心の奥底ではなにを思う?


「…」

「…」

家から出て、敷地内を隣同士に並びながら雲雀と骸はゆっくりと歩く。


…いったい、何を考えているのだろう。


骸は黙って歩く雲雀をチラリと横目で見た後にすぐに視線をそらした。


彼の行動はいつも突拍子ないので理解に苦しむ。
…まぁ、おそらく…僕を思っての行動なんでしょうけど。
普段は人のことなんて考えないくせに、なんでこういう時は…。


「…よく眠れなかったかい?」

「え…あぁ…」

歩きながらふと声をかけられ、骸は少し返答に困ったように言葉が詰まる。

「大丈夫ですよ、ちゃんと眠れました」

「…」

「…」

「…」

骸の返答に雲雀はピクッと反応を示すと、ジトッとした目つきで穴が空くのではないかと心配になるほど視線を向けてくる。
その視線に耐えきれなくなった骸は小さく息を吐いて、雲雀を越すと数歩先を歩き出す。










「…ちょっと、夢見が悪くて…眠れませんでした」










「夢…ふぅん…怖い夢?」

「怖い…」












自分に伸ばされる手。

自分に向けられる、視線。

自分にかけられる、言葉。










なにもかもが…。












「…そうですね、怖い夢…でした」


思い出しただけで、吐きそうだ。


骸はグッと唇を噛み締めながら言うと、吐き気が込み上げてきてその場にしゃがみ込んだ。

「…大丈夫?」

骸の様子に驚いたように目を見開いた後、雲雀は骸に合わせるようにしゃがんで顔をのぞき込む。

「…大丈夫…です」

「…顔色悪いね…部屋、戻ろうか」

骸が返事をして立ち上がろうとすると、雲雀は立ち上がって骸へと手を差し出した。
その手を少し見つめた骸は、"ありがとうございます"とその手を取りゆっくりと立ち上がる。

「なんだったら、抱っこしてあげてもいいけど」

「そこまで甘えるわけにはいきませんよ…自分で歩けます」

「ふらふらのくせによく言うね」

「…」

少し吐き気が収まったのか、一息つく骸に悪態混じりに雲雀が言った後、骸はチラリと雲雀の手を見てゆっくりと手を伸ばし軽く触れた。

「…」

「…抱っこはいいので、手だけ貸してもらっていいですか?」

「…わぉ」

「…まんざらでもなさそうな反応やめてください」

「君が僕に触れてくれるなら別にいいさ」

自分に触れられた骸の手を雲雀は上から包み込むようにギュッと握り締め、口元に笑みを浮かべる。










…あぁ、なぜ彼は…。











これだけで、それほどまでに幸せそうな顔をするのか…。












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