勘違いから始まる関係
「まったく、千種も心配性なんですから」
フランの修行を終え、約束通りコンビニに行った帰り道、骸は千種との会話を思い出してふと呟いた。
「ししょーが無駄にフラグ立てるからですよ」
呟きが聞こえたのか、フランは手に持っているレジ袋の中から1つ棒アイスを取り出して袋を開けるとそれを口へと入れる。
「こら、デザートと言ったでしょう
晩御飯食べられなくなりますよ?」
「デザートはデザートで買ってあるので問題ないでーす
あと晩御飯もちゃんと食べるのでー」
「ちゃっかりしてますねぇ…話、聞いていたんですか?」
「そりゃ、人が修行してる時に隣で話してるんですもん
聞こえるに決まってるじゃないですかー
人が集中してるっていうのによー」
「おや、それは失礼
その割には集中出来ていたようで」
「デザートの為ですからー」
"どやッ"と効果音が出てきそうなドヤ顔をしながらアイスを軽く振るい、そのまま口へと咥えた。
「話を聞いていたのであれば話が早い
明日は夜中までかかるでしょうから修行は無しでいいですよ」
「お、やったー
明日はししょーがいない分ゆっくりしてやりますー」
「その代わり、その次の日はみっちりしてあげますから」
「一気に天国から地獄に落とすなよー
1日休んだだけじゃ休めないんですけどー」
「さっき勝手にアイス2本買ったんですから文句を言わないでいただきたい」
「それはそれ、これはこれですー」
骸から逃げるようにタタタッと走っていくフランの背中を見て"やれやれ"と息を漏らした。
まぁ、たまには2日間休みでもいいですかね…そもそも、彼と僕の鬼ごっこがどれだけかかるか分かりませんし。
僕も次の日はゆっくりと体を休めたいというのもまた事実。
明日で全て終わるわけですし、そうなれば時間もたんまりとあるわけで…。
「ししょー、アイス溶けちゃいますよー
早く帰りましょー」
いつの間にか100m程先に行ってしまったフランがアイスの入った袋をぶんぶんと振りながら声をかけていた。
「クフフ、そう急がなくても大丈夫ですよ」
子どもらしい一面を見て思わず笑みが溢れてしまう。
骸はそう一声かけるとフランの背中を追って歩き始めた。
どうせ時間はたくさんある。
明日の雲雀恭弥との事が終わってから考えても遅くはないでしょう…。
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