この姿を隠して
「…いやいや、貴方何しようとしてます?!」
座っている骸に覆い被さる雲雀の姿に、骸は慌てたような声を上げて雲雀を見上げる。
「沢田綱吉達が近くにいるのですから、状況を考えてください!」
「まだなにするも言ってないのに拒否はひどいね
あと、あまり大きな声出すとバレるけどいいの?」
「ッ」
雲雀の言葉にハッとして骸が口を閉ざすと、"いい子だね"と前髪にソッと触れてから額にキスを落とされる。
「ちょ、ちょっと、本当にこんなところでするのは」
「するって、なにを?」
額から頬へとキスをする雲雀を止めようと肩に手を置いて声を掛けるも、骸の言葉に雲雀は首を傾げ、その先の言葉を促す。
「な、なにって…貴方のことですから…そういう…」
骸は促され言葉を発しようとするもだんだんと声が小さくなっていき、最終的には頬を微かに赤らめて雲雀から顔を逸らした。
「…言わせないでください」
「…君ってさ、結構えっちだよね」
「えっ…?!」
「僕と会うと、そういう事想像しちゃうってことだよね?」
「そういうわけでは」
口元に微かに笑みを浮かべ、雲雀はスッと骸の耳元へと口を近づける。
「…えっち」
「ッ…!!」
耳元で低く囁かれたその言葉に骸はボンッと顔を真っ赤にさせ目を見開く。
その反応に雲雀は微笑みながら骸の唇に自分の唇を重ね、軽くキスをすると一旦離した。
骸はバッと囁かれた耳を手で抑え、雲雀をキッと睨みつける。
「…耳はやめてください」
「あぁ、弱いんだっけ?」
「それもありますが、貴方の声で囁かれると…なんと言いますか…」
「…?」
耳を指で触れた後、骸は言いづらそうに口を開く。
「…貴方のその低い声で囁かれると…ゾクゾクしてしまうので…控えてください…」
「…へぇ…ふぅん…」
…あ…これは…。
骸の言葉を聞いてぱちくりと瞬きを繰り返した雲雀だったが、意地悪気な笑みを浮かべる様子に骸は嫌な予感がした。
「君、僕の声そんなに好きなんだ
そもそも、僕のこと好き過ぎじゃない?」
「う、うるさいですね
別にそういうつもりではありませむぐ!!」
茶化すような言いように骸の声が大きくなってしまい、雲雀はサッと骸の口元を手で抑える。
「あれ、今なんか声聞こえなかった?」
「!」
声が響いていたのか綱吉が声について2人に聞いているのが聞こえてくる。
「確かになんか聞こえましたね」
「もしかしたら、誰かこっちにいるのかもしれないな」
「10代目!もし誰かいたら俺が追い出しますんで!
そこで待っててください!」
「い、いやいや!追い出すとかしなくても!」
彼等にこのような所を見られるのはまずい…。
僕だけでもこの場から離れ。
「きょ…わぷ!」
一言だけ別れを告げようと名前を呼ぼうとすると、いきなり自分になにかがかけられ、骸の視界が暗くなる。
それと同時にポンッと自分の頭になにかが触れ、自分の顔のすぐ横になにかの気配を感じた。
「いい子に待ってて」
そう一言、耳元で囁かれると雲雀のものであろう足音が自分から離れるのを感じた。
「君達、なに群れてるの?」
「ひ、雲雀さん?!」
少し離れたところで雲雀と綱吉の会話が聞こえてくる。
「てめぇ、いつの間に!」
「今の僕は少し機嫌が良いからね…
すぐにこの屋上から出ていけば、咬み殺すのは見逃してあげる」
獄寺の驚いた声に、雲雀の機嫌が良さそうな声色。
様子は分からないが、雲雀が3人の前に姿を現したのだと察した。
自分の存在を、知らせないために。
「なんでてめぇにそう言われなきゃいけねぇんだ!」
「あぁぁ!待って獄寺君!
山本!獄寺君抑えて!」
「おう!」
「あ、お前何しやがんだ野球馬鹿!」
「まぁまぁ、落ち着けって!」
「ひ、雲雀さん!
それじゃ、俺達はこれで…失礼しましたぁ!」
綱吉の慌てる声が聞こえたと思えば、バタバタと慌ただしく聞こえる足音。
そして、バタンッ!と勢いよく締められる扉の音。
「…さて」
シンッと静まり返る屋上で雲雀の声が聞こえ、足音が自分の元へと近寄ってくる。
「ねぇ、いつまでそれ被ってるの?」
自分の頭上から雲雀の声が聞こえてくる。
「骸」
不意に、自分の頭に被らされていたものが退かされて陽の光が眩しくて瞳を細めてしまう。
ゆっくりと慣れていく視界に、雲雀の姿が目に入った。
ふとお互いの目が合い、雲雀はふと口元に笑みを浮かべながらしゃがみこみ、骸に視線を合わせて頬に手を伸ばした。
「またそんな顔してるのかい?
僕のこと、どれだけ好きなんだか」
「…黙りなさい」
「そんな顔、他の男に見せないでよね
僕だけが、見れればいいんだから」
「…言われなくても、見せるつもりはありません」
「…わぉ、言うね
とりあえず、君が望んでいた続き…しようか」
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