特権乱用
「僕が、誰に?」
「フランにです、よくよく考えればあの後デートに誘われましたし…そうすると全て納得いくんですよ
ふふ、しかし…まだ10歳にも満たない子どもに貴方が妬くとは…可愛らしいところもあるようで」
茶化すような口ぶりで言いながら雲雀に顔を近付けるも、雲雀は不思議そうに首を傾げる。
「妬いてないけど」
「は…いやいや、絶対嘘でしょう
そうでなければ、デートの比較なんて…」
そう言うも雲雀の表情に変化はない。
おそらく、本心からそう思っているのだろう。
「…では、なぜ…」
「君、たまに自意識過剰なこと言うよね」
「う、うるさいですね
貴方の様子からしてそう感じたので言ったまでですよ」
自分の発言に恥ずかしさを覚え、顔を隠すようにフイッと雲雀から背ける。
彼の言う通り、自意識過剰過ぎただけですかね…それはそれで寂しいと言いますかなんというか…。
「まったく、僕が妬くなんてすることないさ」
「わかりましたから、もう掘り返さないでください」
「まぁ、妬いてはいないけどあの子を咬み殺そうとは思った」
「…」
…はい?
サラリと発せられるその言葉を聞いて、骸は目を丸くしながら雲雀へと顔を向けた。
今、なんて言いましたこの人。
"妬いてはないけど、咬み殺そうとはした"?
「…あの」
「なに?」
「なぜ、咬み殺そうと思ったのです?
別に貴方に害を与えてはいなかったでしょう?
まぁ、貴方のことを変な呼び方で呼んだりはしていましたが、それだけで貴方が不快に感じるとは…」
「君にくっついてたから」
「…僕とくっついてたからっ…て…貴方」
「…さっきからなんなの?」
「いや、それって貴方…」
嫉妬してるじゃないですか、やっぱり…!
「ッく…ふふ…」
「ねぇ、なんなの本当に」
「いえ…ふ…別に…痛…」
妬いていた事に気付いていない雲雀に笑いを堪えると不機嫌そうな声が聞こえてくる。
それに返事をするも笑った振動が腰に響き、痛みとおかしさが入り混じる。
「痛くて笑うとか…マゾなの?」
「変な誤解をしないでください…はぁ…本当に貴方は僕の予想を超える言動をしますね…見ていて飽きないです」
「それ褒めてるの?」
「褒めてますよ、一応
そういう貴方だからこそ僕は」
「好きなのかもしれないですね」
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