「どうだ？」

「・・・体に外傷はない。軽い脳震盪（のうしんとう）だろう。目が覚めれば大丈夫だ」

「そうか、サンキュウ」

足元を見ればアイカの言った通り小石を投げられた足の赤い後は消えていた。

「・・・しかし、お前がついていながらアイカが倒れるとはな」

「・・・・・」

何も言えなかった。

油断していたわけじゃねェ。

本当にあいつらの仲間達は見えていなかった。

「アイカの意識が戻ったら教えてくれ」

「ああ」

そう言い医務室を出た。

自分の部屋に行き煙草でも吸って気持ちを落ち着かせようとした。

ホンゴウに対して返す言葉もなかった。

本当に油断してな・・・いや・・・油断していたのかもな。

こんな奴ら簡単に勝てる・・・と。

俺の判断ミスで大切なアイカに怪我をさせてしまった。

安全にアイカを助けた後で、男達を殺せば良かった。

すまない・・・。

部屋のドアを開け、デスクの上を見ると１枚のカラフルの封筒。

誰かからの手紙かと最初は思った。

でも封筒には文字が書かれていた。

”あなたの宝物にしてください”

確かにアイカの字だった。

封筒を持ち上げ中を開けてみた。

そこにあった物。

４枚の写真だった。

１枚ずつ見ていた。

1枚目はしぶしぶ撮った写真。

お昼にお弁当を食べた時の写真だった。

２、３枚目はいつ撮ったのかと思った。

片側にアイカは笑顔で写っていて、もう片側半分は遠くに俺が写っている。

４枚目は１人でアイカが笑顔で写ってる写真だった。

「！」

俺はこの笑顔が好きだった。

たまらなく好きだった。

この笑顔には勝てない。

「・・・・・・」

あなたの宝物にしてください・・・か。

この時、ベックマンは宝物の正体も、宝物を増やしたと言う意味も、誰がいつ置いたのかもわかった。

・・・可愛い事してくれるじゃねェか。

だったら・・・俺の宝物にしてやろう。

そう思うと写真を封筒にしまい引き出しの中に入れた。

そして煙草を吸った。