筋トレ中の不慮の事故


「ツッキーって筋肉ないよね
もやしみたい」

「…は?」

合宿最中、いつものように練習後の自主練を終え自分のタオルやドリンクを持って退散しようとしていた時にふと黒尾に言われた言葉に月島は怪訝そうな表情を浮かべた。

「セクハラですか?
受験生なのにそういう発言するのはどうかと思いますけど」

「いやいや、そうじゃなくてね」

「僕が申告したらどうなりますかね」

「いやだから違うって
話聞いてくれないじゃんツッキー」

「そりゃ、いきなり人の体舐めるように見た後にそんな事言われたら言い訳なんて聞くわけないじゃないですか」

「舐めるように見てませんけどぉ!
それならもう舐めまくってあげようか?全身くまなく」

「あ、もしもし警察ですか?」

「ごめんごめん、嘘嘘
黒尾さん前科者になっちゃう」

笑顔でセクハラ発言をする黒尾を前に月島はスマホをスッと取り出して耳元に当てると黒尾は慌てて止めに入り、月島はめんどくさそうにスマホを下げた。

「それで、いきなりなんですか?
もう木兎さんと赤葦さんいないんで僕も戻りたいんですけど」

「いや、ツッキーって身長無駄に高いくせに腕とか足細すぎてもやしみたいだなって
見た感じ筋肉もあんまなさそうだし」

"ほら"と言いながら自分の腕を月島の腕の横に並べ比較をしてくる。
確かに、自分の腕は筋肉なんてあまりない。
それに比べ、黒尾の腕は程よく筋肉があるのが目に見えてわかる。

「男の子なら筋肉の1つや2つに憧れなさいよ」

「筋肉に憧れるってなに?」

「憧れない?筋肉隆々の逞しい男
範馬◯牙的な」

「すいません、範馬刃◯知らないんで」

「ならキン肉◯ン?」

「世代じゃないんだけど」

「とにかく、ツッキーはたくさんご飯食べてたくさん筋トレしてたくさん筋肉つけろって事
主に三角筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋、前腕筋」

「ここぞとばかりにバレーに必要そうな筋肉を…」

「そういうわけで、手始めにツッキー!」

黒尾はビシッと月島に指差した。










「腕立て伏せやろうか!」

「おつかれしまでした~」

「待って待って待って待って」









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