恋人ゆえの特権なので


「…デート…デートとは…」

先日、雲雀に突如デートのお誘いを受けた骸。
デート当日になり、一応それらしい服装に着替え黒曜ランドの前で待ちながら骸は頭を抱えながら呟いた。

いきなり、彼からデートに誘われましたが…。
行き先などは教えてくれませんが、一体何処に行くというのでしょう。
彼の場合…だめだ、想像がつかない。彼がデートする姿が。
それならば、僕がリードをしたほうがいいのか?
そうと決まれば、今からでも情報を…。

「やぁ」

「!」

色々と頭の中で考えていると不意にかけられた声にビクッと身体を跳ねさせて驚いてしまう。
骸は顔を上げて声がした方へと向けると、そこには雲雀の姿があり、不思議そうに骸を見ていた。

「なにをそんなに驚いてるの?」

「いえ…考え事をしていたので…」

「ふぅん…まぁ、いいや
時間が惜しいから早く行くよ」

「は、え、ちょっと?」

特に気にした様子はなく、雲雀は骸の片手を掴んで握りしめるとスタスタと歩き出す。
握りしめられた手と雲雀を交互に見、今の状況を理解した骸は戸惑いながらも後をついていく。

「あの、いったいどちらまで行くんです?
なにも行き先聞いていないんですが」

「言ってないからね
僕、行きたい所あるんだよ」

「行きたい所…とは?」










「猫カフェ」

「…猫…なんて?」










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