身体の熱さに見舞われて


ドスッ!

「う"ッ…!」

腹部になにかがのしかかる重み。
その突然の重みに骸は苦しげな声を漏らし、瞳をゆっくりと開ける。

「お、ししょーおはよーございまーす」

ひょこっと顔が現れて、瞳を細めながら見てみるとそれはフランの顔だった。

「…いきなり飛び乗るの、やめてくれます?」

「別にいーじゃ…お?なんか冷たいやつ貼ってますねー」

フランに注意をするも特に聞いている様子はなく、それよりも自分の額に貼られているものが気になったのかぺりっと剥がされる。

「これってー」

「ただいま戻りました骸さ…」

部屋に入りながら声を掛ける千種だったが、フランが骸の上に乗っているのを見て眉間に皺を寄せて近付いてきた。

「…フラン、降りて」

「これ見てくださいよー、これ」

「…?」

フランの手に持つものを見て、千種は瞳を細めながら見る。

「…冷えピタ?どこにあったの、それ」

「ししょーのおでこにくっついてましたー」

「…骸様、体調崩してたんですか?」

語尾に怒りがこもった言い方。
その様子からして、千種が怒っていることを察した骸はゆっくりと上体を起こした。

「…そこまで悪いというわけでは」

「…失礼します」

骸の言葉を待たずに千種は骸の額に手を伸ばして軽く触れ、眉間に皺を寄せる。

「…熱い」

「…これでも下がったほうなのですが」

「昨日、肌寒いと言っていたのでまさかとは思ったけど…」

「大丈夫ですよ、このくらい」

「骸様」

自分の言葉に被せるように名前を呼ばれ、骸は驚きながら千種を見上げる。
すると、千種はなにか言いたげな表情を浮かべながら顔をそらした。
それを見た骸は困ったように微笑んだ後、千種の手へと手を伸ばして上から優しく包み込む。

「…すいません、心配させたくなかったのですが…逆に心配かけてしまいましたね」

「…骸様…お願いですから、少しは俺達を頼ってください
力不足かもしれないですが…看病くらい、できますから」

「…クフフ」

顔をそらしたまま告げる千種に骸は笑みを浮かべる。

「そうですね…ですが、千種達が風邪を引いたりする方が僕としては嫌ですので
なるべく離れて、看病してくださると助かります」

「…その割には、他の人を入れたりしているようですが」

「これは…勝手に侵入してきたので」

「…はぁ…これ、しまってきます」

レジ袋を一瞥しながら言う千種を見て、骸は千種からススーッと視線をそらして答えると、千種はレジ袋を手に取った。

「フラン、行くよ」

「えー、みーししょーのこと見張り役しますよー
ちゃーんと寝るかどうかー」

「いいから、お前が一番小さいんだから移ったら骸様が悲しむよ」

「…うむむむ…わかりましたよー」

"骸が悲しむ"と言われフランは少し悩むように唸り声を漏らした後、渋々骸の上から降りて千種の元へと走り寄っていく。

「ししょーが泣かないように、今日のところは勘弁してあげますー」

「おやおや…それはありがとうございます」

「なにかあったら呼んでください、スマホからでもいいので」

「えぇ、わかりました…千種」

「はい?」

「…ありがとうございます」

礼を言うと千種は驚いたように軽く瞳を見開くも、すぐに口元に笑みを浮かべて何も言わずにフランと部屋から出ていった。

「…クフフ」











「たまには…体調を崩すのも悪くはないですね」










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