私の大好きな黒と赤

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ヒロインちゃん

「お頭!」

「おう、どうした?ノックもしないで」

やっぱり部屋にいた。

ベットに寝そべっていた。

「乗せたい女がいる」

「乗せたい女?・・・お前が・・・?」

まだベットから起きそうにない。

「ああ」

「お前が珍しいな。どんな奴だ?海軍や海賊のスパイじゃないのか?」

「この街の女だ。それに怪我してる。今医務室で手当て受けている」

「そうか。戦えるのか」

「おそらく戦えない」

「じゃ無理かもな・・・」

お頭の気持ちもわかる。

そんな女乗せてもメリットがない。

でも引き下がるベックマンでもない。

そこで船長を動かせる言葉を思いついた。

「・・・若くて美人だ」

「・・・!それを早く言え!」

ぴょんと飛び起き医務室に行った。

ベックマンも後を追った。


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「さっきも言ったが、若いし安静にしていれば治りは早いと思うが、もし痛んだら遠慮せずいつでも来い。それと痛み止めの薬も出しておく」

「・・・ありがとうございます」

その時バンと扉が勢い良く開いた。

急に大きな音がして振り返った。

赤い髪。

顔に3本の傷。

高身長。

彼の第一印象はこんな感じだった。

後ろにさっきの男も人いる。

「ベック、この女か?」

「ああ」

「へェ~。可愛いじゃん」

な、何この人?

可愛い?

・・・もしかして、お頭って呼ばれてる人?

そんな事を考えている間にドア付近にいたはずが、いつの間にか目の前にいた。

「!」

大きい・・・!

海賊の人ってみんな大きいの?

目の前に立たれたら圧迫感がすごい。

シャンクスは質問した。

「あんた名前は?」

「・・・アイカです」

アイカ・・・か。俺はシャンクス。で、こっちがベックマン、で船医がホンゴウだ」

1人1人、目で合図をしながらシャンクスはテキパキと仲間を紹介した。

アイカ、歳は?」

「お頭、女性に年齢を聞くのは失礼だ」

ベックマンは口をはさんできた。

「これから仲間になるんだろ?大事な事だ」

仲間になるなんて言ってないんだけど・・・。

「・・・大丈夫です。年齢は19歳です」

「へェ~。若いなァ」

少しニヤニヤした顔をみせた。

「お頭どうだ?仲間にしても良いか?」

「そうだな・・・。何か特技はあるか?」

「特技・・・ですか?」

困ったなぁ・・・。

これと言って自慢出来るようなものもないし、得意な事もない。

・・・って何考えてるんだろう!?

船になんか乗らないし!

きっぱり断らなくちゃ・・・!

「あの・・・!私、船に乗るなんて言ってません!」

3人は全員アイカに注目した。

何言ってるんだと言う顔。

ベックマンはアイカに近づいた。

「あの金、返してくれるんだろう?」

「・・・あ・・・!」

借金をベックマンが払ってくれた事を思い出した。

確かに返すと言ってしまった。

「船に乗らねェし、離れて暮らすのにどうやって返してくれるんだ?」

「訳ありか・・・。決まりだな!他の仲間も紹介したいが、まずは部屋に案内してやれ。ベックどこか空いてるんだろ?」

「ああ」

「ベックに連れて行ってもらえ。また後で俺の部屋に来い」

シャンクスは部屋を出て行こうとした。

「せ、船長さん!」

アイカは大きな声で呼び止めた。

「ん?シャンクスで良いぞ」

「シャンクスさん・・・これからよろしくお願いします!」

「・・・ああ!」

ニヤニヤの顔ではなく初めて笑顔を見せてくれた。

「ベック」

親指で部屋を出るよう合図をした。

部屋を完全に出たその横でアイカに聞こえないように小さな声で話し出した。

「何だ?」

「気に入ってるんだろう?お前が連れて来たんだ。お前が世話しろ」

「ああ。仲間の件、サンキュウ」

シャンクスは歩き出した。

その後ろ姿を見送った。

もう1度医務室に戻りアイカを見た。

アイカ

「はい」

「部屋に案内する。松葉杖で立てるか?」

人生で松葉杖なんて使った事ない。

出来るかどうか試してみた。


トン


ズズ・・・。


少し時間がかかるが、何とか出来そうだった。

ベックマンもそれがわかったようで頷いた。

「ゆっくりで良い。着いて来い」

「はい。・・・ホンゴウさん、ありがとうございました」

「ああ」

一礼すると部屋を出た。

すぐにベックマンを追いかけたいがそう思うようにいかない。

ただベックマンもゆっくり歩き何度も後ろを振り向きアイカを気遣った。

医務室から1番近い空部屋に案内された。

「今日からここがお前の部屋だ」

本当に何にもない部屋だった。
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