恋人ゆえの特権なので
「…確かに2人きりでと言いました…しかし」
雲雀に連れられて入ったホテル。
物珍しさから室内を見渡している雲雀とは対照的に、息を漏らしながら骸は額に手を当てた。
「だからといって、その手のホテルに入るのはどうかと思うのですが…」
「あ、すごい
ゴムとか色々置いてある」
「興味津々で探索するのはやめなさい」
ベッド付近の小物入れに見つけ出したものを見ている雲雀の背後まで歩いていき、骸は軽く雲雀の頭を叩いた。
「いて」
「まったく、そういうものに興味津々な所は年齢相応と言いますか…
貴方にはまだ、こういうのは早いですよ」
「いや、僕ちゃんと付けてやってるんだけど
それとも君は付けないほうがお好み?」
「そういうわけではありません、変な誤解をしないで頂きたい」
先程よりも深い溜息が出てしまう。
骸はベッドに腰掛け、隣を軽くポンポンッと叩いた。
「こちら、座ってください」
「…それで、僕となんの話をしたいの?
この前も僕の家で散々話したと思うけど」
指示されたように雲雀は骸の隣に腰掛けながら首を傾げた。
「君って結構お喋りだよね」
「貴方よりは話をしますが、そういう意味ではありませんよ」
「ならなにを話すの?」
「…話す、といいますか…少ししたいことがありまして」
見つめられてしまい、これから話す事に少し躊躇をしていると雲雀は"あぁ"となにか気付いたかのような反応を示した。
「ここ、玩具とかコスプレ衣装とかあるけどそれ?
君、案外マニアックなんだね」
「ち、違いますよ!なにを言い出すんですか!
そういうえっちな方向ではなくてですね…!」
「えっち…」
化顔を真っ赤にしながら雲雀の発言を否定し、骸は少し落ち着くように呼吸を繰り返した後、ズイッと雲雀に身体を近づけた。
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