その指先まで汚したくなくて


「真ちゃん、そろそろ終わりにしね?」

綺麗な円を描いて入る緑間のシュート。
ゴールから落ちてきたバスケットボールを手にし、指先でくるくると回転させながら、高尾は次のシュートを決めようとボールを手にする緑間に声をかけた。
しかし、緑間の動きは止まることなく再び手からシュートが放たれ、そのボールのあまりにも高いループに高尾は目を奪われる。

あー、ほんと。
いつ見ても綺麗なシュートだこと。

「っと…」

リングに触れることもなく、そのまま再びゴールに吸い込まれ、高尾の元にボールがバウンドしながら向かってくる。
持っていたボールを床に置いて、そのボールを手にした。

「ねぇ、真ちゃん
俺の話聞いてる?」

「聞いているのだよ」

声をかけても反応しなかった緑間に、再度声をかけてみる。
すると、こちらを一瞥し、シュートフォームをした状で返事をしてきたのでその手に向かってボールを投げる。
ボールが緑間の手に触れた瞬間、そのボールがゴールへと向かって投げられ、ゴールの中へと吸い込まれていった。

ふらっ。

「ッ…おっと」

「!」

一瞬めまいがし、身体がふらつく。
それを堪えるように足に力を入れると、緑間の動きがピタリと止まり、自分の方へと歩み進める。

「おい、大丈夫か」

「あー、大丈夫大丈夫
ちょいバランス崩れただけだから
なによ真ちゃん
さっきまでは俺の話聞いてないようなツンとした態度だったのに、もしかして心配してくれてんの?」

先程まで真剣にゴールを狙っていた瞳が、今は自分に向けられ心配そうにしている様に、高尾はおかしそうに笑うと緑間の顔を見上げた。
すると、高尾の顔を見た緑間は眉間に微かに皺を寄せる。

「…高尾」

「んっは、なによその顔
俺先に部室戻ってるからさ、真ちゃんも早く片付けて来いよー?
あんまり長い時間やってっと、宮地さん達に怒られっからさ」

「おい、高尾」

緑間の表情に笑いながら背中を向けると、ひらひらと手を振りながら高尾は体育館の中から出ていく。
緑間の引き留める声が聞こえた気もするが、高尾は扉を閉めると、その場に座り込んだ。











「…やっべ…げろ吐きそ…」











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