その指先まで汚したくなくて


昨日の夜、ちょい夜更かししちゃって睡眠不足な上に遅刻寸前で朝飯食えず、しかもいつもよりもハードな練習。

おかげで現在。グロッキー状態な俺。

練習中と真ちゃんの自主練に付き合ってる時はいつもみたいに平然としてられたけど、もう無理。











真ちゃんに、こんな弱ってるところ見せられねぇわ。












ダサ過ぎて。










「ッんぐ」

吐き気が込み上げてきて、慌てて口元を手で押さえ吐かないようにと意識を集中させる。

「ッん…は…ぁ…」

数秒間、なんとか堪えると吐き気が一旦収まり高尾の口から疲れたような息が漏れ出る。

こーいうとき、1回出しちゃえば収まるっちゃ収まるけど、真ちゃんまだ体育館にいるし…校舎…ここから近いトイレだったら…。
今日日曜日で、そんなにやってる部活いねぇだろうし…。

「おい、そこでなにしてるのだよ」

「んぇあ?!」

立ち上がろうと腰を浮かすと、いきなり背後の扉が開いて緑間の声が頭上から聞こえてくる。
それに驚いた高尾はビクッと肩を跳ねさせながら声をあげ、バッと勢いよく後ろを振り返った。

「ちょ、びっくりさせないでよ真ちゃん!」

「お前が勝手に驚いただけだろう
それに、俺は部室に戻ろうとしただけなのだよ」

「戻ろうとしたって…片付けは…」

「無論、終わってる」

緑間が開けた扉の隙間から体育館の中を覗いてみると、そこにはボール等は落ちておらず、綺麗な状態の体育館の姿。

「あー…」

流石真ちゃん。
いつも通り人事を尽くしてらっしゃる。

「俺の質問に答えるのだよ
さっきから何をしている?」

ジトリとした目つきで見下され、高尾はススーッと視線をそらした後にゆっくりと腰を上げる。

「…えっと…休憩、的な?」

「…部室に戻って休憩した方がいいと思うが?」

「いやまぁ、うん
正論パンチやめて真ちゃん…ッう"…」

真ちゃんと話してたら気抜けて…また…。

「…おい、高尾
顔色が悪いぞ」

こみ上げてくる吐き気。
その場に再びしゃがみ込むと、緑間が顔を覗き込み顔色の悪さを指摘する。

「…真ちゃん…」

あーもう、まじかっこわる。
こういうとこ、まじで見せたくないのに…。

「な、なんだ?」

手で口元を押さえゆっくりと顔を上げ、瞳に涙をためながら見上げる。
すると、緑間の少し驚いたような声色が聞こえた。












「ごめ…吐きそ…」

「吐き…?!」












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