この姿を隠して


「…さて、どうしたものか…」

黒曜ランドの自室にて、骸はフランが幻術で被り物を変えている姿を見ながらぽつりと呟いた。

彼とデートをしたのが3日前。
その日は止まることはせずにその日のうちに解散をした。


"好きなのかもしれないですね"


その時に自分が発したこの言葉。
無自覚だったとはいえ、内心ではそう思っているのかもしれない…という話をしたのも同じく3日前。

平日ですから、彼が会いに来るとは思えない。
別に会いたいわけではありませんが、なんか…なんというのでしょうか…。

「ししょー」

「ッ…あ…?!」

ドカッ!

考え込んでいるとぬっと自分の目の前にりんごの被り物が現れて、骸は驚いてズルッとソファーからずり落ちてしまう。

「い…ッ…」

「あり…そんなに驚かれるとは思いませんでしたねー
大丈夫ですかししょー?」

腰を打ち痛みに悶えているとフランの顔がひょこっと自分の顔を覗き込んできて、骸はジトリとした目つきでフランを睨んだ。

「…大丈夫ではありません…いきなりなんです?」

「おー大丈夫そうですねー、よかったよかったー」

「…はぁ…まったく…」

痛む腰を擦りながらソファーに再び座り直すと、フランがぴょんっと太腿の上へと向かい合うように座りだす。

「こら、退きなさい
まだ修行中ですよ」

「その修行中に違うこと考えてるのはどこのししょーですかー?
みーのことほったらかして、他のこと考えてるなんてー」

「ッ…」

…バレているとは。

退くように指示するも不機嫌そうな表情を浮かべながら顔をズイッと近付けてくるフラン。
他のことを考えているのがバレているのか指摘をされてしまい、言葉が詰まる。

「いったいなに考えてたんですかー?」

「お前には関係ないでしょう…って、近いです」

お互いの頬が触れ合うほどにフランが顔を押し付けてきて骸はグッとフランの頬に触れて押し返す。

「関係なくないですよ、みーの修行なんですからー
他のことではなくてー…」

「…?」

フランがトンッと両手を骸の顔の横に置いて、ソファーの背もたれへと骸を追いやる。
骸は驚いたように瞳を丸くすると、フランの顔が再び近づいてきた。











「みーにだけ、集中してくださーい」


 






「…まったく、なにを馬鹿なことを」

「むぐぐ」

しばらくフランを見つめた後に骸は深い溜息をつくと、フランの頬を掴むとそのまま顔を自分から離した。

「みーにきゅんってしましたかー?」

「するわけないでしょう、お前みたいなおちびに」

「えー、М·Мさんが見てたドラマではこれできゅんってするはずなのにー」

「余計な知識をつけていないでさっさと修行を続けなさい」

「はーい」

フランは骸の上から退いて少し離れたところで被り物を変化させる修行をし始め、骸はそれを見ると再び息を吐く。

最近の子はませているというか、なんというか…。
М·Мにもあまり過激(?)なものを見せたり知識を教えたりしないようにしないと…。

…しかし、先程のがフランではなく彼だったら…。










"…骸、僕にだけ集中しなよ"










「…これは…ちょっと…」

「なに赤くなってるんですか、ししょー
やっぱりみーにきゅんってしてましたかー?」











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