特権乱用
「…結局…こうなるのがオチだったんですね…」
湯船に浸かり、目の前で瞳を閉じて同様に湯船に浸かっている雲雀を見ながら骸は呟くように言う。
「なにが?」
その言葉に雲雀はゆっくりと瞳を開けながら骸の姿を視界に入れた。
普段、雲雀の家で入っているような浴室とは違い、流石はホテルの浴槽。
いつもなら近い距離なのだが、今はいつもよりも遠く感じる。
「なにが、ではありませんよ白々しい
貴方と一緒にいる日は、大体行為をするのがオチだな、と思っているだけです」
「まぁね、なるべく早く君に会いに行きたいけど中々そういうわけにもいかないから」
「そうですよね、僕の事、忘れてしまいますもんね」
「…」
雲雀から視線をそらしながら言うと、雲雀が口元に笑みを浮かべて自分を見ていることに気付いた。
「…なんですか」
「…寂しいのかい?僕に会えなくて」
「なぜそうなるんですか、そういう話はしていませんよ」
「あ、でも君…前に言ってたよね
"僕に会えなくて寂しい"ってさ」
「…僕は言ってませんよね、そのような事は
貴方が勝手に勘違いをしただけです」
…これ以上、この話をしてもどうせ堂々巡りだ。
下手に相手をしないようにしよう。
「はぁ…ッ…」
口から深い溜息を吐きながら、不意に腰に痛みを感じて片手で労わるように擦る。
「痛むのかい?」
「えぇ、まぁ…」
「優しくしているつもりなんだけどね」
「…優しい…」
雲雀の言葉に引っかかり、先程までの雲雀の様子を脳裏に浮かべる。
"骸"
…………まぁ、彼はなんやかんや行為中は優しい…ですかね…。
よくよく考えると、行為以外も基本的には優しいというか穏やかと言うべきか。
だからといって、会わない期間僕の事を忘れてしまうのはどうかと思いますが。
「骸」
「!」
"うーん"と瞳を閉じて考えていると近くから自分の名前を呼ぶ声が聞こえ瞳を開けてみると、先程まで離れていた雲雀が目の前に移動して顔を覗き込んで、驚いて頭を引いてしまう。
「あまり驚かせないでくださいよ」
「君が声かけても返事しないから、また逆上せでもしたのかと」
「…」
僕のこういう些細な変化に気付くのは、彼くらいですかね。
あとは…フランも最近は僕の変化に敏感だ。
…そうだ、フランといえば…1つ、気になることがありましたね。
「…貴方に、1つお聞きしたいことがあるのですが」
「僕に聞きたいこと?」
「はい…」
「なぜ、僕のことをデートに誘ったんですか?」
→
