐらいの時間ならあるからな。色々話そうじゃないか」

私は別にないよ。

そう心で思う。

「最近どうだ？許婚とは会ってるのか？」

「・・・最近会ってません・・・」

「なんでだ？結婚する気あるのか？」

そんな事ないに決まってた。

誰が好きでもない人と結婚なんて出来るか。

「・・・お父様、私はまだ遊びたいの。結婚はしたいけど・・・」

少しの沈黙の後。

「・・・まさか他に男がいるのか？」

「・・・！自分の結婚相手ぐらい自分で決めさせてください！」

「それはダメだ！変な男に引っ掛かって騙されたらどうする？」

「好きでもない人と結婚なんて出来ません！」

「言う通りにした方が１番良いんだ！
相手は大企業の息子だぞ！許婚と結婚しないと幸せになれないぞ！
相手先だってお前の事気に入ってくれたんだ。許婚と結婚したの方が幸せになれるんだぞ！」

そこまで聞くとエースの心が痛みエースは帰った。

「・・・もう良い！！お父様のばか！！」

アイカは家を飛び出した。

暗い夜の街を走り出した。

走って走って走り続けた。

その時誰かにぶつかった。