身体の熱さに見舞われて


「…苦手ではありません、好まないだけです」

「それを苦手と言うんだよ」

この姿を見て、子ども扱いをするな、というほうが無理がある。

ススーッと顔をそらし口元を手で覆い隠す骸を見て、雲雀はジッと骸を見つめ続けながら思う。

甘いものが好きなのは知ってるけれど、苦いものが苦手なのは知らなかった。
だけど、風邪薬は飲ませたい。
子ども用の…本当に小さい子が使う薬を飲ませるゼリーとかあったけど、正直それも子供騙しのような気がする。

「…仕方ないな、ベタな手だけど」

「…なにをするつもりです?」

「口移し」

「口移…ッ!!」

薬の入った箱を開けて、中から2錠取り出しながら骸に言うと、骸はきょとんとした表情を浮かべた後に、ボンッと顔を更に赤くして後ずさった。

「ちょ、ちょっと待ってください!口移しって…」

「…?なに恥ずかしがってるの?
キスしてるんだから、それの延長線上でしょ」

「いやいや、それとこれとは話が違うと言いますか…そもそも!健常者が薬を口に含むのはどうかと!」

「溶け切る前に君の口に移動させるから安心して」

「安心できません!
第一、キスして風邪うつってしまったらどうするんです?!」

「そのくらいの濃厚接触で僕がうつるとでも?」

「そういう問題じゃ」

「うるさいよ、骸」

「ッ!」

本当に病人なのかと疑うほど、声を荒げる骸に痺れを切らし、骸の肩に手を置いてそのまま勢いよくソファーの上へと押し倒して骸をジッと見下ろす。
骸はキュッと口を閉ざして手で覆い隠すほどの徹底ぶり。

「骸、開けて」

「…」

「キスするだけだよ」

「…」

顔を近付けて伝えるも骸はふるふると顔を横に振っている。
雲雀は小さくため息をつくと、骸の鼻を指で摘んだ。

「ッ…〜…は…!!」

しばらく我慢していた骸だったが、我慢の限界に達したのか口を押さえていた手を離して口を開き、荒い呼吸を繰り返す。
それを見た雲雀は、瞬時に自分の舌の上に薬を乗せるとそのままの勢いに骸と自分の唇を重ねる。

「んぐ…ッ…ふ…ぅ…」

骸のくぐもった声を聞きながら、自分の舌を骸の口内へと侵入させてそのまま薬を唾液と一緒に流し込む。
すると骸は軽く瞳を見開き、"ゴクン"と飲み込む音が聞こえ雲雀はゆっくりと口を離した。

「…ッ…にが…」

口内に薬の苦味が残っているのか、骸は眉間に皺を寄せ、雲雀はスッと水の入ったペットボトルを手渡すと、骸はそれを受け取って流し込むように水を数口飲んだ。

「飲めたね、薬」

「…げほ…ッ…おかげさまで…」

「これ、1日3回なんだけど」











「また夜、飲ませてあげようか?」

「…検討します」

「…わぉ」












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