少しばかしのヤキモチ屋
「まったく、部活だというのに寝てるとはいい度胸なのだよ」
パタンと読んでいた本を閉じながら緑間は立ち上がり、鞄の中へとしまった。
その様子を高尾はぽかんとした表情で見つめる。
「…あれ、真ちゃん部活は?」
「お前が来ないから宮地さんに探してこいと言われた
"高尾に連絡がつかない"と言われてな」
「…」
「それで、お前のクラスメイトに聞いてみたら教室にいたということを聞いて来てみれば呑気に寝ているとは…
宮地さんには、"体調が悪くて教室にいたから送っていく"と誤魔化しておいた」
「誤魔化すって…別に起こしてくれりゃよかったのに」
スマホを見てみると、着信とメッセージが何件か入っており、その名前は宮地と緑間の名前で埋め尽くされていた。
俺、アラームつけたはずじゃ…。
ふと思い出して確認してみると、時間が1時間遅めに設定してあったことに気付き、"あー…"と声が漏れ出る。
「わり、少し寝るだけだったのに」
「まったくだ」
「つか、別に俺のこと気にせずに部活行っててくれてよかったのに
真ちゃん、誤魔化したり嘘つくの嫌いじゃん」
「…帰るぞ、高尾」
チラリと緑間は高尾を一瞥し、鞄を肩にかけながら声を掛けた。
「帰るって、部活今からでも」
「さっきも言っただろう
宮地さんにはもう、お前が体調崩したから送ると連絡したんだ…それに」
「それに…なに?」
緑間の言葉の先を促すように、見上げながら首を傾げると、緑間の口から息が吐かれ"行くぞ"と背中を向けて先に教室から出ていってしまった。
「あッ、待って真ちゃん!」
緑間の言動の意図が分からず、少し間を置いてからハッとしたように慌てて高尾は立ち上がり、鞄を肩にかけながら慌てて緑間の後を追いかけた。
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