怪しい動きにご注意を
「千種さーん、ししょーの様子、見に行かなくていいんですかー?
あの白い人帰りましたしー、チョコ食べるの再開したいんですけどー」
ソファーに座り、骸の部屋の方向をみていると隣に座ってアイスを食べていたフランに声をかけられた千種。
「あの白い人、ヴェル公の戦いの時にいた人ですよねー
なーんでししょーに会いに来たんでしょー」
「…知らない」
フランに問われたその言葉。
…それはこっちが聞きたい。
千種は小さく息を吐いた。
白蘭がなにをしに来たのかはわからないけれど、骸様に用がある、と言っていた。
骸様のそばで話を聞こうとしたが、骸様は
『僕が対応しますので』
そう言って、俺とフランを部屋の外へと出した。
おそらく、10年後の件があったから念の為俺達を出したのかもしれない。
…様子を見るからに、10年後のようなことはもう起こす気もなさそうだったけれど。
それで、白蘭が退席したのが数分前。
『それじゃ、また近いうちに来るね』
そう言い残して出ていった。
自分的にはもう二度と来てほしくない。
「…あまり、骸様に近付けたくないんだけど…あいつ」
「お、千種さん嫉妬ってやつですかー?」
「違う」
「うーん、まぁー…みーとしてもあの人ししょーに近づけさせたくないですねー」
フランの言葉に千種はピクリと反応し、顔を少し向けた。
「なんで?」
「んー…勘、ですかねー…
あの2人がどーいう関係かは知りませんけど」
「…お前に聞いて損した」
「自分で聞いといてなんだよその反応ー
というか、千種さん気付いてましたー?」
「…?なにが?」
「あー、やっぱり気付いてませんでしたかー?
まぁ、眼鏡かけてるし仕方ないですよねー」
「早く言って」
「わかりましたよー
さっき、ししょーがみーたちの事部屋から出ていくように言ったときなんですけど」
ガチャッ。
フランが言葉を続けようとした瞬間、扉の開く音が聞こえて千種とフランは骸の部屋の方へと顔を向けた。
「骸さ…」
「あ、ししょー
やぁーっと出てきましたかー、早くチョコくださ…」
部屋から出てくるであろう骸へと声をかける千種とフランだったが、部屋から姿が見えた瞬間、2人はピタリと言葉を発するのを止める。
そこから出てきたのは、いつの間にか侵入していた雲雀が骸を姫抱きしており、その肝心な骸は顔を見られまいと両手で顔を覆い隠していた。
「…は…」
「…いた、眼鏡の
骸のこと連れてくから」
状況を理解しようと必死に頭を回転させていると、雲雀が部屋を見渡したと思えば千種の姿を捉えて横を通り過ぎながら用件のみを伝えた。
「…いや、待ちなよ」
雲雀の言葉にハッとした千種は通り過ぎた雲雀へと顔を向けて背中に向かって声をかける。
「なに?」
「…なんでお前がここにいるとか、いろいろ聞きたいけど…骸様をどこに連れて行こうと」
「別に、悪いようにはしない」
「答えになってない
骸様をどこに連れて行こうとしてるか、聞いてるんだけど」
「…」
「…千種」
「!」
再度問いかけるもなにも話さない雲雀に痺れを切らし、裾口からヨーヨーを手に取ると骸が自分の名前を呼ぶ声が聞こえて動きを止めた。
「…大丈夫なので、このまま行かせてください」
「…しかし、骸様…」
「…僕は大丈夫ですので…フランの事、頼みます…」
「…そんなので、みーが納得すると思いますかー?」
千種の隣からひょこっと姿を現し、フランは骸を抱いている雲雀の目の前へと歩み寄る。
「フラン」
「みー、ししょーに用があるので離してくださーい」
「…残念だけど、離すつもりはないよ」
「…それなら、みーも力づくで」
「僕の部屋の冷蔵庫に先程食べていたチョコがあります」
雲雀に一蹴され、ぷくーっと頬を膨らませたフランに骸は早口でそう言い、フランの動きが止まった。
「…」
「…それ、食べていいのでおとなしく待っててくれますか?」
フランの顔がゆっくりと骸へと向けられ、それを察した骸が顔を隠したまま言うとフランはそのままふらっと骸の部屋へと向かっていった。
「…はぁ…帰ったら説明、してくれますか?」
フランが出ていった後に千種は深いため息をついてめんどくさそうに骸へと聞く。
「…説明できたら、します」
「…わかりました、雲雀恭弥」
「ん?」
千種は雲雀へと近寄り、耳元に顔を近づける。
「…骸様を、よろしく頼む」
「…ふん」
千種の言葉に雲雀は瞳を細めた後に静かに閉じ、そのまま黒曜ランドから骸を連れて出ていってしまった。
「…はぁ…」
「…めんどい」
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