勘違いから始まる関係


「フランに甘くないですか?」

フランの修行の様子を椅子に座りながら見ている骸に千種は隣に立ちながら声を掛ける。

「そんなことはありませんよ
フランはその方がやる気が出ると思ったまで
現にあの子はやる気になっていますし、僕が外に出て時間は山程あるんです
ゆっくりと育てていくとしましょう」

「…」

「なにか不満でも?」

「いえ…」

「クフフ、千種にもご褒美が必要ですかね?
あとで千種の分のアイスも買ってきましょうか」

「そこまで子どもじゃないです
フランの件はいいとして、骸様は大丈夫ですか?」

「僕…ですか?」

心配しているかのような発言に少し驚いて千種を見上げると、千種は少しめんどくさそうに息を吐いた。

「雲雀恭弥」

「…」

「今日も、ですよね」

雲雀の名前が千種の声から出てきて骸はピクリと反応を示し、それを見た千種は瞳を細める。

「ここしばらく雲雀恭弥に喧嘩を売られ、その後にフランの修行
骸様、体は大丈夫なんですか」

「…クフフ、そこまで僕は柔に見えますか?」

「そういうわけじゃないです…ただ」

千種に微笑みかけながら首を傾げると、少し不満そうに眉間に皺を寄せため息をついた。

「…心配してます、犬達が」

「おや、千種は心配してくれないんですか?」

「…」

「…意地悪してしまいましたかね」

顔をそらす千種に悪戯気に問いかけると眉間に寄った皺が深くなり、骸は困ったような笑みを浮かべた。

「そうですね、確かに千種の言う通りここの所…主に雲雀恭弥のせいで疲れはあります」

「無視しては?」

「そんな事をしても彼の場合無意味ですよ
逆にムキになるでしょう
それに、幻術に慣れてきたのかそう簡単に逃げられる相手でもありません」

「…俺が行きますか?」

「千種で敵う相手でないことはわかっているでしょう?
無駄に怪我をするだけです、やめておきなさい」

「…ですが」

「それに、彼との戦いも明日で終わりますから」

「終わり?」

千種は骸の言葉の意図が分からず、少し首を傾げながら言葉を復唱した。

「えぇ、先程も言いましたが僕も疲れてきましたからね…彼に提案をしたんです
"明日、僕のことを捕まえることが出来れば彼のしたいことに付き合う"とね」

「それは…まぁ…骸様が優勢だとは思いますが」

少し考えながら千種は顎に手を当て、骸は千種の言葉を聞いて微笑んだ。

「でしょう?
鬼ごっこであれば幻術が使える僕が優勢なのは確実…
僕が負けることはないでしょう
まぁ、万が一に負けたとしてその時は潔く彼のしたいことに付き合います
おそらく永遠と戦い続けることになるでしょうが」

「…」

「ちなみに僕が勝った場合は雲雀恭弥に二度と姿を見せるな"と伝えてあります
クフフ…明日が楽しみで仕方ないですねぇ…
彼の悔しがる顔が目に浮かびます」

「…」

「そんな顔をしないでくださいよ、千種」

自分の話を黙って聞いている千種を見上げると、なにやら心配しているのが目に見えて分かる。

「僕が負けることはありませんよ、絶対に
明日、僕が勝利して帰ってきたらパーティでも」

「…骸様」

「なんです?まだなにか心配事が?」









「先程から死亡フラグを乱立するのはやめてください…めんどいので」

「…そういうつもりはないのですが…」









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