「・・・お客さん、好きな人っていますか？」

「え？」

いきなり話しかけられビックリした。

「好きな人・・・ですか？」

「はい、お客さんキレイからきっと恋人いるんでしょうね？」

「え・・・いませんよ、恋人なんて・・・」

アイカはあまり自分の事を話すのが好きじゃない。

「そうですか」

そう言い話は途切れた。

変な人・・・。

そう思いながら運転手と話てて気づかなかった。

自分の家を通り越していた。

「止めて！家通り越してる！」

そう言うが運転手はスピードを落とさない。

「ちょっと・・・！」

反論しようとしたその時タクシーが止まった。

アイカはあたりを見渡すと港に着いたみたいだ。

「ちょっとあなた何なのよ！？こんな所に連れてきて私をどうするつもり！？」

怒って言い方がきつくなる。

運転手は振り向いた。

「・・・アイカ、俺が誰だかわかるか？」

なんでこの人私の名前知ってるのよ・・・！誰なの？

そう思い運転手の顔をじっと見た。

「・・・！・・・エース・・・？」

高校時代に好きだった同級生の男に似ていた。