小さいなりにも


「まったく…今日はいつにも増して集中力がありませんね…」

存分にフランのりんごの被り物を刺した骸は満足したのか槍をしまい、再びソファーに腰掛けてため息を漏らした。

「いてて…こんの暴力ししょーめ…」

「教育的指導です
先ほどから僕の事ばかり見ていましたが、僕に何かついていますか?」

被り物を手で押さえながら倒れていた身体をゆっくりと起こしているとフランは骸に声をかけられ、チラリと視線を向ける。

「…ずいぶんとジイシキカジョーですねー
別にししょーのこと…あ、髪型は見てましたー」

「クフフ、そうやって挑発しようとしても無駄ですよ?
ちゃんとお前が僕を見ていたことはわかっていますからね」

「…」

ちぇ、ばれてーら。

骸から顔をそらし、んべ、と舌を出した後にフランはわざとらしく大きくため息をつきながら立ち上がり、ふらふらと骸の近くへと歩いていき、ボフッと大きな音を立てて隣へと腰掛けた。

「こら、座るなら大人しく座りなさい」

「あーもー今日はしゅぎょーやる気ないですー
もうなにもしたくないですー」

「おっと」

いつもの抑揚のない言い方をしながらフランは骸の太ももにぽふりと頭をのせて横たわり、ぐりぐりと腹部に顔を押しつけ始め、骸は唐突な言動に驚きながらも困ったような笑みを浮かべてフランの被り物へと手を伸ばして優しく撫で始める。

「…おやおや、今日はやたら素直に宣言しますね
いつもは文句を垂れながらもやっているというのに」

「あいすー、せめてあいすがあればなー
ししょーがあいす買ってくれたら、少しはやる気が出るのになー」

顔を少し骸へと向けて下から覗き込むと、うっすらと目元に隈があることがわかり、フランはふと視線をそらし、再び腹部に押しつけながらねだりだす。

「アイスって…もう夜ですよ?
晩御飯もさっき食べたでしょう」

「あいすは別腹ですよ、別腹ー」

「…ずいぶんとまぁ…仕方ありませんね」

"退きなさい"と言われ、上体を起こすと骸は立ち上がりソファーの背もたれに掛けていた上着を手にして袖を通し始めた。

「どうせまだ眠るには早いですからね…今日だけ、特別ですよ」

「おーやったー、言ってみるもんですねー」

「クフフ、たまにはいいでしょう」











「…眠れるか分からない夜に、1人怯え続けるのも…飽きましたしね」












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