その温もりに触れて


「まぁ、調子が戻ったのなら話、聞かせてよ」

骸に触れていた手を離し、正座をし直しながら雲雀は言う。

「話、とは?」

「彼と何があったのか、なんで会うことになったのか
そして、なにをされたのかね

「あぁ…そういうことですか」

雲雀の問いかけに、骸は納得したように返事をし、雲雀の手へと手を伸ばして手のひらに触れ始める。

「貴方も大概、過保護ですよね」

「そりゃ、君がこれだけ弱っているからね
僕のものを、こんな小動物みたいな感じにされたら…面白くはない」

雲雀の手に自分の手を重ね、指を絡ませながら握りしめていると、雲雀の手に力が入り握り返される。

「先程、僕が小動物のように弱っている姿を見るのは好き、と言ってませんでしたか?」

「好きとは言ってない、興奮すると言っただけ」

「…」

それはそれで、同じなのでは?

「…まぁ、電話でも少しお話しましたがなにかされた、ということはないんです
ただ、貴方に会いに並盛中まで行き、その時に彼が現れて…それで…」











『あはは、言ったじゃないか
"また来るね"って
君に会いに来たんだよ、骸クン?』











「…」

「骸」

頬にツーッと冷や汗が伝い黙り込んでしまうも、雲雀に名前を呼ばれて顔をふるふると軽く横に振り、雲雀へと顔を向けた。

「…その時、少しめまいがして…彼が介抱、というか…彼に連れられて喫茶店で休憩をしたんです
特になにかされたりとか、そういうことはありませんのでご安心を」

「…」

…おやおや。

簡単ながらに説明をするも、どこか納得していないといわんばかりの表情で見つめられ、骸は困ったように息を吐く。

「他は?」

「他は、と言われましてもこれだけですよ、伝えられることは
本当にそれだけなのですから
なんでしたら、僕の身体の隅々まで確認していただいても結構です」

「…そこまで自信ありげに言うのなら、そうなんだろうね」

両手を広げながら隠し事は無いことをアピールすると、雲雀は小さく息を吐き出しながら呟くように言う。

「わかっていただけましたか?」

「まぁね、3割くらい」

「3割って、半分以下ですか」

「当たり前でしょ、不調の原因が分かっていないからね」

確かにそうだ。
この不調についてはなにも解決していない。

「彼のせい、っていうことは分かるけれどね」

「…」

雲雀の言う、"彼"が誰を指すのか。
それはもう、名前を言わなくてもわかる。

「…しかし…本当に思い当たる節がないんですよねぇ」

今日、白蘭と出会った時のことから別れる時までのことを思い出すも、特に思い当たる節がない。


彼と会った瞬間に、"彼から逃げなければ"、そう思ったのは確か。
それは、以前に会った時もあった感覚だった。

しかし…なぜそう思ってしまうのかが分からない。

確かに、彼が10年後の世界でしたことを思えば警戒するのは分かる。
だが、虹の代理戦での彼は、沢田綱吉の考えに賛同…ではないが、手を貸し、ユニのためにと戦っていた。
その姿を見て、これ以上なにかをする、といったような考えはなさそうに感じた。










…けれども…なぜだろうか…。











彼に触れられそうになる度に。











得も言えぬ恐怖心にかられるのは。











"なにも覚えてないの?10年後のこと"











「…未来…」 

何度か白蘭が発していた、"10年後"という言葉。
その言葉からして、彼と未来でなにかがあったことは確か。
しかし、僕が夢で見た出来事の中で思い当たる節がない。
彼のアジトでの戦い、沢田綱吉達と白蘭のチェイス、その後に起こった最終決戦。

…その中になにか…いや…。













僕が覚えていない、なにかがあるのだとしたら…。











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